平成29.4.1施行改正対応済

(のはずなんですが,ご自身で現行条文にもあたってくださいね)

 

登記や届出などの実務で使いそうな条文をピックアップして整理するために

私がまとめたものをずらずらずらとコピペしております。

くれぐれも頭から全部読もうと思わないでください。

調べたい用語を検索することをおススメします。

 

1(1)ア(ア)という符号の順番は,裁判所ルールと同じです。

本当は,字下げとかして見やすくすればいいんだけど,

生産的でない作業に膨大な時間がかかるので,ご容赦ください。

 

例えば,評議員会議事録のチェックをするときに

「7 評議員会」

のところを見ながら議事録のチェックをすれば

それなりに時短になると思います。

法人登記の事件数が少ない事務所さんや

社会福祉法人の総務担当者のお役に立てばうれしいです。

 

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社会福祉法人

組織法:社会福祉法(以下「法」という)

登記法:組合等登記令,各種法人等登記規則

 

1 登記事項(組合等登記令2,別表1)

① 目的及び業務

② 名称

③ 事務所の所在場所

④ 理事長の氏名,住所

⑤ 存続期間又は解散の事由を定めたときは,その期間又は事由

⑥ 資産の総額

2 過料

(1)  登記懈怠

 この法律に基づく政令の規定による登記をすることを怠つたときは,20万円以下の過料に処する(法133)。

(2)  選任懈怠(H29.4現在)
 過料対象となっていない。「理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。」(法45の7)とあるが,過料の条文にはあがっていない(法133,134参照)。

3 名 称

 社会福祉法人以外の者は、その名称中に、「社会福祉法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない(法23)。
 社会福祉法人法に「社会福祉法人」の名称の使用を強制する規定は見当たらないようだ。

4 平成29.4.1施行改正の経過措置

(1)  定款変更

ア  施行日前に設立された社会福祉法人は,施行日までに,必要な定款の変更をし,所轄庁の認可をうけなければならない(改正附則7Ⅰ)。
 この認可があったときは,この定款変更の効力発生日は施行日となる(改正附則7Ⅱ)。

(2)  評議員

ア 従前の評議員の任期満了
 施行日の前日において評議員である者の任期は,同日に満了する(改正附則9Ⅲ)。

イ 新評議員の選任

(ア)  施行日前に設立された社会福祉法人は,施行日までに,あらかじめ,新法39条の規定の例により,評議員を選任しておかなければならない(改正附則9Ⅰ)。
 なお,選任された評議員の任期の起算日は,施行日となる(改正附則9Ⅱ)。

(イ)  施行日までに選任手続を採らなかった場合
ウ 評議員の人数の経過措置
 施行の際現に存する社会福祉法人でその事業規模が政令で定める基準を超えないものは,施行日から起算して3年を経過する日までの間,「定款で定めた理事の員数を超える数」とあるのは「四人以上」とする。
(「政令で定める基準」は,平成27年度決算の事業活動計算書におけるサービス活動収益を基準とし,当該収益の額については,全社会福祉法人の収益の返金額である4億円とする(改正政令4Ⅰ)。

(3)  役員

ア  新法に基づく選任
 役員は,新法43条1項(役員は評議員会の決議によって選任する旨)の規定は,施行日以後に行われる役員(理事及び監事をいう。以下同じ)の選任について適用する。
 なお,登記された理事が新理事長になったとしても,登記原因は重任とはならず,退任+就任になる(「司法書士内藤卓のLEAGALBLOG」2017/5/1)。

イ  施行日現在の役員の任期
 施行の際に現在する役員の任期は,新法45条の規定にかかわらず,施行日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までとする(改正附則13)。

ウ 代表権
 施行の際現に存在する理事の代表権については,施行日以後に選定された理事長が就任するまでの間は,なお従前の例による(改正附則15)。

エ 施行日現在の役員の資格・親族制限等
 施行の際に現に在任する役員については,施行日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までの間は,新法44条4項から7項までの規定は適用せず,なお従前の例による(改正附則13)。
新法44Ⅳ 理事の資格

新法44Ⅴ 監事の資格

新法44Ⅵ 理事の親族制限

新法44Ⅶ 漢字の親族制限

(4)  毎年の決算届
 新法59条(決算届)の規定は,平成28年4月1日以降開始する会計年度に係る同上各号に掲げる書類について適用する(改正附則24)。

5 役員変更

(1)  役員及びその人数

ア  役員
 社会福祉法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない(法36Ⅰ)。

イ 理事長
 理事長は一人(法45の13Ⅲ)。

(2)  選任機関

ア  理事・監事・会計監査人
 役員(理事及び監事)及び会計監査人は,評議員会の決議によって選任する(法43Ⅰ)。

イ 理事長
 理事会は,理事の中から理事長一人を選定しなければならない(法45の13Ⅲ)。

(3)  任 期

ア  条 文

第四十五条 役員の任期は,選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし,定款によってその任期を短縮することを妨げない。

イ  権利義務概念

(ア)  理事・監事

第四十五条の六

 この法律又は定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

 a  平成29.4.1施行後
 権利義務規定が創設された(法45の6)。

 b   平成29.4.1施行改正前
 平成29.4.1施行改正前までは,権利義務役員という概念はなかった(権利義務概念がないその他の法人としては,特定非営利活動法人,消費生活協同組合等がある)。
 従って,登記簿上,就任後2年を経過している場合には,理事の資格証明書及び印鑑証明書は発行されないものと思われる(平成15.11.7民商3320参照)。

→先例変更があり,交付されることとなった(下記先例)。

重要先例(理事の選任に理事が関与するタイプの選任方法の場合に,退任後の理事による理事長の選任の可否)H19.1.11民商30,登研715号173頁

※評議員会で理事を選任する場合は関係ない。

 定款に「理事は,理事総数の3分の2以上の同意を得て,理事長が委嘱する」旨の規定がある社会福祉法人において,理事の全員が任期満了により退任し,その後,後任理事が選任されとして理事の変更登記の申請があった場合,急迫の事情がある旨の記載がされていれば,退任理事の理事会議事録でも受理できる(従来の先例では仮理事を選任して申請しなければ受理されなかった)。先般の最高裁判例で,「社会福祉法人と理事との関係は,基本的には民法の委任の規定に従うから,①仮理事の選任を待つことができないような急迫の事情があり,かつ,退任した理事との信頼関係が維持されており退任理事に後任理事の選任をゆだねても選任の適正が損なわれるおそれがない場合には,民法654条の趣旨に照らし,退任した理事は後任理事の選任をすることができる」との判示があったことから,先例変更があった。

(イ)  理事長

第四十五条の六 理事長が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事長は、新たに選任された理事長(次項の一時理事長の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお理事長としての権利義務を有する。

2 前項に規定する場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、一時理事長の職務を行うべき者を選任することができる。

(4)  欠格事由・兼職禁止

ア 役員の欠格事由(法40Ⅰ)

① 成年被後見人又は被保佐人

② 生活保護法,児童福祉法,老人福祉法,身体障害者福祉法又はこの法律の規定に違反して刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなるまでの者

③ その他法参照

イ  役員の親族等の廃除

(ア)  理事
 理事のうちには、各理事について、その配偶者若しくは三親等以内の親族その他各理事と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が三人を超えて含まれ、又は当該理事並びにその配偶者及び三親等以内の親族その他各理事と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が理事の総数の三分の一を超えて含まれることになつてはならない(法44Ⅵ)。

(イ)  監事
 監事のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない(法44Ⅶ)。

ウ  監事の兼職禁止(法44Ⅱ)
 監事は,理事又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。
 平成29.4.1施行改正前は,評議員も兼職禁止されていたが(改正前法41),兼職は禁止されなくなったようだ(株主も監査役になれることと同じ理由か)。

6  評議員

(1) 人数(法40Ⅲ)
 評議員の数は,定款で定めた理事の員数を超える数でなければならない(法40Ⅲ)。理事の最低数は6名なので(法44Ⅲ),少なくとも7名は必要となる。
 なお,平29.4.1施行改正時の経過措置として,政令で定める一定の基準を超えない社会福祉法人については,施行日から3年を経過する日までの間,評議員の定数を4人以上とすることが認められている(改正附則10)。この社会福祉法人の基準については、平成27年度決算の事業活動計算書におけるサービス活動収益を基準とし、当該収益の額については、全社会福祉法人の収益の平均額である4億円とすることとする(改正政令4Ⅰ)。

(2)  選任機関

 評議員は,社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから,定款の定めるところにより,選任する(法39)。

(3)  任 期

ア  条 文

第四十一条 評議員の任期は、選任後四年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を選任後六年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで伸長することを妨げない。

2 前項の規定は、定款によつて、任期の満了前に退任した評議員の補欠として選任された評議員の任期を退任した評議員の任期の満了する時までとすることを妨げない。

イ  権利義務概念

第四十二条 この法律又は定款で定めた評議員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した評議員は、新たに選任された評議員(次項の一時評議員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお評議員としての権利義務を有する。

(4)  欠格事由・兼職禁止

ア 評議員の欠格事由(法40Ⅰ)

① 成年被後見人又は被保佐人

② 生活保護法,児童福祉法,老人福祉法,身体障害者福祉法又はこの法律の規定に違反して刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなるまでの者

③ その他法参照

イ  評議員の親族等の廃除

(ア)  各評議員との関係
 評議員のうちには、各評議員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各評議員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない(法40Ⅳ)。

(イ)  役員との関係
 評議員のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない(法40Ⅴ)。

ウ  評議員の兼職禁止(法40Ⅱ)
 評議員は,役員又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない(平成29.4.1施行改正により創設)。

7 評議員会

第三十六条 社会福祉法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。

第四十五の八 評議員会は、すべての評議員で組織する。

2 評議員会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

3 この法律の規定により評議員会の決議を必要とする事項について、理事、理事会その他の評議員会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

4 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百八十四条から第百八十六条まで及び第百九十六条の規定は、評議員について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

参考)一般社団法人法184~186条(評議員提案権),同196条(評議員の報酬等-定款で定めなければならない)

(1)  意義
 社会福祉法人の必置機関で(法36),法律及び定款記載事項に限り,決議をすることができる(法45の8Ⅱ)。

(2)  組織
 すべての評議員で組織する(法45の8Ⅰ)。

(3)  定時評議員会・臨時評議員会

ア  定時評議員会
 定時評議員会は、毎会計年度の終了後一定の時期に招集しなければならない(法45の9Ⅰ)。

イ 臨時評議員会
 評議員会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる(法45の9Ⅱ)。 

(4)  評議員会の議決事項

ア  法定事項

イ  会議の目的である事項以外の事項についての制限
 評議員会は,評議員会の目的である事項(一般社団法人法181Ⅰ②)以外の事項については,決議をすることができない(法45の9Ⅸ本文)。
 ただし,会計監査人の出席を求める決議については,この限りでない(法45の9Ⅸただし書)。

(5)  招集

ア  招集権者
 評議員会は,原則として理事が招集する(法45の9Ⅲ)。
 例外として,評議員が所轄庁の許可を得てする招集がある(法45の9Ⅴ)。

イ 招集請求
 評議員は,理事に対し,評議員会の目的である事項及び招集の理由を示して,評議員会の招集を請求することができる(法45の9Ⅳ)。

ウ 招集決定
 評議員会を招集する場合には,理事会の決議によって,次に掲げる事項をさだめなければならない(法45の9Ⅹ→一般社団法人法181Ⅰ)。

一 評議員会の日時及び場所

二 評議員会の目的である事項があるときは、当該事項

三 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

エ  招集通知
 招集は,理事は,評議員会の日の一週間(これを下回る定款規定があればその期間)前までに,評議員に対して,書面でその通知を発しなければならない(法45の9Ⅹ→一般社団法人法182Ⅰ)。
 書面による通知の発出に代えて,政令に定めるところにより,評議員の承諾を得て,電磁的方法による制度もある(法45の9Ⅹ→一般社団法人法182Ⅱ)。
 通知書には,理事会の決議で定めるべき事項(法45の9Ⅹ→一般社団法人法181Ⅰ各号)の記載が必要(法45の9Ⅹ→一般社団法人法182Ⅲ)。

オ 招集手続の省略
 評議員の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができる(法45の9Ⅹ→一般社団法人法183)。

(6)  評議員会決議の省略
 理事が評議員会の目的事項について提案した場合において,当該提案につき評議員(当該事項について議決に加わることができるものに限る)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該議案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなす(法45の9Ⅹ→一般社団法人法194Ⅰ)。
 同意書面・電磁的記録は主たる事務所に十年間備え置かなければならない(法45の9Ⅹ→一般社団法人法194Ⅱ)。
 定時評議員会の目的事項の全てについての提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなされた場合には,その時に当該定時評議員会が終結したものとみなす(法45の9Ⅹ→一般社団法人法194Ⅳ)。

(7) 評議員会への報告の省略
 理事が評議員の全員に対して評議員会に報告すべき事項を通知した場合において,当該事項を評議員会に報告することを要しないことにつき評議員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該事項の評議員会への報告があったものとみなす(法45の9Ⅹ→一般社団法人法195)。

(8)  議長
 社会福祉法には議長についての規定はない。
 施行規則には,議事録の記載事項に,「議長が存するときは,議長の氏名」(規則2の15Ⅲ⑥)が記載事項とされているに過ぎず,必ずおかなければならないものではないようだ。

(9)  特別利害関係人の参加
 評議員会の普通決議・特別決議ともに,特別の利害関係を有する評議員は,議決に加わることができない(法45の9Ⅷ)。 

(10)  評議員の議決数

ア  普通決議(法45の9Ⅵ)
 議決に加わることができる評議員の過半数(定款で上回る定めは可)が出席し,その過半数(定款で上回る定めは可)をもって行う。

イ 特別決議(法45の9Ⅶ)
 次に掲げる評議員会の決議は,議決に加わることができる評議員の3分の2(定款で上回る定めは可)以上に当たる多数をもって行う。

① 第四十五条の四第一項の評議員会(監事を解任する場合に限る。)

② 第四十五条の二十第四項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第一項の評議員会<社会福祉法人に対する理事等の責任免除の決議>

③ 第四十五条の三十六第一項の評議員会<定款の変更決議>

④ 第四十六条第一項第一号の評議員会<解散の決議>

⑤ 第五十二条,第五十四条の二第一項及び第五十四条の八の評議員会<合併の承認決議>

(11)  議事録(法45の11)

ア  作成義務・備え置き
 評議員会の議事については,労働厚生省令で定めるところにより,議事録を作成しなければならず(法45の11Ⅰ),評議員会の日から10年間主たる事務所に備え置かなければならない(法45の11Ⅱ)。従たる事務所には写しを5年間備え置かなければならない(法45の11Ⅲ)。
 議事録は書面又は電磁的記録で作成する。

イ 記載事項(規則2の15Ⅲ)

① 評議員会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない評議員、理事、監事又は会計監査人が評議員会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)

② 評議員会の議事の経過の要領及びその結果

③ 決議を要する事項について特別の利害関係を有する評議員があるときは、当該評議員の氏名

④ 次に掲げる規定により評議員会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要

イ 監事の選解任・辞任についての監事の意見表明(一般社団74Ⅰ)

ロ 辞任した監事の理由の陳述(一般社団74Ⅱ)

ハ 監事がする法令・定款違反があった旨の調査結果の報告 (一般社団102)

ニ 監事がする監事の報酬等についての意見表明 (一般社団105Ⅲ)

ホ 監事と意見を異にする会計監査人の意見表明(一般社団109Ⅰ)

ヘ 会計監査人の出席を求める決議があったときの,会見監査人の意見表明(一般社団109Ⅱ)

⑤ 評議員会に出席した評議員、理事、監事又は会計監査人の氏名又は名称

⑥ 評議員会の議長が存するときは、議長の氏名

⑦ 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名

ウ  決議省略の場合の記載事項(規則2の15Ⅳ)

イ 評議員会の決議があつたものとみなされた事項の内容

ロ イの事項の提案をした者の氏名

ハ 評議員会の決議があつたものとみなされた日

ニ 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名

エ  報告省略の場合の記載事項(規則2の15Ⅴ)

イ 評議員会への報告があつたものとみなされた事項の内容

ロ 評議員会への報告があつたものとみなされた日

ハ 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名

(12)  決議の不存在・無効・取消(法45の12)

 必要な時に調べること

8  業務の決定・代表

(1)  業務執行の決定

 社会福祉法人の業務執行の決定は理事会の職務とされている(法45の13Ⅱ①)。

(2)  業務の執行
 次に掲げる理事は,業務を執行する(法45の16Ⅱ)。

一 理事長

二 理事長以外の理事であって,理事会の決議によって社会福祉法人の業務を執行する理事として選定されたもの

(3)  代表権

 理事長は,社会福祉法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する(法45の17Ⅰ)。なぜか不明だが「代表する」という表現の規定は理事長についてはみあたらない。
 この権限に加えた制限は,善意の第三者に対抗することができない(法45の17Ⅱ)。

(4)  利益相反行為

ア  条文
 理事は,次に掲げる場合には,理事会において,当該取引につき重要な事実を開示し,その承認を受けなければならない(法45の16→一般社団財団84)。

一 理事が自己又は第三者のために社会福祉法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき(競業取引)

二 理事が自己又は第三者のために社会福祉法人と取引をしようとするとき

三   社会福祉法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において社会福祉法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき

9 定款変更

(定款の変更)

第四十五条の三十六 定款の変更は、評議員会の決議によらなければならない。

2 定款の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第三十二条の規定<設立時の所轄庁の認可審査の基準>は、前項の認可について準用する。

4 社会福祉法人は、第二項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。

 

規則第四条 法第四十五条の三十六第二項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 法第三十一条第一項第四号<事務所の所在地>に掲げる事項

二 法第三十一条第一項第九号<資産に関する事項>に掲げる事項(基本財産の増加に限る。)

三 法第三十一条第一項第十五号<公告の方法>に掲げる事項

2 前条第一項の規定は、法第四十五条の三十六第四項の規定により定款の変更の届出をする場合に準用する。この場合において、前条第一項中「申請書」とあるのは、「届出書」と読み替えるものとする。

 

規則第3条 社会福祉法人は、法第四十五条の三十六第二項の規定により定款の変更の認可を受けようとするときは、定款変更の条項及び理由を記載した申請書に次に掲げる書類を添付して所轄庁に提出しなければならない。

一 定款に定める手続を経たことを証明する書類

二 変更後の定款

2 前項の定款の変更が、当該社会福祉法人が新たに事業を経営する場合に係るものであるときは、同項各号のほか、次に掲げる書類を添付して所轄庁に申請しなければならない。

一 当該事業の用に供する財産及びその価格を記載した書類並びにその権利の所属を明らかにすることができる書類

二 当該事業を行うため前号の書類に記載された不動産以外の不動産の使用を予定しているときは、その使用の権限の所属を明らかにすることができる書類

三 当該事業について、その開始の日の属する会計年度及び次の会計年度における事業計画書及びこれに伴う収支予算書

3 第一項の定款の変更が、当該社会福祉法人が従来経営していた事業を廃止する場合に係るものであるときは、同項各号のほか、廃止する事業の用に供している財産の処分方法を記載した書類を添付して所轄庁に申請しなければならない。

4 第二条第三項及び第五項の規定は、第一項の場合に準用する。

(1)  定款の記載事項(法31Ⅰ)

一 目的

二 名称

三 社会福祉事業の種類

四 事務所の所在地

五 行医院及び評議員会に関する事項

六 役員(理事及び監事をいう。以下この条,次節第二款,第六章第八節,第九章及び第十章において同じ)の定数その他役員に関する事項

七 理事会に関する事項

八 会計監査人を置く場合には,これに関する事項

九 資産に関する事項

十 会計に関する事項

十一 公益事業を行う場合には,その種類

十二 収益事業を行う場合には,その種類

十三 解散に関する事項

十四 定款の変更に関する事項

十五 公告の方法

(2)  法人内部の手続

 定款の変更は,評議員会の決議によらなければならない(法45の36Ⅰ)。

(3)  所轄庁の認可の要否(法45の36ⅡⅢ)

ア  原則 必要

イ  例外 不要なもの(施行規則4条1項で定める事項)

① 事務所の所在地

② 資産に関する事項(基本財産の増加に限る。)

③ 公告の方法

※変更後遅滞なく所轄庁への届出が必要(法45の36Ⅳ)

(4) 所轄庁とは(法30)

ア  原 則
 都道府県知事
(但,主たる事務所が市の区域内にある社会福祉法人であつてその行う事業が当該市の区域を越えないものは市長(特別区の区長を含む)(法30Ⅰ①))。

イ 例 外

(ア)  主たる事務所が政令指定都市の区域内にあって,事業が一の都道府県の区域内において二以上の市町村の区域にわたるもの及び地区社会福祉協議会
 指定都市の長

(イ)  社会福祉法人でその行う事業が二以上の都道府県の区域にわたるもの
 厚生労働大臣とする。

10  社員総会

 社会福祉法人には,「社員」という概念が出てこないので,社員総会というものはない。

11  理事会

(1)  組織

 理事会は,すべての理事で組織する(法45の13Ⅰ)。

(2)  理事会の職務

ア  職務の内容(法45の13Ⅱ)
一 社会福祉法人の業務執行の決定

二 理事の職務の執行の監督

三 理事長の選定及び解職

イ  委任の制限
 理事会は,次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を理事に委任することができない(法45の13Ⅳ)。

一 重要な財産の処分及び譲受け

二 多額の借財

三 重要な役割を担う職員の選任及び解任

四 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止するための体制その他社会福祉法人の業務の適正を確保す

五 理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保るために必要なものとして厚生労働省令で定める体制の整備(事業規模が施行令2条の6で定める基準を超えている場合にのみ定める義務がある(法45の13Ⅴ))

六 第四十五条の二十第四項において準用する一般社団財団法第百十四条第一項の規定による定款の定めに基づく第四十五条の二十第一項の責任の免除

(3)  招集手続

ア  招集権者
 各理事が招集する。ただし,理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは,その理事が招集する(法45の14Ⅰ)。

イ 招集通知
 理事会を招集する者は,理事会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前までに,各理事及び各監事に対してその通知を発しなければならない(法45の14Ⅸ前段→一般社団財団法94Ⅰ)。

ウ 招集手続の省略
 理事会は,理事及び監事の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができる(法45の14Ⅸ前段→一般社団財団法94Ⅱ)。

(4)  議長
 社会福祉法には議長についての規定はない。
 施行規則には,議事録の記載事項に,「議長が存するときは,議長の氏名」(規則2の17Ⅲ⑧)が記載事項とされているに過ぎず,必ずおかなければならないものではないようだ。

(5)  決議

 理事会の決議は,議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)が出席し,その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)をもって行う(法45の14Ⅳ)。
 前項の決議について特別の利害関係を有する理事は,議決に加わることができない(法45の14Ⅴ)。

(6)  理事会決議の省略(法45の14Ⅸ中段→一般社団財団法96)

 理事会設置一般社団法人は,理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は,当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる(一般財団法96)。

(7)  理事会への報告の省略(法45の14Ⅸ公団→一般社団財団法98)
 理事,監事又は会計監査人が理事及び監事の全員に対して理事会に報告すべき事項を通知したときは,当該事項を理事会へ報告することを要しない(一般財団法98Ⅰ)。
 ただし,理事長及び業務執行理事の職務執行の状況の報告(一般財団91Ⅱ)については,この省略はできない(一般財団法98Ⅱ)。

(8)  議事録(法45の14Ⅵ)

ア  記名押印者
 出席した理事及び監事が署名又は記名押印しなければならない(法45の14Ⅵ)。
 ただし,定款で署名又は記名押印者を,出席した理事長とする旨の定めがある場合には,当該理事長と監事が署名又は記名押印をしなければならない(法45の14Ⅵ括弧)。
 なお,電磁的記録で作成されている場合には,署名又は記名押印に代えて電子署名で行う(法45の14Ⅶ,施行令2の18Ⅰ①)。

イ  理事長の変更の登記に添付する場合の印鑑証明書
 次は一般社団法人の議論であるが,社会福祉法人にも同様に妥当しよう。
 記名押印者を代表理事と監事とする定款がある法人で,旧代表者の押印がない場合に,一般社団法人等登記規則3条で準用する商業登記規則61条2項の解釈として,①代表理事と監事の印鑑証明書で足りるのか,②理事全員と監事の印鑑証明書が必要なのか問題となるが,①でよい(「実務」273頁~274頁)。任期満了改選後に代表理事の交代があった場合,理事会開始時には代表理事はいないが,その理事会で選任されれば,その代表理事と監事の押印があればよいのだと思う。

ウ 記載事項(規則2の17Ⅲ)

一 理事会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事,監事又は会計監査人が理事会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)

二 (省略)

三 理事会の議事の経過の要領及びその結果

四 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは,当該理事の氏名

五 (省略)

六 法45条の14第6項の定款の定め<記名押印は理事長とする旨>があるときは,理事長以外の理事であって,理事会に出席したものの氏名

七 理事会に出席した会計監査人の氏名又は名称

八 理事会の議長が存するときは,議長の氏名

※理事会決議の省略の場合の記載事項は規則2の17Ⅳ参照のこと。