1ヶ月前くらいに、ルイス・コンフォート・ティファニーについてご紹介させていただきましたが、
本日はティファニーとほぼ同時期に活躍したフレデリック・カーダーと、アメリカの宝と呼ばれる彼の会社スチューベンの作品についてお話させていただきます。
イギリスのガラス会社で20余年のあいだデザイナーとしての経験を積んだカーダーは、
ニューヨーク州北部のコーニングに、スチューベン・ガラス会社を設立します。
スチューベンでは設立当初は色彩豊かな装飾ガラスを作っていましたが、
1918年にコーニング社(耐熱ガラスメーカー)の傘下となってから、
無色透明なガラスの制作を始めます。
そして、この頃に高品質な鉛クリスタルガラスに大胆な彫刻を施すという、スチューベンのスタイルが確立されました。
ガラスの彫刻デザインには、アンリ・マティス、ジャン・ユクトー、サルヴァドール・ダリ、イサム・ノグチなどの世界的な芸術家たちが協力をしました。
スチューベンの独創的なデザイナー達によるデザインは様々で、都会的なものから、動植物などの自然を感じさせるものがあり、エスキモーの狩り風景、アメリカのシンボルであるリンゴやイーグル、鱒などをモチーフにした作品が存在しています。
これらのデザインは、優れた職人の手によって、繊細かつ大胆なガラス彫刻へと作り上げられます。スチューベンのガラスは、高品質の鉛クリスタルガラス素材、独創的なデザイナー、優れた職人が揃って初めて出来上がるのです。これがアメリカの宝とまで言われる所以ではないでしょうか。
また、1947年にトルーマン大統領がイギリスのエリザベス女王の御成婚祝いにスチューベンのクリスタルガラスを選んで以来、大統領から各国の王室や国賓に贈られる公式のギフトとして用いられています。
参考文献 世界のガラス 光の小宇宙
画像は借り物です