先日、遅ればせながら今年の直木賞授賞作品である『心淋し川』を図書館で予約しようとしたら、なんと予約人数が1000人超
これだと来年中に読めるかどうか危ういところです。
それで西条奈加さん(いつも思うのですが、西加奈子さんと名前似てますよね)の過去の作品ですぐ借りられそうなものを検索していたらなにやら面白そうな本を発見
猫好きが思わず手を止めるカバー。まんまと惹かれてしまいました
傀儡(くぐつ)とは「操り人形」だそうで、そこから派生して「他人の言いなりに動く」という意味合いもあるのだそう。表紙の絵からは化け猫感が拭えないないけれど、話は猫の捕物帳といったところ。
主人公であるミスジ(額に黒い線が3本入っているからミスジ)は猫であるため直接事件に手を下せないため、最適な傀儡を選び、その人間をうまい具合に誘導して手がかりを掴ませるといったお話。
ちなみにミスジは操る側だから傀儡師と呼ばれています。
傀儡になる4か条とは、
1 暇であること。⇒すぐに動けるから。
2 察しと勘がいいこと⇒ 何しろ猫の仕草で何が言いたいのか解らなければならないですものね。
3 若い猫並みの数奇心を持ち合わせていること。⇒事件に首をつっこみやすいので。
4 何よりも猫が好きなこと
小説はいくつかの事件をちょっと呑気でおっとりした傀儡の阿次郎とミスジが、人間の事件と猫社会の事件を絡ませながら解決していくといったふうに進んでいくのですが、端々に猫好きにはたまらない猫あるあるの描写が散りばめていて読んでいて楽しい
例えば、事件の相談真っ最中のミスジと子猫のユキのくだり。
話途中でユキを振り返ったミスジは異変に気づく。ユキは返事すらせず目は爛々とし日頃とは気配を一変している。
ユキが見ているのは一匹のハエで、ミスジが止める間もなく飛びついて本は崩れ・・・・・
といった猫を飼ったことがある人ならその状況が目に浮かぶようでニヤリとしてしまいます。
作者の西条奈加さんもかなりの猫好きなのでしょうね
この小説は題名通り、猫が人間を傀儡(操る)にする話ではありますが、話が進むうちに傀儡と傀儡師が良きパートナーになっていくといった猫と人間の関係性が描かれています。
これは、、、どこかで読んだことがあるような。。。。
猫本コレクション
そうです。私の愛読書であるポール・ギャリコの『猫語の教科書』
猫好きならば一度は手にとったことがあるのではないでしょうか。
この本についてはかつてブログにも書いたのだけれど、この時はまだミントが生きていたんだな~
(猫の教科書ではなく正確には『猫語の教科書』)
この小説も猫がいかにして人間を服従させるかという内容でしたよね。
思い通りにさせる最終的手段、「声を出さないニャーオ」
あのサイレントニャーですね
うーん、これはまさに必殺技。怒っていてもついつい許して言うことをきいてしまいそうです
そしてこの本も、表向きは後世の猫に対してのマニュアルとして書かれていますが、最終章では人間と猫が仲良く暮らすコツをも教えてくれるというふうに結ばれていました。
そして、一度は猫を飼っておきながら突然見捨てたり置き去りにする人がこれを読んで良心の呵責におそわれるなら、これを書いた猫の努力は無駄ではなかったとも。
久しぶりにまた読んだ『猫語の教科書』、もう読んだあとにギュッと抱きしめられるミントがいないのはさみしいけれど、やっぱり何度でも読み返したくなる一冊です
おすすめニャ😸