大学病院でパーキンソン病と診断される1ヶ月前から、レボドパを服用開始しました。

 

服用直前の症状は、右腕の動作時振戦と指パチパチが遅くなる無動がメイン。腕の振りも少なくなり、それに伴い歩き方も少しギクシャクし始めてました。

 

その頃、英国エリザベス女王が亡くなられ、葬儀で人々が行進している中継放送が流れてました。「俺はこんな風に歩けない」と深刻になり、テレビの前で腕を振り歩く練習をしたのを思い出します。

 

現在はエフピー2.5✕2錠と、Lドーパ50(半錠)✕4を服用して、ほぼ日常生活には支障が無い状態が続いてます。

 

しかしいくらLドーパが効いている状態でも、最初に症状が出た右腕は、完全に元の状態には戻りません。何かの拍子でガクガクと腕が震える事もあります。タイピングも発症前と比較して遅いです。

 

例えIPS細胞が実用化されても、残念ながらこの右腕が元に戻る事はもうないのかな〜と考えています。

 

一方で、まだ超早期の状態だった歩行に関しては、完全に無症状に戻りました。子供とキャッチボールも出来るし、守備練習にも付き合えます。階段は二段飛び、歩行時も右腕を振れてます。

 

つまりある程度症状が進んだ部位は、良くはなるけど元には戻らない。逆にまだ早期の部分は、完全に無症状になれる。もちろん、現状の薬物治療では病気自体の進行を止めるわけではありません。そこから病態の進行に伴い症状は悪化していくわけですが、身体が良い状態でのハネムーン期は楽しめる。

 

ドパミン細胞が死滅すると、そこに繋がっていた後続の神経も障害されるそうです。つまり無治療の間に、どんどん身体機能障害が進行する。その後服薬開始しても、もう発症前の身体機能には戻れない。

 

これがレボドパを後から開始しても、先に開始した人に運動機能の改善が追いつかないと言われてる理由かと思います。

 

つまり何が言いたいかというと、早期発見、早期治療はパーキンソン病においてもとっても重要なのではないかという事です。そして適量の服薬、リハビリが大切という「それ常識じゃん」的なオチです(笑)

 

この病気の辛さから、何もかも嫌になり「拒薬」したくなる方の気持ちもわかります。しかし、断薬により一気に線条体内のドパミンが枯渇することにより、神経ネットワークがこれまた一気におかしくなり、慌てて薬を再開しても、もう元のレベルには戻らない。これは望ましくないと思います。

 

 

今年はIPS細胞治療の医師主導治験結果が発表され、さらに規模を大きくした治験の開始が見込まれてます。

 

これから新しい治療を受けられるとしても、なるべく脳内のドパミン量を、適量服薬で維持しておく事がとても大切になってくると思います。

 

適切な服薬、リハビリ、なるべく生活を楽しむ。この3本柱で可能な限り、脳内のドパミン量を維持し、ドパミン神経以外のネットワークを壊さないようにする事を、今は第1目標にしてます!