社員研修として2日間休みだった店内は
気忙しさに溢れていた
PCとレジが置かれた一番奥のテーブルに
写真で見た人が座っていた
発注や問い合わせのメールを捌きながら、必要とあれば わざわざ電話を入れている
丁寧で真摯な口調
珍しいぐらい好感が持てる感じ
こういう人は、人も客も付いて来る
ザックだかバックパックだか
呼び方はよく分からないが
要は、ツーリングの荷物を入れる物を物色に来たのだ
様々な形・色・大きさ
俺は、この店長さんは 信用出来ると
勝手に思っていた
性格とかじゃなくて、きちんとした“こだわり”
だから、真剣に1つ1つを見る
決して広くは無い、限定された空間に並べられたそれらは
彼の経験や考え方で厳選された物達に思えるから
無駄な物は1つも買う気は無かった
R1の後ろに積んで、数日間の間に目まぐるしく変わる天候や気温や諸々の摩擦と衝撃
そこに、値段が絡んで来る
勿論、俺が買う以上
デザインは何よりも大事だ
目ぼしい奴を幾つか選ぶ
本当は店長さんと話をしてみたかったのだが
2人居る店員の内の1人にチョコチョコと質問する
俺のニーズもかなり絞られている上に、微妙な畑違いもあって
良さげな奴は2つぐらいしか無かった
値段はまぁ高くは無いが
1つ予想していた事が的中していた
軽そうだが
耐久性が低い
あくまでも例えだが
270km/hで、2時間程走り続けたとして
椿ラインや奥多摩周遊道路みたいな所を
ありとあらゆるベクトルで、ツーリングネットなりコードロープなりで擦り続けたとして
あくまであくまでもだが
積載時に、ロープを通せるホールの有無まで
喧嘩でも売るようにチェックしていると
「お客様」
後ろに、綺麗なアース系のカーゴとヘンリーネックのロングスリーブに ハンチングを被った店長さんが立っていた
とんでもないマシンガントークだった
“あ、コレは多分 店員と話してるの聞いてて 俺に興味を持ったな”
そう感じたので、手短に主旨と聞きたい事を話すと
持てる全ての知恵を授けるかの如く
全く無駄も嫌味もケレン味も無い、聴きざわりのよい言葉達が
俺の頭に次から次へと投げ込まれて来る
屋外のスペシャリスト
そんな感じだった
適切な選択肢を与えてくれて
買ったのは防水のただのザックが大小1つずつ
背負う紐すら無い、どっちかっつーとコンテナと呼んだ方がいい感じだが
値段も、さっきまで見てた品々の3分の1
本当に軽く説明しただけなのに
詰め方や1日の中での出し入れはおろか、キャリアの形や幅まで 完全にフォローしている
しかも、ナップスとかで置いてる奴よりも カッコイイんだこれが(笑)
更に1時間近く掴まって
アレコレと話し込まれる
あんなに、忙しそうだったのに 良いのだろうか
何か、楽しそうですね
結論として

俺は、コンロもコッフェルも買わず
1つだけ懸念材料だった問題を解決する為に
「防水ソックス」を、買ったのだった
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