「・・・何だ?」
京橋の手前だった
ウ○コメタリックのセダン
もう、テールを見ても車種の判別は出来ないが
マークⅡだか セフィーロだか、左下にカキモトっぽい80Φぐらいのマフラーが見え
久しく聞いてなかった小僧っぽい音が、左右の壁に反響している
霞が関のトンネルから谷町
靴下2枚履きのモコモコした足を、編み上げのブーツにねじ込んで来た俺は
汐留の辺りで 下肢の自由の効かなさに辟易していたところだった
「お?」
セダンが加速する
数回の空吹かしも勇ましく、思わせぶりに尻を左右に振ると 掛け声でも聞こえそうな勢いで
そういえば、今日は土曜か
バイクは本当に速い奴等は居なくなったって聞いてたけど、車はまだ居るのかな
軽く遊び心が芽生え、アクセルを捻る
「・・・んー」
S字の切り返しから、他の4輪をスラロームでかわし
銀座のストレートもジグザグに立ち上がって行く
だが
威勢の良い排気音とは裏腹に
そんなに驚く程のスピードは出ていない
全体を見据えた視界の中での 一挙手一投足に
この前のTYPE-Rのような
こちらのアドレナリンを引っ張り出すような、ワクワクする"ヤバい感じ"が 感じられない
セダンが右に寄った
江戸橋
3つの分岐
「悪い、そっちは無理だわ」
まだ、1周もしてない
久々の首都高だ
待ち合わせまでに、2~3周は遊びたかった
さっさと9号線に行ってしまうような手合いと、このクソ寒いのに 追いかけっこなんて御免だ(元々、9号線嫌い)
さっさと左に寄る
5号への分岐の手前
それなりに速度は乗せられたが、なかなか足のホールドが決まらない
バックステップと膝の可動域もそうだが、この気温だとあまり思い切って寝かせるのも嫌だった
代官町の左をくだり、僅かに加速
あっという間に、トラックとワゴンの並びに追い付き
焦らずに隙間が出来るのを待つ
(何か
もっとスピードあげたいなぁ・・・)
菅生を走ったからだろうか
感覚的に、リスクのない速度を選んでいて
それが遅いのが分かる
それが、良いのか悪いのかは分からない
だが、それなら靴のソールも 足首の自由度も 全然ダメだ
(こんな状況で 無茶しても意味ねぇな)
俺は、気持ちに折り合いをつけて 更に2週すると
江戸橋ジャンクションから、9号へとR1の鼻先を向けた
キンキンに冷えた、江戸川からの風が全身を叩く
カウルのおかげで、指先がそれほど凍てつかないのは良いのだが
やはりタイヤを信頼してトラクションをかける気にはなれなかった
前なら、もっとお構いなしに行ってただろう
大人になったのか、いろんな物が天秤の反対側に乗ったのか
工事で途中、減速を強いられ
辰巳の手前から260ぐらいまで
減速
苦笑い
2台の車の横を、たかだか140で曲がり
湾岸が目の前に拡がる
千葉側から俺の脇を駆け抜けたS2000を見て、またアクセルを開けたが
ものの10秒もかからずにテールが目の前に来てしまう
(まあ、暖かくなったら ツナギの慣らしにでも来よう)
俺は、溜息混じりにレインボーを渡り
待ち合わせの芝浦P.Aに滑り込んだ
(続
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