Born to be WILD | すかいうぉーかー

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CRAZY=SPELL−BOUND















3列のハンガーの真ん中

そこだけ、一番奥に一着のみが
何かを発していた






黒を基調にし、空調の整った静かな店内


ソイツに視線が停まった瞬間に"目があった"ような気がした









「すみません」






うやうやしく渡された、ワンピースタイプ


チタンのプレートが、最低限の厚みで肩のアクセントになり
股下から左右の腰の上に深く入ったシャーリングは、見た目としてはイマイチだが








足は 爪先が膝のスライダーの辺りを通ってしまうと、何の引っ掛かりも無かった



両袖に腕を通し
上半身部を背負うように乗せ、一気に着込む






前面のジップを上げると、微妙にキツく感じた

股下から両肩の鎖骨の上が突っ張り、胸の辺りも圧迫感がある



そのまま上体をかがめて、腕を前に出してみる




嘘みたいに自由になる体


しゃがむ
左膝を前にグッと突き出す






(マジかよ)


何1つ突っ張らない


腿の左右




肩甲骨の下も
上腕の脇も






(そして、このブーツだ)

もう、迷走さんに履かせてもらってから 何としてもコイツだけは採用したかった
普通の革のブーツと殆ど変わらない可動域


履いた瞬間に、「本当にこれでレース出てイイんですか?」と聞いたぐらいだ





胸の辺りのキツさは気になったので
他のモデルも試してみる

サイズは48

よく分からないが、俺は昔から「標準体型」らしく
フォーマルにしろカジュアルにしろ
こういう服飾関係は、大概は直す必要が無い




胸の辺りの余裕はマチマチだった

試しに50も試してみるが、尻の辺りが余り過ぎて どうにもみっともない

しかも、多分確信犯な気がするのだが
気に入らない方に進む度に、動きがどんどん悪くなって行く





そうこうしてる内に、「迷走さん」が来た
わざわざ付き沿いを申し出てくれたのだ

この人のコチラ方面の知識は半端なく
安くない買い物をする身としては、これほど安心な事は無い



大体の感触を話すと、細かい注意点をアドバイスしてくれる


後は、自分の感覚だけだ





値段もそうだが
逆に言えば、なんの為に買うのか


妙な妥協は、全てを無意味にする





「もう一度、最初のヤツを」









一番酷いモデルからコチラに戻ると、歴然だった



落とすごとに増えた枷が、全て無くなる






走ってみたい




今すぐに
コイツで


菅生を















「コレ、お願いします」







ずっと接客してくれていた店員の顔が「えっ!?」と



会計から発送の話しまで
妙に嬉しそうに



まあ、安いもんじゃないからな


















「店員としては、アレは嬉しいと思いますよ」


帰りのファミレスで、しょうが焼きを頬張りながら迷走さんが言う





「?」




「普通は、スーツ(ツナギ)の事をそこまで理解してないお客さんも多い訳ですし

少しずつのグレードと機能の差は、口で説明しても なかなか伝わりませんから
そういう事も最初から言葉だけで、お客さんの求めている所まで誘導する訳です」





それでも、本当にそれで良かったのかどうか

後で文句を言われるかも知れないし
本人だって、永久に「これにして良かった」と思えるのかどうか


どんなに言葉を弄したって

値段の高さに、懐疑的だったり 難癖付けたがる客も居るだろう


逆に言えば、そこまでの機能性が必要無かったり 分からない客も









「でも、パツさんは知ってるじゃないですか



それが、あれだけきちんと全部試してから 一発で決断ですからね(笑)」








なんとなく分かる気はした


自分が売ってる物が、どんな人にどう使われるか

それ以上に、どれだけ理解されるか






更に言うなら、会計はカードで
支払いは1回


そりゃあ、スッキリするだろ










ただ






























明日から、当分夕飯は納豆ご飯になるであろう事は


流石に言えなかった(苦笑)






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