空気が鳴る
この、景色の違いはどうだ
タチの悪いアルファベットの切り返しを ど真ん中でぶった斬ると、車体が寝てるのも構わずに右手を捻り上げ
ゼブラで軽くズレる後輪に身震いしながら、アウト側に向かってミサイルのように飛び出す
クンっ クンっと、車勢をリズミカルに修正し
ほぼこの辺しかないって辺りに、R1の鼻先を打ち込んで
左足で軋む程に車体を掴み、頭に描いた曲線を
イメージに近いバンクまで一息で叩き落とす
「ガッ ガガガガガガガーッ」
爪先に不気味な感触
そのまま、アウトに流れ
レインボー進入に対して、最も良い突入角度を探る
(うん。 張ってる)
Gが
綺麗に引っ張られた車体とサスとタイヤが
立ち上がりに向かい「いつでも」と応える
空間を掴む
全てが加速に向かう
さっきよりも全然速く、メーターの数値が跳ね上がる
あっという間に、ヤツの横に並ぶ
(やべっ)
イン側からになってしまう
軽く戻して、後ろへ
角度が悪い
順番を待つように、右に倒し
崩れたGを立て直す間に、車間が開く
(まだまだ )
左
鋭さで凌駕する
今度はアウトから
焦らない
"抜ける"事を確認
シケインまで付き
ホームストレートへ
値踏み
1コーナーも、爪先から擦過音を鳴らし
だが、昔に近いイメージで2コーナーへの進入を作る
3
4
S字
( ここだ )
ハイポイントの手前で、イン側からブチ抜く
そのまま落ち着いてアウトに寄り
さっきのイメージで、切り裂いて行く
「47」
もう少し
だが、頭の隅には常に
『耐久である事』
『既に3度も転倒があった事』
『いつ、また雨が降り出すか分からない事』
そして
(あと、何周あるんだ )
3周程、47秒が続く
全ての周が違う
まだ、全くの未完成のまま
「あっ」
数10m手前でも分かる
備えた上で
1コーナーのグラベルに飛び出す
「暴れ・・・ん・・なっ!!」
ブレーキコントロールしながら、ウォッシュボードのように上下する車体を押さえ込み
大きく回り込んで、コースに戻る
段々 集中力が散漫になって来てる
更に、次の周でもレインボーで打点を外す
巻き上げた土埃を払うように、馬の背に向かって全開で
(冷静に)
ズレた芯を慌てずに少しずつ修正する
"1つのコーナーじゃない
1周を"
引っ張り切ったホームストレートから
鉈のように、フロントを打ち下ろして1・2コーナー
緩やかに、コース幅を使った3コーナー
メリハリをつけた減速から、我慢のバンク
余裕のS字の切り返しで、綺麗なラインを
レインボーへの突入、ハイポイントの脱出
霞む裏ストレート
奥歯の鳴る馬の背
「ガシュッ!」
左膝のスライダーをゼブラに掠め、SP-INからOUTを狙ったラインでブッた斬り
加速を緩めずに、110Rへ
待ち構えるシケイン
アウトから一気に倒し、力を掛けたまま左右に
(行け!)
今だけ
今だけは滑るな
空に向かって、13500まで
シフトインジケーターの白い光が網膜を焼く
登り切り、音をも追い越すような速度でホームストレートを駆け抜け
「46 PPP」
1周後のサインボードを見て、全ての緊張を解く
既に「P3」 「P2」は出ていたのだ
最後のチャンスだった
気を抜かずに、最後の1周を周り ピットに滑り込む
ストップボードに前輪が当たった瞬間に、体中の毛穴から魂が抜ける
フラつきながら降りた俺の肩を、ウッちゃんが「ポンっ」とやった
ウッちゃん「コース、何かある!?」
「大丈夫だ やりたい放題やって来い!!」
エースライダーの背中を見送ると
俺は、メットを脱ぎ
ピットの床に崩れ落ちた
(続
(photo by "meisou-rider")
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