Gasoline Alley #4 | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND














「こんのぉ・・・やらぁっ!!」




指3本がかかった"ホールド"に、右の全腕力をぶち込んで 体を引き上げる


プルプルと震える右手を補助する為に、速攻でその上のホールドを左で掴むと
4本でしっかりと保持できる形だったので、いくらかラクになり

落ち着いて両足をのせるヤツを探し
また体を引き上げる






「くっ・・・ ダメだ!!」


隣でGさんが、落ちて行く
床1面に敷かれた分厚いマットが、背中から落ちた体を「バフっ」と受け止める



まるで、ガキの頃に遊んだ児童館の体育部屋みたいだ





空調が適度に効いた、巨大な空間

色とりどりのホールドが並ぶ壁は、ピカソの絵のように曲がりながら様々な傾斜やオーバーハング等のシチュエーションを構成し
独特の空間を創り上げる





どうにかこうにかよじ登り、最後のホールドに手がかかる


渾身の力で体を引き上げ
両手できちんと掴まって「マッチング」をやり

下を確認すると、そのまま足から落ちて マットに転がる





両腕は握力も筋力も限界だった


だが





(楽しい 何だこの感じ)





最初は 子供の頃の、どこでも登るような遊びに近い印象だった


コースの見方と簡単な基礎を、Gさんと2人でヒョイヒョイとクリアし
初歩的な登りも難なく



いざ、ちゃんとした課題に挑むと 世界が一変した



ホールドを掴み、指先から腕を介し体に1本の安定感が"通った"感じ



「上を上を」と登りながら、ど素人なりに全身を駆使して

1つ1つ上昇して行く内に
コースを決めた人間の意図が見えて来る



邪魔にならなそうな所まで下がって、マットに座ると
息を整え、すっかりパンプした腕をフルフルと振りながら 他の人の動きを注視する





(・・・やっぱ、そうか)



慣れてそうな人の動きを見ると、明らかに腕に頼ってない


俺も、Gさんも
なまじ筋力があって、そこに自信もあるので
見た感じやイメージで、力づくで行ってしまっているが

それじゃあ、せいぜい"ごっこ"止まりだ







自分でも驚くぐらいに、コレに真剣になっている

こういう感じは久しぶりだった








更に難しいコースへ


選択肢が激減し、安定は遠ざかり、4手も進まずに落ちる



コースを睨む







「・・・駄目だ」






違う


俺が普通に考えた登り方では、どう見ても無理がある


行き詰まった先のホールドが小さ過ぎる、遠過ぎる




何だ?

どうすればイイんだ?



まだ、足の位置は指定されていない

だが、あれに飛びついて体を吊ったとしても
そこから体を引き上げて 上に上がるのは どう考えても無理だ









「体を入れ替えると、イイですよ」





「え?」







隣に居た年輩の方が


「ここから、あのホールドは 普通には無理ですけど・・・」

自分で登り始めた
淀みなく、驚くほどにスムーズに




正しい解答

そうだ
その筈だ



いくら、握力や腕や肩の
普段使ってない筋肉が、どーのこーの言ったって

この人は、明らかに
そんな体つきはしてない



「で、ココで こう向きを変えるんです。」








あ・・・。




左手でホールドを掴んだ瞬間に
上半身を反対に引いて、壁に対して半身に


「このホールドは、こちらに向かってぶら下がらないと 」

斜め上に向いた平らな面に、綺麗に指がかかり
"芯"が通るのが見えた



そのまま、普通に足をかけ
「グン」と上昇する体










魔法のように


届いた右手













俺は、滴る汗を拭うのも忘れ

ガタガタの両手で、スタートのホールドに飛びついた



(続




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