BANDIT #4 | すかいうぉーかー

すかいうぉーかー

CRAZY=SPELL−BOUND









いきなり離され
先制の






曲がった先で、直線の彼方
開いた距離


突っ込んで、飛び去る
4輪のコーナーリング











この野郎






一瞬で突き付けられ、眼圧が上がる








目も眩むスピード





蹴り落としたギア
響き渡る10000rpm前後の咆哮





飛び散る砂塵が、渦を巻く気流に飲み込まれ

視界の殆どがブレて消し飛びながら、両肩を掠めてフッ飛んで行く





彼方のコーナー入口に、全神経を突き刺しながら
R1のタイヤでS字のバンクを、左右に蹴り飛ばし



もう、殆どそこにしか無いラインに

何の余裕も無く、無理矢理矯正したGを捩じ伏せながら
引き摺りおろした車体のフロントを叩き込む



勢いのついた砲弾のように
制御の効かない、狂ったスピード








いっぱいから、メットがゴムポールに掠るぐらいのラインを



それでもコーナーリングが間に合わない

より長い直線を無理やり作り上げないと、加速でしか勝負出来ない










何ダ


何ダコイツハ




平仮名に変換する時間も無いと言えば、分かって貰えるだろうか






全身の肌が、アラートに粟立つ



一切の妥協無く加速した車体を、ロック寸前まで追い込んだブレーキで詰めても


引き寄せた白い巨体が、嘘のようなスピードでセンターのゴムポールを綺麗に舐めながら

吸い込まれるように消える



1車線だぞ?

あんな、幅ギリギリを






だが









もっと



もっとだ








「ブチ抜き~」から読んでる人は分かるだろうが
俺は四つ輪と絡んだ記事を上げた事は無い







無いのだ 



たまたま  速い車と絡んだ事が





こんなにも、速いのか


しかも、全く種別の違う
異次元の『敵』






緊張でパンパンに張った心臓は

しかし、感じた事の無い喜びが
奔流のように溢れ出す











(でも、  


コイツ 



相当速く無いか?)






経験が無いので自信は無いが

どう控えめに見ても、あのコーナーリングはヤバい



コッチも、流石にマージンは残しているが
本当に本気で走っている


正直、マシンを600ccに交換したいぐらいだ





寝かしたままで、滑る寸前までアクセルを開け

大外のいっぱいいっぱいまではらんでから、鼻の中に血の匂いがするようなブレーキ


暴れ、外れて飛んで行きそうなタイヤ
は 
抜けた荷重と僅かなギャップで、翼竜の鳴き声のような音をあげる







そこから一気に









「うわっ!?」



爪先が路面に掠った

バンクの感覚が追い付かなくなって来ている



それでも、車体を捻上げながら
アウト側に変わる左膝をタンクに叩き付けて切り返し



可能な限りの"レコードライン"を、撃ち抜く


唯一の救いは、後追いである事だけ




迫っても離れ

突き立てようとしては、消え去る




挙動を観察する暇すら無い









(凄い・・・)




車線の幅ギリギリなのだ




何故、あんな速度で回れて
はらみもしないのか






走り込んでいて

コースも熟知しているのかもしれないけど







逃がしてはいないが


僅かに自分が負けているのが分かっていた




それでも

全然悔しくないのだ









よくも



よくも、抉じ開けて
引き摺り出してくれたな と



いつの間にか
笑っていた












そして、狂ったダンスは

突如終わった




TIPE-Rがウィンカーを出した


小僧区間の駐車場へ入る





この区間だけで遊んでるのか










(・・あっ、そうだ)







Sの事を思い出し

駐車場出口付近に停まり、ウィンカーを炊く






TIPE-Rのドアが開いた



眼鏡のボサボサの黒髪が、満面の笑みで















「速っええええ~(笑)」










知っている
脳内麻薬を出しまくった、"脳が開いた"顔だ

全身から、何かが湯気のように立ち上っているのも分かった



そして























それは、俺も同じだった



(続




 
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