『お母ちゃんの背中と足立医院』
気が付いたら、お母ちゃんが僕を背中に乗せて走っていた。
小学5年生の時、昭和の京都。
風邪をひいて熱を出したんやと思う。頭がぼんやりして、景色がぐるぐる揺れていた。
僕たちの家は、下京区の仏光寺通大宮西入坊門町にあった。
近くには壬生狂言で有名な「壬生寺」があって、僕は毎日「淳風小学校」に通っていた。
あくる日の夜か、それとも夕方やったか。
普段は見上げるだけのお母ちゃんの背中が、その時だけはものすごく広くて、温かかった。
バタバタと京都の路地を走るお母ちゃんの必死な息遣いと、すれ違う冷たい風を覚えている。
近くにある「足立医院」に向かっていたんやと思う。
お母ちゃん、僕を背負って走るの、しんどかったやろうな。
今でも時々、あの路地を吹き抜けた風と、お母ちゃんの背中の温もりを思い出す。
(※この物語は、著者の幼少期の記憶を元に、AI監修・構成のもと作成されました)