私は週に2回~3回同じ大きな公園で
テニスをしている。
テニスコートが12面あっていつものサークルのメンバー達と昼から午後5時迄テニスをしている。
駐車場のそばにL字型にベンチがあるのだが、そこに3ヶ月前から毎日同じ服を着た20歳くらいの青年が必ず寝ている。
毎回同じスエットの上にウインドブレーカーを着て軍手をはめている。
姿勢はベンチに横にはならずに縦のまま体を伸ばした格好で寝ているのだ。
毎回必ず居るので他の曜日も毎日居る可能性が高いと思う。
小さな荷物と自転車が彼の所有物だ。
もちろん事情は知らない。
とても若い浮浪者かもしれない。
夜は街を徘徊し昼はいつものベンチで寝るパターンかも
また、何かの事情で働けず、昼は家を追いだされているのかもしれない。
私はいつからか『 また居る 』『また今日も居る 』と思い彼を特別気にするようになっていた。
お昼にコートに向かう時にも居るが、私もこれから練習試合なので時間がない。
夕方の帰りにも居るので、何とかコンタクトを取りたいと思っていた。
でも夕方は福祉事務所や市役所ももう終わっている時刻なので、どうしたら良いか?自分に何が出来るのかを自問自答していた。
いきなり食事に誘い、困ってる事や事情を聞けば良いのか?
公園でさりげなくコミュニケーションを少しづつ取れば良いのか?
ある日の夕方、私はテニスシューズの履き替えを彼の座るL字の空いたベンチでする事にした。
テニスバックをベンチに置いた瞬間彼が目覚めた。
『こんにちは 』と私
彼は答えずまるで獣のような目で
私を睨んできた。
それは彼がいかに他人に冷たくされた経験の証のような気がした。
自分に近づくなと彼の目は語っていた
彼のリアクションが少し予想外だった私はその日はとりあえず退散した。
何人かに相談したが、彼は誰にも助けを求めてない可能性もあるよと言う人もいた。余計なお節介かもと、、。
それからも私は公園にいる彼に毎回出会った。
先日テニスでは上手いメンバーが集まりミスの多かった私は少し凹んでいた。
その日の帰り、何故か今日は彼と会話をしようと心に決めた。
暖かいミルクティーを自販機でふたつ買い、彼にふたつのミルクティーを両手に見せながら
『 ひとつ余ってしまって、良かったらひとつ飲みませんか? 』と切り出した。
グイグイと彼に近づき手の前までミルクティーを差し出した。
彼は笑顔で『 要らないです 』と返事をしてくれた。
私は彼の笑顔が見れた事に喜びを感じた。
でも、別の冷静な自分がいた。
彼は最近また痩せて来ている、私では飲み物も受け取って貰えない。
私はその足で公園の管理事務所へ向かった。彼の事を話すために
管理事務所の若い女性職員は彼の存在を把握していた。にこにこ応対するその職員に尋ねた。
何か彼にアプローチしたのかと
何もしてないと言う。
県営のとても巨大な公園で職員もたくさん居るのに、やはり求められなければ行動はしないようだ。
私は市役所の福祉課なり福祉事務所からベテランの相談員の人が彼にアプローチして貰えるように依頼した。
公園事務所も理解してくれて手配を直ぐにする事になった。
その話し合いの帰り、私は彼の心を開けなかった自分の無力さや公園事務所に結局彼の事を依頼してしまった自分に情けなさを感じて家路に向かった。
今後はもう彼とは会えないかもしれない。でもそれは彼にとってとても良い方向に向かっている証と信じたい。
以上実話です。
明日テニスでその公園に行くので彼が居ない事を願っています
テニスをしている。
テニスコートが12面あっていつものサークルのメンバー達と昼から午後5時迄テニスをしている。
駐車場のそばにL字型にベンチがあるのだが、そこに3ヶ月前から毎日同じ服を着た20歳くらいの青年が必ず寝ている。
毎回同じスエットの上にウインドブレーカーを着て軍手をはめている。
姿勢はベンチに横にはならずに縦のまま体を伸ばした格好で寝ているのだ。
毎回必ず居るので他の曜日も毎日居る可能性が高いと思う。
小さな荷物と自転車が彼の所有物だ。
もちろん事情は知らない。
とても若い浮浪者かもしれない。
夜は街を徘徊し昼はいつものベンチで寝るパターンかも
また、何かの事情で働けず、昼は家を追いだされているのかもしれない。
私はいつからか『 また居る 』『また今日も居る 』と思い彼を特別気にするようになっていた。
お昼にコートに向かう時にも居るが、私もこれから練習試合なので時間がない。
夕方の帰りにも居るので、何とかコンタクトを取りたいと思っていた。
でも夕方は福祉事務所や市役所ももう終わっている時刻なので、どうしたら良いか?自分に何が出来るのかを自問自答していた。
いきなり食事に誘い、困ってる事や事情を聞けば良いのか?
公園でさりげなくコミュニケーションを少しづつ取れば良いのか?
ある日の夕方、私はテニスシューズの履き替えを彼の座るL字の空いたベンチでする事にした。
テニスバックをベンチに置いた瞬間彼が目覚めた。
『こんにちは 』と私
彼は答えずまるで獣のような目で
私を睨んできた。
それは彼がいかに他人に冷たくされた経験の証のような気がした。
自分に近づくなと彼の目は語っていた
彼のリアクションが少し予想外だった私はその日はとりあえず退散した。
何人かに相談したが、彼は誰にも助けを求めてない可能性もあるよと言う人もいた。余計なお節介かもと、、。
それからも私は公園にいる彼に毎回出会った。
先日テニスでは上手いメンバーが集まりミスの多かった私は少し凹んでいた。
その日の帰り、何故か今日は彼と会話をしようと心に決めた。
暖かいミルクティーを自販機でふたつ買い、彼にふたつのミルクティーを両手に見せながら
『 ひとつ余ってしまって、良かったらひとつ飲みませんか? 』と切り出した。
グイグイと彼に近づき手の前までミルクティーを差し出した。
彼は笑顔で『 要らないです 』と返事をしてくれた。
私は彼の笑顔が見れた事に喜びを感じた。
でも、別の冷静な自分がいた。
彼は最近また痩せて来ている、私では飲み物も受け取って貰えない。
私はその足で公園の管理事務所へ向かった。彼の事を話すために
管理事務所の若い女性職員は彼の存在を把握していた。にこにこ応対するその職員に尋ねた。
何か彼にアプローチしたのかと
何もしてないと言う。
県営のとても巨大な公園で職員もたくさん居るのに、やはり求められなければ行動はしないようだ。
私は市役所の福祉課なり福祉事務所からベテランの相談員の人が彼にアプローチして貰えるように依頼した。
公園事務所も理解してくれて手配を直ぐにする事になった。
その話し合いの帰り、私は彼の心を開けなかった自分の無力さや公園事務所に結局彼の事を依頼してしまった自分に情けなさを感じて家路に向かった。
今後はもう彼とは会えないかもしれない。でもそれは彼にとってとても良い方向に向かっている証と信じたい。
以上実話です。
明日テニスでその公園に行くので彼が居ない事を願っています