5日の夕刻、標題のリサイタルに行ってきました。会場は日経ホール、初めて足を運ぶ会場です。竹橋駅から歩いて向かいました。大変わかりやすい場所にあり、迷わずにすみました。端的に言うならば、東京消防庁のビルの後ろですね。日経新聞の本社ビル三階に、同ホールがあります。全席610席。チョイスしたお席はA列21番、最前列です。使用されたピアノはスタインウェイでした。プログラムはベートーヴェンのピアノソナタ30,31,32番でした。アンティーシーララはフィンランド出身のピアニストで、1979年生まれ、今年で45歳ですね。

 

  ←使用されたピアノです                       

 

さて、演奏はといいますと、とても理知的な、落ち着いた演奏だったと思います。7月17日に同じ曲目をルーテル市ヶ谷で聴いていますが、今回の会場はホールに高さがあり、ピアノの響きはとてもよかったと思いました。ピアノソロのリサイタルの場合、最前列で聴いても、ホールの後方で聴いても、それなりに楽しめるところがよいところですね。最前列ですと、ピアニストのタッチがすごくよくわかります。アンティ・シーララは、いつも一定の、大きくは変わらないタッチで弾いていました。それでも、32番の第1楽章が終わり、第2楽章に入る部分、動から静へ変わるところでは、やや長めの間を取っていました。気持ちを落ち着けるためでしょうか。そして、それは見事に成功し、集中力が途切れなかった第2楽章はそれはそれは見事なものでした。

 

 今回気づいたことが二つありました。ひとつは、31番から32番への移行のこと。31番はとにかく盛り上がって、強い大きな音で推移して終わります。その状況で32番冒頭が同じくらい強く、大きな音で始まるので、連続性を強く感ずることです。30番よりも31番の方がスケールが大きいこともあって、30番でだんだんと盛り上がり、31番、32番第1楽章で繋がりかつピークに達し、そして32番第2楽章で落ち着き、内省的になり、余韻を残しつつ終わるという仕掛けなのですね。この3曲を連続で聞く価値がここにあるように思われます。そしてもう一つは、ベートーヴェンのピアノソナタは32番が最後ですが、同曲第2楽章を聞き終えても、これで終わり、という感じがちっともしないことです。まだまだ物語の続きがある、というような印象を感じます。ベートーヴェンは33番をどんな風に構想していたのでしょうか。なんだか気になってしまいました。

 

 大変素晴らしい講演でした。素晴らしかったです。今も頭の中では32番が鳴っているような気がします。チケット代もリーズナブルでよかったです。

 

★★★★★

 

ファンケルがスポンサーに入っていたこともあり、お土産までありました。嬉しいですね。

 

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