先週の土曜日、この講演を聴くためにNHKホールに行ってきました。今回が春のシーズン定期の最終回で、今回の3回の演奏は2階C13列9番の席をキープしていました。珍しくシーズン定期を買ったのは、プル7に加えて沖澤さんの指揮も聞きたかったからなのです。オケは通常の並びで、「夜想曲」の女声合唱は、全員真っ白い衣装を身にまとって第1ヴァイオリン後方に位置しました。出演とプログラムは次のとおりでした。

 

プレ演奏・室内楽  アンドレ・ジョリヴェ「クリスマスのパストラール」

  出演 甲斐雅之(フルート)

     水谷上総(ファゴット)

     早川りさこ(ハープ)

  出演

   指揮 : 沖澤のどか
   ピアノ : デニス・コジュヒン
   女声合唱 : 東京混声合唱団(夜想曲)

 

  プログラム

   イベール/寄港地
   ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
   ドビュッシー/夜想曲*

 

 今回は実は室内楽をふくめて全てフランスの作曲家の手になる曲ばかりのオール・フランス・プログラムでした。室内楽では水上さんが司会的な役割を努めて進行、語りもなかなかうまいものでした。演奏もバランスがよく、素晴らしくて堪能できました。それで、本割りになってみると、水上さんは……舞台上にいません。甲斐さんと早川さんはいらっしゃいましたけれど。。。なんと、室内楽のためだけにお休み返上で吹いてくれたのですね。いやいや、ありがたく、また素晴らしいです。

 

 今回のプログラムについて、もう一つ楽しみにしていたことがありました。それは

「左手のためのピアノ協奏曲」です。小生、ラヴェルの2つのピアノ協奏曲はどちらも大好きなのですが、「左手」は演奏の頻度が少ないように思います。「ト長調」の方が多いですよね。デニス・コジュヒンの演奏を聴くのは初めてで、楽しみにしておりました。

 さて、まず感じたことはラヴェルのオーケストレーションの素晴らしさですね。ラフマニノフのピアノ2番などを聴くと、オケの音がかぶってしまい、ピアノの音がよく聞こえないところがあります。ピアノの演奏とオケの音とがほとんどかぶらない。それでいて、両者が一体化している感じがとても素晴らしいものでした。

 

 おそらく上記のこともあってか、オケの演奏が力強くて、沖澤さんの指揮は動きは派手ではありませんが、オケが気持ちよく鳴っていました。そしてピアノはというと、左手一本での演奏ですから、右手はだらーんと下がっているだけ。何となくではありますが、ソリストも自由を失ってバランスが悪いように見えました(あくまでも■によるものです)。こういうとき、左右両方を使えるのは、逆に不自由に見えてしまいます。不思議ですね。演奏はまずまずだったでしょうか。オケの演奏とも相まって、小生はかなり満足しました。

 

 夜想曲は女声合唱が印象的で、落ち着いたものでした。まあ、夜想曲だっただけにフランス人演奏者に顕著な、ある意味での派手さはありませんでした。他の2曲も同じ。沖澤さんの個性なのでしょうか。全体としてしっかりとした、いい演奏だったと思いました。N響と相性が良さそうです。今後も沖澤さんには注目ですね。

 

 

★★★★1/2