後半はベルリオーズの幻想交響曲。2日ともに前半は女性、そして後半は男性のコンマスで、二人体制でした。南総文化ホール、サントリーホール、ともに聞こえ方はまずまずでしたが、やはりサントリーの方が勝っていたかと思います。オケは普通の並びで、ホルンはやや中央より、サントリーのLC席ですと正面にチェロ、コントラバスが見え、音がよく飛んできます。第1、第2ヴァイオリンも同様ですね。ホルンは壁に近い位置ですとややうるさいのですが、中央よりなのでちょうどいい感じでした。

 第3楽章の別働隊ですが、南総では小生の右後方から聞こえてきました。2階席のどこかで吹いていたのでしょう。そのためか、とてもクリアーで舞台上のイングリッシュホルンとの掛け合いがよく聴こえてよかったです。一方サントリーでは、舞台向かって右側の楽屋でしたが、音量はかなり小さくてちょっと残念。第5楽章の鐘の別働隊はどちらも舞台向かって左側の楽屋で、鮮明かつ強烈に響いていました。

 

 木管の演奏がとても素晴らしく、特に印象に残っているのが第4楽章最終盤のオーボエです。高い音でまるで金切り声を上げるかのような音色で強く吹かれる中から生まれる音は、悲痛さ、恐怖、そして狂気への入り口のように感じられてしまいました。この後に金管、打楽器によって処刑が示唆されますね。

 

 二日間ともにヤマカズさんの後ろ姿をも観察することになったのですが、第5楽章の最終盤の動きは南総の方が激しかったかもしれません。何せ全身をブルブルと震わせてのパフォーマンスは、南総の方が勝っていたと思います。前日が激しすぎたためか、サントリーではとてもおとなしく見えてしまいました。

 

 アンコール曲は両日ともにビゼーのアルルの女から「ファランドール」。「幻想」第5楽章の熱気そのままにこの曲への突入で、ますます盛り上がりました。南総では曲の最初の方から聴衆の手拍子を促されましたが、サントリーでは最終局面で促されました。

 

 そして、感動的だったことがさらにもう一つ、終演後のことでした。舞台上には楽器を片付ける団員たちがおりましたが、聴衆が団員たちに拍手、素晴らしく心温まる情景でした。そのうち他の団員たちも部隊に戻り、そしてヤマカズさんも再登場、拍手はますます大きくなり、ホール内は和やかで暖かい空気に満たされました。これは大変に素晴らしかったです。記憶に残る講演会となりました。

 

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