有事対応に不慣れな国 真摯な国 | 「沖縄病」の楽しみ方…?

「沖縄病」の楽しみ方…?

空港に降り立った途端に味わうまったりとした空気感が好き…
「また来たよ…」とついニヤリとしてしまう…
先日戻ったばかりなのにもう次の訪沖のことを考えている…
そんなあなたの症状を改善? 助長? いたしましょうかね~

沖縄地方はもう梅雨入りしましたね。
これから暫くは、湿った空気に覆われ、蒸し暑く感じる日々が続くのでしょう。
それも6月にもなれば、降雨は少なかったりして、
観光客には、費用的には結構「穴場」な時期なんですよね…(内緒?)

~~~ もう直ぐ、月桃の花が咲き、アジサイの花が満開になり、
 初夏の沖縄は花の香りに包まれます ~~~
 
(閑話休題)
先月、台湾南部の台南市において、
高速道路を一時封鎖しての陸海空3軍による本格的な実戦演習が実施されたそうです。
中国には台湾を射程に収めたミサイルが1400基以上設置されていると言われ、
その脅威に常時晒されている台湾では、
毎年、中国軍による侵攻を想定した有事訓練を行っているのです。
今回の演習では4年ぶりの高速道路封鎖なんですが、その主旨は…
「空軍の飛行場がミサイル攻撃により破壊された」
との想定で、高速道路を滑走路として代用し、戦闘機の発着訓練を行う…
と云うものでした。
 
ところで、この「代用滑走路」(代替滑走路)とは、
戦争など緊急事態が発生し、敵機の襲来などで軍の空港が破壊されて使用不能に陥った場合に、
軍用機の離着陸に臨時的に使用される高速道路や民間の滑走路のことを言います。
上述の台湾だけでなく、
韓国でも「非常滑走路」と称する高速道路が整備されています(5箇所だと思いますけど)。
欧州においても、
ドイツ、オーストリア、ポーランド、チェコ、スウェーデンなどで、多数の区間で整備されていました。
複雑な山岳地帯の中でも極端なくらい真っ直ぐな設計…
区間の最寄には誘導路や駐機場、移動式管制所、移動式レーダーまで整備され…
周辺の構造物は高さ制限を受け…
電線類は地下に埋設され…
冷戦時代の東西諸国間の緊迫した関係を反映していたものですが、
現在は、冷戦終結に伴い、
それらの殆どは解体や指定解除されており、
スウェーデンでは、この運用方式自体を廃止しています。
緊張緩和の欧州に対して全く対照的なのが、東アジア諸国(日本を含め)なんですね。
 
で、現在も緊張関係にある東アジア諸国の一員である我が日本国ですが、
こうした有事の際の突っ込んだ議論が表舞台に出ないのは、「言霊の国」(HP「四十路 Fra.」を参照して下さい。22年12月期の頁に記載しています。HP「四十路 Fra.」へは、 【http://2nd.geocities.yahoo.co.jp/gl/lmeg_mamo0821】)ならではの悪習だと思われますが、
航空自衛隊が北海道の計根別と八雲飛行場を指定している他、
宮古島市の下地島空港も臨時徴用することも想定されているそうです。
 
沖縄通の皆さんはご存知だと思いますが、
下地島空港は、日本では数少ない定期便の就航の無い民間パイロットの訓練専用空港です。
この空港は、かねてから「軍民共用化」の問題が取り沙汰されているのですが、
尖閣諸島に近いこの小さな島が、
我が国が直面する緊迫した軍事情勢の実態を象徴する存在であることを如実に語っています。
(その詳細については、後日改めて…)
 
更に、在日米軍の立場では、
1972年(昭和47年)5月の沖縄本土復帰の際に「日米合同委員会」において交わされた密約「5.15メモ」が平成9年に公開されていますが、
「県道104号線越え実弾射撃訓練」問題が象徴するような、
我々一般市民が久しく知らされないでいた在日米軍の基地内施設の使用実態が明らかになっています(それがどのような「実態」なのかは、皆さんで調べてみて下さい)。
県道104号線(金武町)は、その両側がキャンプハンセン基地であることから、
県と町の抗議に対し(国は抗議する側ではなく、抗議される立場なんです)、米軍側は非公式に、
「同県道は提供施設内であり、本来米軍が常時使用してもいいが、復帰時の日米合同委員会の合意(「5.15メモ」のことです)によって、米軍の活動を妨げない限り一般住民の使用が認められている」
と主張しているのです。
こうした米軍側の認識は昭和時代の過去のものではありません。
山口県にある岩国基地では、
基地の境界線フェンスに 「U.S.GOVERNMENT PROPERTY 米国官有資産」
との看板を掲げていたのが発覚し、外務省から抗議を受けて撤去した…
と云う事件が新聞報道されていました(23.4.17 中国新聞)。
日本人としては何とも遣る瀬無い話ですが、
米国(在日米軍)にとっては、
日米安全保障条約(日米地位協定)に基づいた当然の行為であり、
その業務に支障を及ぼす虞のある行為や施設に対しては、徹底的に排除(徴用)する…
と云うのが正義(大義)なんでしょう。
 
とすれば、かつては「軍用道路1号線」と称された国道58号線も~
那覇の市街地を出て暫く北上すると見えてくる巨大な倉庫群の牧港補給基地…
その先の宜野湾市の中心部を占領している普天間飛行場(件の)…
その北側にある北谷町と北中城村、沖縄市を跨いで広がるキャンプ桑江やキャンプ瑞慶覧などの海兵隊基地群…
更にその北にあるのが、「不沈空母」の異名をもつ太平洋地域全体の作戦拠点である嘉手納基地…
同基地の北側の読谷町にあるのが、核弾頭貯蔵の事実が判明した嘉手納弾薬庫地区…
同地区と58号線を挟んだ海側にあるのが、米陸軍の特殊部隊グリーンベレーが配備されているトリイ通信基地…
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普段は西海岸のリゾート地区へ通じる開放感のある(多少混雑していますが)一般国道ですが(何と言っても片側3車線ですから)、
有事の際にはどのように扱われるのか想像してみるのが怖いような軍事的に重要な施設ばかりが並んでいます。
勿論、代替滑走路としての使用に耐えられるような構造にはなっていないそうですが、
あの「那覇大綱挽」の舞台となる松山町辺りの中央分離帯は、
取り外しが可能な造りになっているのです。
あれは祭のためにそうなっている訳ではありません。
それこそが、「代替滑走路として使用する事が想定されている」との憶測が流れる要因でもあるのです。
 
大震災から2ヶ月近くが経過し、
私達の意識も、東方向だけでなく、自分の足元も見つめ直す思慮が戻ってきたようです。
四方八方に思考のアンテナを張り巡らせましょう(特に南西方向ですね)。
今、東アジアで何が起ころうとしているのか…
我が国はそれにどう対処すべきなのか…
その時、在日米軍はどう動こうとしているのか…
若夏の晴天の下の国道58号線は、
凄まじいまでの沖縄の歴史を見守り続けてなお、開放的な装いでいながら、
厳しくも私達に難題を突きつけているようです。