STAND PROUD ! Ⅱ / 柴田直人(再UP) | お茶どうぞ(仮)

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企画物ではあるが柴田直人、唯一のソロ作品と言っても差し支えないであろう作品がこの
「スタンドプラウド!Ⅱ」である


この「スタンドプラウド」シリーズは主役のミュージシャンが影響を受けたルーツや楽曲をさらけ出すというコンセプトであり、この「柴田直人」編は第一弾の「屍忌蛇」編に続き発表されたものである

企画ものというのは実はポイントで
柴田直人に対して

「ソロアルバムをお願いします」

などというオファーがどんな形であれ
きたとして、興味はあるにしても自らの分身である楽曲への妥協をあそこまで排除する信念の男が安請け合いをするはずがない

ただ、シリーズ、企画ものという
敷居の低さにカレー番長の遊び心も
踊ったに違いない(笑)

また、そういう遊び心を排除した
自らのソロキャリアの
第一歩となるようなオファーであれば
やはり不完全主義者
(誉めてる)の事であるからして
出来ない理由を探して
やらなかったのでは?
と自分は予測している

しかしやるときはやる男、柴田直人
一旦スイッチが入り、やると決めれば
遊びも真面目、仕事も真面目(笑)
結局はスタートラインに立つまで
如何にモチベーションを高めるかが
すべての男柴田直人(笑)
始まってしまえば選曲、プレイ
サウンド、一切の手抜きがない
ガチアルバムが完成しました
(こういう事がブランドなんだよね)

さて本業としてきたアンセムやラウドネスでは徹頭徹尾ヘヴィメタルを追求してきた柴田直人のルーツとは一体如何なるものなのか一曲ごとに紹介しようと思う()内はオリジナルアーティスト

①「OVER THE HILLS AND FAR AWAY」
(ゲイリー・ムーア)


いきなり名盤
「ワイルド・フロンティア」
からの選曲である
大胆にも柴田本人が歌っているのだが
意外や曲世界にマッチしており
あまり違和感はない

短いギターソロだが清水昭男が
凄い切れ味をさりげなくみせている
(以下すべてのベースプレイは
柴田本人が演奏している)

②「TURN UP THE NIGHT」
(ブラック・サバス)


サバスのナンバーを選ぶのにここから攻めるか~という意外なチョイス。まぁディオ期を好むのは理解できる
ボーカルは二井原実(ラウドネス)
ギターは屍忌蛇、ドラムはKATSUJIの元ガーゴイル組

③「THE LOOK IN YOUR EYE」
(ヒューズ・スロール)


チョイスが通だし渋すぎる
「Got Your Number」とかじゃなく
これを選ぶセンスが素晴らしい
でも一体誰が歌うのか?
と、思えば何と小野正利である
(発表当時はまだ芸能フィールドの
お方という世間の認識でした)
グレンとはひと味違うがこちらの
歌唱も絶品で一気にイメージアップ
この見事なハイトーンはカバーが
本家に肉薄、いや、もしかしたら
越えるレベルであると言えよう




④「READY FOR LOVE」
(バッド・カンパニー)


意外な選曲のブルース・ロック
ボーカルの下山
(サーベル・タイガー
ダブル・ディーラー)
はこういったタイプの曲の方が
自然な魅力が出ているように思う
ギターは木暮武彦
(レッド・ウォーリアーズ)
ドラムが本間大嗣
(アンセム、ラウドネス)
というほぼ北海道出身者で構成

また、ピアノの三柴理
(筋少、特撮)が素晴らしく
タメの利いたプレイでGood

⑤「WAITING FOR ALIBI」
(シン・リジィ)


やはりシン・リジィは外せないらしい
ベーシスト目線だとこの選曲になるのか?
このアルバムからだと
「With Love」とかやって欲しかった

⑥「YOU FOOL NO ONE」
(ディープ・パープル)

素晴らし過ぎる…
リッチー・ブラックモアそのものの小西
デヴィッドになりきる高谷学
(ブラインド・マン)
グレン・ヒューズに肉薄する森川之雄
(パワー・ヌード、アンセム)
こんなファンキーなリズム叩けたのか
本間大嗣

流石に業界屈指のグレン擁護派と
言われる柴田直人
パープルをやるなら第3期から
というのは当然の帰結

⑦「SINCE I'VE BEEN LOVING YOU」
(レッド・ツェッペリン)


うわ~っまさかのZEP
北島健二(フェンス・オブ・ディフェンスって書いても既にわからないよな?もうチェリーボーイズのイメージだもん)
の貫禄たっぷりのギター
大内(アンセム他)のボンゾっぷり
ロバート・プラントに聴かせてみたい人見(バウワウ)の素晴らしい歌唱等
聴き所は多い



⑧「NOTHING TO LOSE」
(U.K.)


意外に思われるかもしれないが
柴田はANTHEMでのデビュー以前は
北海道でプログレバンドを結成
活動していた

それにしても… 渋すぎるっ!
セカンドアルバム
「デンジャー・マネー」
からのピックアップ

ボーカルには元四人囃子の佐藤を迎え
キーボードには厚見玲衣(バウワウ)
バイオリンに弦一徹、ドラムは本間
ギターは柴田自身がプレイしている
佐藤のウェットン振りがまた素晴らしく
アルバム中でも屈指の仕上がりである

⑨「FIRE DANCE」
(レインボー)


出ましたレインボー
また選曲をひねってきたな
後期様式美路線からの一品
歌は下山武徳



⑩「CATCH YOUR TRAIN」
(スコーピオンズ)



わざとですか(笑)
何故この曲なんだ!
通好みだな~好きだけど
NOV(アイオン、ボルケイノ)の
ねちっこいボーカルが妙にハマってるし
足立祐二(デッド・エンド)の流麗なギターワークも久しぶりに聴く事が出来る

⑪「STARLESS」
(キング・クリムゾン)


これも素晴らしい出来映えである
柴田自身これを録るのが一番疲れたと
振り返る渾身の一曲
ウェットン役はやはり佐藤満
ロバート・フリップには和嶋慎治
(人間椅子)サックスに河野利昭
という布陣。後半のカタルシスは
オリジナルを凌駕するレベルに
仕上がってます。圧巻!



⑫「CANDLE LIGHT ~ THROW DOWN THE SWORD」
(ウィッシュボーン・アッシュ)


何とウィッシュボーン・アッシュからの
セレクト。この哀感はキャリア不足だと
絶対に出せないであろう70年代当時の
空気を見事に捉えた力作で
オープニングと同じく柴田が
リードボーカルをとっている
アルバムの締めとしても
絶妙の配置で感嘆しきりだ

さて本作にはシークレットトラック
として最後に一曲収録されているが
その曲も知る人ぞ知る○○で
( ̄ー ̄)ニヤリとする事請け合いだ
(何かは秘密)

普段やっている音像からは
想像もつかない音的なルーツを
垣間見る事の出来る本作は
好企画だと思う

本人のガス抜きにもなっただろうし
作品単体として見た時にも
素晴らしい物が出来たというのが
またなによりである
所詮はカバーアルバムという
斜め目線でみるよりも
素直に過去の名曲群を楽しめば
いいのではあるまいか?

こういったルーツを知るという行為は
今まで聴いてきた音楽に新鮮な解釈を
加えるスパイスになったり新たな
バンドとの出逢いに繋がったりして
とても有意義なものになる側面が
あるんじゃないかな

興味の湧いた方は入手可能な
うちに手にとってみてください

追記

こちらもオリジナルの記事を書いた
時からは相当な時間が経ってしまい
かなりの加筆をした

このシリーズはこの後、小野正利
SYUのガルネリウス組2人が
出したんじゃなかったかな?
(柴田編に参加してた時
小野はまだソロだったはず)

うろ覚えだが当時は柴田直人が
ラウドネスに在籍中か脱退直後で
「wild frontier」ではコーラスで
森川之雄が、ドラムが本間
ギターが清水と一足早いアンセム
再結成が既に行われていたり
各曲の人選を見ていると仮想アンセム
もしくは新バンドの試運転のような
ものが透けてみえる瞬間があり
マニアは思わずニヤリとしてしまう

それ以外の人選についてはそれこそ
憧れや遊び心もあったと思うが・・

また本文中でも触れたが
柴田直人がプログレをルーツに
持っているのは間違いなさそうで
少し話が脱線するけれども
アンセムの
「immoral tour final」
というLIVEにおいてバンドはFOCUSや
king crimsonのフレーズをそのまま曲中にはっきりと当てはめたアレンジを披露するなどしていたが、その日もツアー終了後もそれについて言及する人々やブログなどはついぞお目にはかからなかった

まぁ、それは逆説的にアンセムが現役とし純粋な推進力(多少なりとも現代性)を保っている事の証明なのかもしれないし、そこの部分に気づかなかった人達にこそこのアルバムを楽しむ余地は大いに残されているんではなだろうか?

追記の追記

こちらの記事についても
現状で可能な限り参考音源への
リンクを新たに貼り付けて再度
公開する事にしましたので
興味が湧いた方々は更に
オリジナルアーティストを
チェックするとこの作品が
もっと楽しめると思う