取材日時 2007年 8月16日
コメント・北海道の産業遺産である廃炭鉱を尋ねる旅も、そろそろ終焉を迎える。
今日凸したこの物件は、これまで予想以上に遺物の少なさに落胆してきた俺を一転して狂喜させるほどに素晴らしい保存状態だった。
後から知ったことなのだが、この赤平はある限定された時期のみ内部を一般公開しているとのこと、どうりで壊れているところや、長年放置されて朽ちているようなところが殆ど見受けられなかった訳だ。
このヤマが生きていた姿をそのまま残していくという事、それは我々の世代さらにその後世まで語り付けていく事、北海道の歴史を知る事であり、石炭を取り巻く数多くの産業の隆盛と衰退を知る事であり、石炭のガス化利用が注目されつつある今、利益と繁栄だけを追い求め、その渦中に巻き込まれていった数え切れない程の殉職者を二度と出さない、負の遺産をこれ以上残さない、同じ過ちを繰り返さない為の無言の教訓を目撃する為に、三井、三菱、住友はその遺産の保存管理に今以上に尽力して欲しいと、俺は立坑櫓の中を歩きながらしんみりと感じた。
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管理人とのニアミス発生
で、ここの物件の探索をひととおり終え、一服してから外に出ようと思っていた刹那である。
直ぐ側で車のドアが締まる音がして、自分が居る選炭施設のシャッターが勢いよく開けられたのである。
「ヤッバッッッッ!!!!!(滝汗」
タバコを直ぐに消し、三脚に取り付けたままのカメラを抱え、凸してきた窓の側に匍匐前進して物陰から外の様子を伺う。
そして、作業服を着た住友の職員の姿を確認して脱出のタイミングを伺う。
職員が車のほうに戻って何か荷物を運び込もうとしていたらしい、その瞬間俺は手にした荷物をまず外に放り出し、
相手がその物音に気が付いていないのを確認した後、決死の覚悟で頭から外に飛び出した。
グチャッッ!!!!「グヘッッッッ!!!!ペッペッペッペッ!!!!(死」
頭から雨でぬれた雑草の中に飛び込み、全身草まみれ泥まみれになった。
そして、すぐにカメラと三脚と七つ道具の入ったバッグを抱え、脱兎の如く裏側の草薮の中へ全速力で駆け出したのである。
もう久し振りの全力疾走である、2~3分ほど走って敷地の外に脱出した後は暫く立ち上がることが出来なかった。
結局見つかる事無く、ニアミスで済んだのだが、廃虚探索するに当たって必要と思ったのは、咄嗟の時のダッシュ力とスタミナだ。
タバコを吸っっている上に、日ごろの運動不足がおもいっきり祟ってしまった。
まさか、北海道まできて不法侵入でK察のお世話になりたくは無い。
最後の最後で油断してしまったのは、それなりの廃虚キャリアを積んできた俺としてはうかつだった。