Botom line, botom job. -23ページ目

Botom line, botom job.

結局のところ、底辺職。

土曜日の始発2本目は人もまばらで窓ガラスにびっしりと水滴。その向こうに雨に霞むグレーな街。


雨作業は嫌だけど、

こういう天気もあるよ。

雨降らないと畑の作物育たないしね。



昨日、ベテランさんと組んで、


「kenさん走らなくていいですから」

「俺ずっとこの仕事してて走る癖が付いちゃってて」

「自分のペースでやってください」


と走りながら言ってくれる。


はい。

出来る限り着いて行きます。


後を追いながら大声で答える。



午前中の作業終わって、


「流石ですねぇ」

「走りますね」


いえ。

必死です。



ダッシュして走って息が切れて吐きそうになって膝も痛いし、

それでもさ、

身体の痛みはしんどさは心のそれより遥かにマシ。

頭の中でそう言いながら走ってる。

何があろうとあの頃よりはマシ。




「何の為に生きてるかわからない」

なんて思った事ない。

生きてる間にどこまで弾けるか見てみたいし(それは「長生きして」と言う意味ではなくて)

ずーっと『俺を好きになってくれた女の人』に迷惑かけて、嫌な思いをさせて生きて来たから。正直クズだと思ってるから。

残りの時間くらい、ちゃんと生きようと(生きられたらいいなぁ)と思ってる。

そういう意味では、

「何の為に」ではなくて、


誰の為に生きてるかわからない。


うん。

ぜんっぜんわかんない。

 



作業着にカッパの上だけ羽織って、


だって出る時、大したことなかったもん。

予報も「上がる傾向」て言ってたもんっ


ヘルメットの縁からぽたぽたぽた水滴。

ズボンびっしょり洗濯途中並み。

上着、カッパ着てても袖口からじんわりプラス汗でぐっしょり。靴の中ずっこり。

配車待ちで、雨宿りする場所もなく公園で突っ立ってた。

なんかこんなこと子供の頃もあったな。

どこだっけ?

確かね、家族で山登ったんだよ。突然の大雨でカッパ着て「動くと危ない」って。

びしょ濡れで薄ら寒くて俺泣き出した。

なんて事を思い出したこれも走馬灯。


戻って着替えて、


「ああ乾いてるあったかい」


嬉しくてなるのは大概だぞ今日の雨。


 

「何のために生きてるかわからないんですよ」


俺より10くらい若いんだっけ。

結婚歴なし。

山手線の内側のマンションの最上階、メゾネットのペントハウスを職場兼住居にしてて、そこそこお金は持ってるんだろう。

ハーレー乗ってるし。

少し前に大病してから弱気になった。

家族居ないし、バリバリ仕事してお金稼いでも使い道が無い。と言うか、意味が無いと思っちゃうのかな。趣味も無さそうだし酒も飲まないし。

あ、でも去年だか一昨年だか『温泉地のマンション』買ってたな。


「毎日考えちゃうんですよ」

「何のために働いてんだろう?て」



うーん。

俺にそう言われてもなぁ。

曖昧に頷くしかなぁ。

多分ね、この人(制作の社長)は、

『誰かを必要としてる』んだと思う。

一緒に居てくれて、頼ってくれる女の人を。

んー

俺は同じ独り者だけど、

死ぬのはいつでもいいけどそんなふうに考えた事はなくて、

『必要とされたい』

なのかな。

だって(俺を)必要としてない人に関わるのは気持ちと時間の無駄でしかないし。


必要とする。

必要とされる。

するもされるも目指す所は同じだけど、似てるようで似てない。

 

 

あ。

こんなところにセブンが。

 

早朝の新宿の裏通りをラテのLサイズ「ずずず」歩いていると、

「あ。kenさんおはよう」

待ち合わせ場所手前でバイクに跨がったままの制作の社長。

 

おあざぁーっす(「おはようございますいいお天気で今日もよろしくお願いします」と言ってる)

 

と答えて「ずずす」

 

 

今日は撮影だから有給取って会社サボり、じゃない休み。

撮影やってる方が全然楽なんだけどな。

稼げるし。

そんなに仕事無いからしょうがないけど。

あれば有ったで文句言うのが俺だろし。

でもさ、

撮影だけやってれば膝も指も痛くないかも知れない。

でもさ、

どーやって食うんだよ?

 

 

ロケが午後終わり、

「kenさんお昼食べましょう」

そうですね(お腹空いたよ朝ドーナツ1個だ)

お盆持って並ぶうどん屋さん。

 

昔良く行ったなぁ。

 

「昔」と言ってしまう自分が嫌だな。

 

レジ手前で、

あ。社長、俺今日自分の分出しますから。

レジで社長、

 

「一緒で」

 

別々で。

 

「一緒でっ」

 

別々でお願いします。

 

レジのお姉さん、

「うちはその方が助かります」と冷たいお言葉(この人はきっとドS)

 

 

「kenさんなんでよぅ?」

「寂しいことするじゃないですか〜?」

 

いやそじゃなくてですね。

今日ここ社長一人じゃないですか?

(社長の)アシスタントさんとか他のスタッフが居たらご馳走になりますけど。

 

「え。それ俺人数分出さなきゃならない、じゃないですか」(あたりめーだろが)

 

そうですけど、そのシチュエーションで俺「自分の分、出します」とは言えないじゃないですか。

「kenさん空気読めよ」ってなっちゃうし。

 

あー・・・なるほど。

kenさん、そういうとこ大人ですよね。

 

え。

いやとっくに大人過ぎる歳でしょ。

 

 
 
もう20年くらいずっと俺を使ってくれてる。

令和になってコロナが終わって、レギュラーで使ってくれてるのはこの社長くらいだ。

昼飯ご馳走になるくらいなら自分で払うからもう1本撮影出してくれぃ。

さて、

娘夕飯用に『かつをのたたき』とミョウガ買って帰るか。