駅からバスに乗って、
確か30分近く乗った気がする。
降りた停留所は、かつて新興住宅地として開発された昭和の街並み。
川沿いの道を少し歩くとコンクリート4階建ての古びた病院。
入り口を入ると左に受付と待合室、うろ覚えだけど確か六角形だったような。入り口の右に長い廊下、手前左に手術室、その向こうにずらっと並んだ診察室。
案内表示や掲示物でここが精神科の病院だとわかる。
そうだここ。
突き当たりの通用口から出るようになっていて、その通用口脇の窓枠に『壺に入った塩』が置いてあった。
そうだ。
ここだ。
コロナ全盛の頃、準医療従事者として優先的にワクチン接種を受けられた。
そうだ。
ここにワクチン打ちに来たんだ。
1回目はバスで。
帰りに具合悪くなって駅の近くでゆっくりお茶飲んだ。
翌日TOCOTの納車だったんだ。副反応でキツかっただろうに無理をさせた。
2回目はTOCOT? 覚えてない。
けれど、
あの頃は、
待合室のソファで隣に寄り添ってくれる人が居て、体温が感じられて、俺が気遣うべき人が居た。
あの頃の俺が酷く嫌なやつだったとしても。
どうしてこんなことが起きるんだろう?
家から遠く離れているのに。
例えそれが偶然であったとしても、明らかに偶然なのだけど、
自分の運命(?)に悪意を感じる。
それは雲のずっと上に居るかも知れない偉そうなやつが、
「強く在れ」と言ってるのか、
「反省が足りない」と戒めてるのか。