「レイナさんが自然妊娠する可能性は99.9%無いです」

 

「…………!!!」

 

先生の話によると、旦那には、精子が殆どなく、いたとしても奇形だったり、運動率が悪く、受精能力が著しく低いとの事だった。

てっきり、不妊の原因は私にだけあると思っていたレイナは、少し安堵した。

 

ーーこれで私が義両親から責められることは無くなる!

 

一方の旦那は…というと、旦那は旦那なりに、安堵していたようで…、レイナが、自分の両親の心無い言葉により、傷付いているのを知っていたのか、自分も不妊症だった事を知った事で、レイナ同様、義両親の矛先がレイナに向かなくなる!と思った様だった。

 

こうして、レイナ夫婦は、壮絶な不妊治療をスタートさせた。

 

と言っても、99.9%、自然妊娠は不可能、と言われたレイナ夫婦に残された治療法は少なく、通常はタイミング法→人工授精→体外授精→顕微授精、と順を追って治療をスタートさせるのだが、レイナ達は、最初から顕微授精という方法を選び、最短で妊娠することに成功した。

 

この辺りのエピソードは、書き出すと膨大な量になってしまうので…今回は割愛して、先に進みますね!笑

 

さて、男性の浮気で最も多いのは、『妻の妊娠中』というデータがあるようで、レイナの旦那が、レイナの妊娠中に浮気をしていたかどうかは不明だが、例外ではなかっただろうと思う。

 

1人目妊娠中、レイナはつわりが酷く、旦那の匂いすらダメになり、旦那を見ただけで嘔吐していた時期もあったほどだった…

 

そのため、ほとんど食べ物を口にすることなく、また切迫流産の状態だったこともあり、寝たきりの状態で1日を過ごしていたが、そんな中でも夫は仕事が忙しいのか、深夜帰りになることもしばしば。
寝ている私を起こさないためなのか、帰宅後も、私がいる寝室には寄らずに、他の部屋で寝ることが増えていった。

 

つわりが酷かったレイナにとって、夫のその行動は、大変ありがたかったので、特に寂しさもなく、文句もなく、ただ辛いつわりの時期を過ごしていたが、少しずつ、つわりの症状も軽減されていき、食欲が戻り始めていたので、同居している義母に「お素麺なら食べられそう」と伝えてみた。


すると、義母が素麺を茹でて、持ってきてくれたのだが、当然ながら…おかずも何もない、素麺だけ茹でたものを用意されただけ。

 

いや、確かにレイナは「お素麺なら食べられるかも」とは言ったが、大事な孫の出産を控えた嫁の食事が、素麺だけ、というのは心配にならないのだろうか?
栄養面でも「赤ちゃんに栄養がいかなくなるわよ」と言って、あれこれ用意してくるのかなと思っていたレイナだったが、あまりにも素っ気ない、お盆の上を見て、矛盾かもしれないが少しガッカリした。

 

ーーいや、用意してくれただけ、感謝しなきゃ!

そう思い、用意してもらった素麺を口に運ぶと、さっぱりしていて、美味しかった。

 

ーーあ、お素麺なら本当に食べられそう。

こうして、レイナは、少しずつだったが、素麺を食べることで、食欲を戻していった。

 

 

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