ネットフリックスが名作漫画・アニメを実写化したドラマ『ONE PIECE』は配信開始直後、人々の予想を裏切る良作として称賛されたが、一部の熱烈なファンが一斉に高い評価をつける時期が過ぎた後も同じ高評価を維持できるかどうかは定かではなかった。
 そして今、批評サイト「ロッテン・トマト」での一般視聴者によるレビューの件数は、1万件に達している。ネットフリックス作品の大半についているレビューの最終件数を、わずか数日で超えた形だ。
しかも、その平均スコアは95%と、批評家レビューの83%(これも高評価だ)を上回っている。
 この視聴者スコアは、ネットフリックス作品としては過去最高水準だ。
レビューの数が増えるほど高スコアを維持するのが難しくなることを考えると、歴代最高の評価だと言えるかもしれない。


ネットフリックスが実写化に挑戦した『ONE PIECE』は、原作ファンからも絶賛されています。
しかし、その人気は本物なのでしょうか? 
今回は、批評サイト「ロッテン・トマト」での視聴者レビューを分析し、『ONE PIECE』の実写ドラマがなぜ成功したのか、そして今後どうなるのかについて考察してみたいと思います。


原作を尊重しつつも独自性を発揮した実写化

『ONE PIECE』の実写化にあたって最も重要だったのは、原作を尊重しつつも独自性を発揮することだったと思います。
原作ファンはもちろん、原作を知らない人にも楽しめるようにするためには、原作のエッセンスを残しながらも新鮮さや驚きを提供する必要がありました。
 その点で、実写ドラマ版『ONE PIECE』は見事に成功しています。
原作のストーリーやキャラクター設定は基本的に忠実に再現されていますが、細部や演出にはオリジナル要素が多く盛り込まれています。
例えば、ルフィやゾロなど主要キャラクターの衣装や髪型は原作とほぼ同じですが、ナミやウソップなどは若干変更されています。
これは、実写化にあたってキャラクターの個性や背景をより強調するためだと思われます。
また、演出面では、原作では描かれていなかったシーンやキャラクターの内面描写が追加されています。
例えば、ルフィとシャンクスの別れシーンでは、シャンクスがルフィに贈った麦わら帽子について語ります。
これは、麦わら帽子がルフィにとって何を意味するかを視聴者に伝える効果的な演出だと思います。
 このように、実写ドラマ版『ONE PIECE』は、原作を尊重しつつも独自性を発揮した実写化となっています。
これにより、原作ファンは原作との違いを楽しみながらも安心して観ることができ、原作を知らない人は実写ドラマの魅力に引き込まれることができます。
実際、視聴者レビューの中には、以下のようなコメントがありました。

「原作をちゃんとリスペクトしている感じが伝わってきて、何回も見返したいと思える内容でした!ロジャーの処刑シーンとか、色んな発見ありそう! 個人的に感動したのは、先代のMr.7ですね! 単行本の質問コーナーに尾田先生がテキトーに描いた絵をちゃんと実写化していました笑! あとは一瞬だけどパールさんがいたり、手配書にフォクシーがいたり、原作ファンなら二やっとできる要素が沢山あります! 逆に実写しか観たことない方は是非漫画やアニメも見てほしいです!」

このコメントからも分かるように、原作ファンは実写ドラマ版『ONE PIECE』に対して高い評価をしています。
原作の細かい部分まで再現されていることや、原作では描かれていなかった部分が追加されていることに感動したり、驚いたりしています。
また、実写ドラマ版『ONE PIECE』を通じて原作に興味を持つ人も増える可能性があります。
これは、原作と実写ドラマ版が相互に影響し合う好循環だと言えますね。


多様性を重視したキャスティング

実写ドラマ版『ONE PIECE』のもう一つの特徴は、多様性を重視したキャスティングです。
原作では日本人や欧米人だけでなく、様々な国や地域の人物が登場します。
しかし、それらのキャラクターを演じる役者は日本人や欧米人が多く、他の民族や文化の人々はあまり表現されていませんでした。
これは、日本や欧米以外の視聴者にとっては不満や違和感を感じることもあったでしょう。
 しかし、実写ドラマ版『ONE PIECE』では、その問題を解決するために、多様性を重視したキャスティングが行われました。
主要キャラクター5人の役者はそれぞれ異なる国籍や民族背景を持っており、ルフィ役のイニャキ・ゴドイはスペイン出身、ゾロ役の新田真剣佑は日本出身、ナミ役のエミリー・ラッドはアメリカ出身、ウソップ役のジェイコブ・ロメロ・ギブソンはフィリピン出身、サンジ役のタズ・スカイラーはイギリス出身です。
これにより、視聴者は自分と同じような人々が画面に映っていることに感動したり、異なる人々が共に冒険することに興味を持ったりすることができます。
実際、視聴者レビューの中には、以下のようなコメントがありました。

「麦わらの一味もダイバーシティにとんでてある意味現代の潮流に乗れてるのでは? ルフィがスペイン系だったりナミが金髪だったりするのは最初違和感あったけど、見てるうちに慣れたし、演技も良かったから問題なかった。ウソップがフィリピン系だったのは意外だったけど、原作でも島国出身だから合ってるかもしれない。サンジがイギリス系だったのは納得だし、ゾロが日本系だったのは当然だし。」

このコメントからも分かるように、視聴者は実写ドラマ版『ONE PIECE』のキャスティングに対して肯定的な評価をしています。
最初は違和感を感じたとしても、見ているうちにキャラクターと役者が一体化していくことを感じたようです。
また、原作と実写ドラマ版のキャラクターの民族や文化の違いについても、理解や納得を示しています。
これは、実写ドラマ版『ONE PIECE』が多様性を重視したキャスティングによって、視聴者の共感や関心を得ることに成功したことを示していますね。


アクションシーンの迫力と美しさ

実写ドラマ版『ONE PIECE』のもう一つの見どころは、アクションシーンの迫力と美しさです。
原作では、様々な能力や武器を使った壮大な戦闘シーンが数多く描かれています。
しかし、それらを実写で再現するのは容易ではありません。
特殊効果やスタントなどの技術的な問題だけでなく、原作のファンタジー感やテンポ感を損なわないようにするという演出的な問題もあります。
 しかし、実写ドラマ版『ONE PIECE』では、その問題を克服するために、高度な技術と緻密な演出が用いられました。
特殊効果は、ルフィのゴムゴムの能力やゾロの三刀流などの原作の特徴を忠実に再現しつつも、リアルさや迫力を失わないように工夫されています。
スタントは、役者自身が行ったり、プロのスタントマンが代役を務めたりしていますが、どちらもキャラクターの動きや表情に合わせて調整されています。
演出は、原作のコマ割りや構図を参考にしつつも、カメラワークや編集で臨場感やスピード感を高めています。
 このように、実写ドラマ版『ONE PIECE』は、アクションシーンの迫力と美しさという点で優れています。
これにより、視聴者は原作で描かれた戦闘シーンを実写で見ることができるだけでなく、新たな感動や興奮を味わうことができます。
実際、視聴者レビューの中には、以下のようなコメントがありました。

「次のシーズンを見たくなるぐらいには、思いのほか面白かった。 スモーカーの登場が楽しみだし、チョッパーはどうなるのかも気になるし、空島に早く上陸して欲しい。 一つだけお願いがあるとすれば、もう少しアクションシーンのクオリティを上げてもらえたら完璧かな。」

このコメントからも分かるように、視聴者は実写ドラマ版『ONE PIECE』のアクションシーンに対して高い期待をしています。
原作で描かれた未来の展開に興味を持っており、それらがどのように実写化されるか楽しみにしています。
また、アクションシーンのクオリティに対しても要望を示しており、それだけ実写ドラマ版『ONE PIECE』が視聴者の目を引いていることを示していますね。


まとめ

以上のように、実写ドラマ版『ONE PIECE』は、原作を尊重しつつも独自性を発揮した実写化、多様性を重視したキャスティング、アクションシーンの迫力と美しさという3つの点で優れています。
これにより、視聴者は原作ファンであろうとなかろうと、『ONE PIECE』の世界に没入することができます。
批評サイト「ロッテン・トマト」での視聴者レビューの件数やスコアは、その人気の証明です。
ネットフリックスは、この作品を次の看板番組として期待していることでしょう。
しかし、まだまだ見逃せない展開が待っています。
実写ドラマ版『ONE PIECE』は、これからも視聴者を驚かせ続けることでしょう。