3/9(木)
 「晴れ」

早朝目覚めて外を見たが今日は雲が出ていて朝日が見えそうになかったのでまた寝る。8時頃起き出して顔でも洗おうと思って下に降りる。海を見ると、あれ?誰か朝っぱらから泳いでいるヤツがいるぞ。近づいて見てみるとなんとヌマクラさんだった。朝日が煌めく水面の中で彼女はやけに眩しい。オレも一緒に入りたいという衝動に駆られたが、今日は島を離れる日で短パンを洗い立てのに履き替えていたのでそれは止めた。水際近くの岩場に腰掛け、彼女を暫く眺めていた。水着は持ってないと言っていたのによくやる。タンクトップで入っている彼女にホの字の私がいた。彼女が水から上がってきてオレの隣に座った。何を話すともなく時間だけが過ぎていった。海水で濡れた彼女の髪と肌はゾクッとくる程セクシーだった。

そのうちアオノさんが「おはよう!」と言ってやってきて、入れ替わりにヌマクラさんはシャワーを浴びに帰っていった。二人並んで海を見つめていたあの時間、彼女に何かひとことでも言っておけば良かった。映画のワンシーンを画面越しではない、直に眼の前で見た様な、心を奪われる美しさがあった。「綺麗だ」とひとことでも言葉として伝えることが出来ていたなら何か違う展開が待っていたかもしれない。何だかわからないが惜しいことをしたように今では思う。

しばらくアオノさんと話して、一緒に朝食を食べようということで別れて、オレは顔を洗いに行く。戻って一緒にウォンドアンビーチへ、そこで昨日の朝も食べたちょっと高めの店で食べる。そこでなんやかやと2時間近くしゃべって10時頃部屋に戻る。用意を済まして、部屋の見取り図を最後に書いて、11:30浜に降り立ち、これで見納めとばかりカメラを持ってぼーっと景色を眺めカメラに収めた。

(写真: アオノさんとヌマクラさん。最後の食事の時に)

(写真: 私が泊まっていたバンガロー。なかなかのボロさだ。

(写真: こちらが中の様子。扉はまともに閉まらないし虫は入り放題)

(写真: ウォンドアンビーチにて)

(写真: バンガローの前の浜辺。潮が引いて砂が見える)

12時彼女たちと握手を交わして別れる。握手の習慣もかなり身に付いてきた。ウォンドアンへ行ってしばらく待っているとボートがやってきて乗り込む。やはり例の難民ボートに最初乗り、船に移る。船からの眺めはやってきた時とはえらい違いで、とても綺麗だった。

(写真: サメット島、ウォンドアンビーチを望む)



1時間程乗って対岸に着く、今1:30。2:00にバスが出るというので屋台で焼き鳥とラーメンを食べて20B。バスはやはり遅れて3時前に出発。でも帰りは行きと違って結構スムーズに行けた。途中の休憩の時にこれからサメットに行くという日本人に会って楽しんできて下さいと言って別れた。雰囲気がシノダくんに似ている人だった。それからカオサンに着いたのが6時頃で、まだ明るかった。

宿は先日ここを出る時にいたGreen G.H.へ。ここで100Bの部屋に入る。部屋はとても清潔な感じで良いのだが、まず扇風機が首を振らない。次に窓のカギが閉まらない。そしてこれがきつかったのだがトイレの入口のところの鴨居が思いのほか低くて頭をおもいきりぶつけた。こいつには閉口した。気を取り直し飯でも食いに行こうと下に降りるとちょうど日本人らしい青年がいたので声を掛けた。インド帰りらしい。出発は2月14日でオレと同じ。帰りも3月12日で、これまた同じ。しばらくバンコクにいてから帰るということで彼と一緒にメシを食いに行った。

チャーハンとタイ風焼きそばを食べた。これはサメットでも食べたけどうまい。ただやはりカオサンは高い。ビールも飲んで80Bくらい使う。1食3$近くも使うとはベトナムのころに比べたら、えらい違いである。でもハノイ最後の晩、ホテルの部屋をシェアした彼と一緒にステーキを食べた時に、彼が言った「晩メシくらいは金をかけないと。」という言葉がずっと耳に残っていて、それからというもの、食事には結構お金を掛けている。(といっても、2〜3$の話ですが…) あのフエの1人で食べたおかゆは3,000ドン(30円)だったっけ。あんなん食ってたら身も心もわびしくなるからなあ。晩くらい毎日ステーキ食べるような気持ちで行こうと思う。
インドの話はそれ程でもなく彼もあまり乗り気でもなかった様で会話もスカスカに終わり、食事のあと別れる。

オレは土産にテープでも買おうと街をうろついて帰った。見るとGreen.G.H.の外のラウンジみたいなところにはやはり日本人がたむろしていた。中に入ってしばらくすると、この数人の人たちはこれからソープに行くということが分かった。オレはちょっと遠慮させてもらった。お金はあるんだけど、どうしてもお金で女を買うというのは、日本人の恥を晒しているようで自分はしたくないなと思う。でも、ちょっぴり後悔。旅の最後の思い出に行っとけばよかったかなとも思ってしまう。とにかく「行かない」と最初の直感で決めたのだから、その判断を信じて部屋に戻り、シャワーを浴びて部屋の見取り図を書いて11時頃寝た。