3/3(金)

朝から雨、雨、雨。
昨日あれだけ今日が楽しみだったけど、雨だったらどうなるのか考えてもいなかった。
いや少しそんな考えも頭をよぎったんだけど、この旅始まって以来一度もなかった雨、そんなことはあるまいとすぐに否定してしまった。
しかし雨。降っているのか分からないような小雨が降り続く。
それで朝洗濯をした後は、暫く出せなかった葉書を書くことにした。
Y.Iさんと 、雨 雨 雨←これは日記を書いている現在、いきなりやってきた物売りの子供が書いていったものです。
(注:これをハノイで書いています)

(写真: 日記帳より抜粋。子供が書いた「雨」の字。ハノイの公園でのその子とのやりとりはのちほどお話します)

さて、Y.Iさんと友人4人に書いた。雨は一向に止まない。
それで12時になってしびれを切らした私は、雨ガッパを着込んで外へ出た。

初めはあのブンボーフエの店へ。
歩いて行くとすっかりズボンがドロドロになってしまった。店でうどんを2杯食べた。あの晩飯だったから腹が減ってたんです。店の人も笑ってました。

(写真: ブンボーフエ、フランスパンと一緒に食べる)

それから外へ出て、郵便局へ。
はじめBANKに行ったら1時で、まだ休み中だった。
隣はpost officeで、こっちは開いていて良かった。10枚出して50,000ドン=5$だった。次に日本へ電話した。ハガキが着いていたようで、騙された件はどうなったのかと聞かれたけど大丈夫だと答え、とりあえず無事にやっているから安心してと伝えた。
(注:入社予定の)会社からは、何の連絡も無いらしい。

次に銀行へ戻って20$だけ替えてもらおうと思って100$を出すと、少々時間がかかると言われて待つ。
そのうち、いつになるか分からないと言われ、ああ、ここらへんが社会主義だなあと思いつつ、でも中国に比べたらずっと愛想が良いとか思っていたら
(注:あくまで個人的な意見です)、post officeの反対側にもベトコムバンクがあるので、そっちに行くように勧められた。
行ってみる。ここはちょっと愛想が悪く、さらに50$以上でないと両替しないという。しょうがなく50$替えてもらいすっかりドン金持ちに。500,000ドンもあと3日のベトナムで使い切ることができるのだろうか?

それから歩いてベトナムエアラインへ。ここで明日の空港行きバスのチケットを買う。
それから市場の方へワザと遠回りをしながら行くことに。
途中昨日の昼食べた店でパンケーキ(注:バインセオ)を食べ、ドンバ市場ではまず半ズボンを買った。
言い値で買ったのは大失敗。どう考えても9$は高い。日本の感覚で買ってしまった。半分の4.5$で買えたハズだ。
それからコーヒーメーカーというのかカフェで飲む時に出てくるアルミ製のドリップコーヒーをつくれるやつを5,000ドンで。
それからフルーツ、人から聞いて一度食べてみたかったミルクアップルことヴァースアを買った。
お店でこれは何というのか?と聞くとよくわからない答えが返ってくる。
おいしいのか?とか聞くとまたわからない答えが返ってくる。
それでおばさんは1つ掴みいきなり4分の1に切って1つをくれた。これは、うまい! 「おいしい、おいしい」と言うとまわりが復唱してくれる。
女の子供たちとかおばさんがいつの間にかまわりを取り囲んでいる。
取りあえず3つ買う。1つ1,000ドンというから、これまた安い! さっき食べたひとつ分もちゃんと数に入ってて4,000ドン取られた。
それからしばらく市場の建物の中の階段のところでボーっと 30分ぐらい人間ウォッチングをする。

4:30になった。
昨日彼女に会った時間だ。それで席を立って行くことにする。
途中、例のパン屋のおばさんの所でまたパンを買う。
もうすっかり顔馴染みになってて「雨だねえ」という感じで挨拶してくれる。
それから橋を渡って5時前、雨は未だにしとしとと降り続いている。やっぱり来てはいない。
待つべきか、待たぬべきか、来るだろうか、いや来るはずない。色々考えが巡る。
でも取り敢えず今帰ってもし後から来るようなことがあったとして、それで会えなかったことを後悔するよりは待つ方がいいと思い、近くのフェニックスの木の下で待つ、空は曇天、雨は続く。段々虚しくなってくる。

30分間、ひとり歌を歌い、dictator(注:映画「チャップリンの独裁者」の最後のスピーチで暗唱大会で覚えたことがあった)を口ずさみ、とにかく5:30まで待った。
それでもやっぱり来なかった。彼女は夢のまた夢に消えてしまった。

 辺りは段々暮れはじめ、公園の電灯が順に点きはじめた。
帰ろう、そう思って歩き出し、もう一度川沿いの階段から水場のところまで降りて、そこから昨日、一昨日と眺めたのと同じ川を望む景色を見つめる。
今はただ濁った川面にシトシトと雨が降り続けていた…。

帰る時、昨日買った揚げたパンを売っているところで別の種類のお菓子を買った。
そして家路に就く、途中飯屋を探そうと、ぐるぐる回って真暗な中を歩きに歩いて、やっと見付けた店で、何がうれしくてお粥なんか食べたのか、ポークが入ったお粥を4,000ドンで食べました。
そしてホテルへ帰る途中6,000ドンで1Lの水を買い、部屋に戻った。
段々1人旅の寂しさが身に染みだしてきた。
つらい。特にこんな日は。
今日は一言も日本語を人と話していない…。
フエ最後の日は虚しさと侘しさ、切なさが交差するそんなブルーな気分で更けていった。