2/15(木)のつづき


さあ、いざ CHANTABOONへ。そしてオレたちも「MEMBER」になれる資格があるのか? そうこうしているうちに彼が、CHANTABOONの店の前まで連れてきてくれて、それでは!とさっそうと消えて行ってしまった。

みんながみんな Free Holidayを前にして親切になっているのかなと都合のいい解釈をしてしまっていた。 

そして中へ、入るとすぐにおじさんが 現れて、「ようこそ CHANTABOONへ、これからルビーのカッティングをご覧いただきましょう!」という感じで、きれいな店内の奥へと誘導して入って行く。2階から3階へ、そこには作業をしている3人の人がいた。ここでおや?やけに人が少ないなあ、と思ったし、精巧なダイヤをつくるのに、こんなに汚い設備でいけんの?という感じは確かにしたね。おじさんは、カベに貼った写真の説明をする。あの独得の雰囲気、胡散臭さ。ここで帰るべきだった。あの2人はすっかりダイヤに目がくらんでいた。オレも少しは認めます。でも1人なら絶対さらに奥までは行かんかったと思う。3人もいたのが逆に安心感を誘ってしまったようだ。

くわしく知りたい人はどうぞ中へと奥の黒ガラス張りの部屋へ通される。 綺麗で頭の切れそうな年配の女性が出迎え、席に着かされる。そして早口に、説明しだした。大体さっき兄ちゃんに聞いたのと同じだったので、一緒のことを言っているなと思いつつ、メンバーになれるのかなあ、と考えていた。そんなところへ会話は例の安心感を誘うため、日本の話題になる。ひとしきり笑いが起こったりして場がなごんだ頃に、また宝石の話へ。3種類の宝石を取り出して「3つまで買うことができます。」という。買う場合はパスポートとあとクレジットカード、 これは持っている人だけで、カードだけで証明になる。銀行に行ってどうたらこうたら、と言っていたのはよくわからなかったけど、チェックしたいという。それで信用がおけたら買っていただき、NO TAXで保証書をつけて自宅へ送るという。それを日本ならミキモトに売れば買った値の倍で売れるという。本当かなあ、と思うよなあ、今から思えば…。単なるいち旅行者が それもこんなに簡単に儲けられるならみんなやっているよ。
それに日本の宝石店もやってるだろうよ、と考えた時に、そうか、だから1年に1度やねん。でもこんな大事なことみんな知らんというのもおかしい。 いやでもタイ人はみんな知っているという。うーん、うーん、とりあえずメンバーになってみるか?

 宝石は1つ2,000US$前後(1US$=100円)、これ3つ買うのがおすすめ。 お金は戻ってからでOK。2倍以上で売れなければ返品もOKという。 メンバーになるには何か1つ宝石を買う必要がある。そうすれば来年からパンフレットがあなたの家に送られてきます。家にいながらにして買えるという訳。1番安いものの1つの値段は350$、これでもよい、そのかわりこちらはキャッシュ(現金)のみ。まだこっちにしとけばよかったけど、考えてみたら現金がない。 あの2人も持ってない。白羽の矢はオレに向けられた。クレジットカードを持っているなんて、自慢げに言ったのが運のツキだった。気ぃつけなあかんわ。それでどしようと考える時間が10分、20分と経ち、あやしいと思いつつも、この雰囲気では買わずには帰られない……という状況へ。2人は完全に信じきってしまっている。それで1つ買うことにした。
そこからが早かった。「買う」と言った瞬間、バッと2〜3人の女性のスタッフ登場。あれこれサインを書かせ値段もいつの間にか 1,400US$にかわっている、よくわからん。女性の早口にも一段と拍車がかかってくる。とりあえず1,400$を払えというのか? なんかおかしいぞ! おかしい、おかしい、おかしい…と頭の中で思いつつ、2人から離され、すでに用意されていたタクシーに乗せられる。

これからBANKに行くという。チェックをするから? 行った先はBANKじゃなく、VISAの換金所だった。そこで1,400$分をおろす(キャッシング?させられる)。おかしいぞ、サインと言われてここでなぜ refuseしなかったのか! ここが運命の別れ道ですわ、何故サインしたのか、あとから考えてもわかりません。 とりあえずここがどこかわからないこと、何がどうなっているのかわからないことで、頭が混乱し、すべてがとりあえずここにサインして終わらせて彼女らと縁を切るべきだ、という方向に考えが向った。さらにあやしいのは彼女らは(若い娘とおばさん) いろいろオレにちょっかいを出してくる。「今晩いっしょに遊ばない?」って、 こいつら政府の役人とちゃうの? ここまでわかっていて何故サインしてしまったのか。この問題はあとから考えることにして彼女らとは極力話さないようにして別れた。

 そしてふと我に帰る。ここはどこ?
そこはどこかショッピングセンターの入口前の広場のようなところだった。さっぱりわからなかったが天性の方向感覚の良さのおかげなのか、なんとなく思った方向へ歩きはじめた。どうやって帰ってきたのか今もさっぱりわからないけど、いつしかカオサンに帰りついていた。部屋に戻って暫し放心状態。何も考えられない。 とにかく落ち着きを取り戻そうとする。荷物を片付けたりするのだが、何か同じ事ばかり繰り返している。

そして5時、カワムラくんたちがチェンマイに出発するためミニツアーに戻ってきてるハズだと思い見に行く。来てない。仕方なくぐるぐるカオサンの道を歩き回る。そして5時半ごろやっと彼らに会う。その時、ミニツアーのおばさんとそこに居あわせた日本人の女の人と西洋人3人とカワムラくんたちとで今日の話をするとそれは絶対にダマされているという話に。宝石の現物はないし、それが価値のあるものかわからない。まして保証書の有無さえも。 それで、おばさんが言うには今すぐキャンセル。その西洋人の人も少なくとも物をもらうこと、という。とりあえず、彼ら2人もチェンマイへのトレッキングをキャンセルしてくれてすぐにCHANTABOONへ乗りこむことに。たしかに恐いけど、彼らがいてくれてほんとによかったと思う。3人いれば心強い。すっかり滅入っていたけど、やれるだけやってみようと思い、彼らと出発した。

トゥクトゥクのおじさんは事情を察知してか、あまりお金を取らない。さて向こうに着くと笑顔の警備兵が中へ入れと言う。1階ショールームに入る、さっきの笑顔のおじさんがやってきた。人がすっかり変わって怪訝な顔付きでこちらを見ている。奥まで入ったらヤバイ。ここでキャンセルしたいと言う。むこうはまったく取りあわない。まあとりあえず上にあがれという。Why? オレらを囲むため?ここで話する!と言い張り、キャンセルしてくれと言う。カワムラ君はホント心強かった。彼の行動は大胆かつ心得ているものがあった。ダメだと言いはるので一旦 外へ出ることにしようかと彼は言い、さらに中にいた西洋人に気を付けるように言った。西洋人たちがそそくさと出ていくと突然電気がパチンと消え真暗になった。危ない!オレはすっかり逆上して何がなんやらわからなくなった。「出よう!」と言う声が聞こえたので素早く外へ出た。

するとさっきのトゥクトゥクのおじさんは外で待っていてくれてすぐ乗れと言う、そして警察へ頼むよというと「わかってらい」という感じで向かってくれた。すると途中で彼ら2人が昼間店を出たあとに会ったという3人目のエキストラを発見、「おい!」と言ってカワムラくんは車から突然飛び降り追いかけていってしまう。 そのかまし役は1人の日本人をちょうどつかまえていた。その人に忠告して戻ってきた。それから一旦ミニツアーに戻ってトレッキングを明日に変更することを言い、彼らの荷物まで預かっ置いてもらうことにして警察へ。

警察では、「ここではない」とツーリストポリスに行くように言われる。そこから別のトゥクトゥクの兄ちゃんに頼んで行ってもらう。この人も感じがよかった。どこだか迷った末にようやく6時頃ツーリストポリスを見つけ、そこで話を聞いてもらうことができた。担当の女性警察官はとりあえず現物がないことにはキャンセルできない、向こう(CHANTABOON) にTELで問い合わせすると、すでに物を送ったという。それで今度は空港の郵便物の係に問い合わせるとまだ来ていないという。「探して出てくるかもしれないので、見つかればそこでSTOPするように言っておくので、とりあえず空港に行け!」と。 その時点で晩の7時をまわっていた。

タクシーを探し、「空港へ」とだけを言って乗りこんでしまった。バカだった。ここから空港までの1時間ずーっとお金の交渉が続いた。1人300B というえらい金をとられ(それもはじめは1,500Bからはじまった…) それがやっと終わったと思ったら今度は、高速代を出せという... ええかげんにせーよ、と言いたいがこっちは気分的にそれどころじゃないので、もうどうでもええわという気になってくる。 そのうち、高速代も100Bからはじまり60Bへと下がるが、 結局着くまでずっと「60バーツ、60バーツ」と言いつづけていた。最後は「No Thank You!」と言い捨ててタクシーを後にした。 人の弱みにとことん付け込むやつら。

そして空港のポストオフィスを探しまわった挙げ句建物の一番端にあるMailRoomに到着。まだモノは無し、そこでオレ宛に来た郵便物をStopするようにお願いする。空港に2時間居た後にもう一度行ってみたがやっぱり届いてなくて帰ることにした。晩飯は空港内のカフェテリアにてその間に済ませ、帰りはたった3.5Bのバスで1時間半で帰りましたよ。バスの切符切りの兄ちゃんは親切で降りるバス停も教えてくれた。帰ったのは夜の11:00。もちろんミニツアーも閉まっていたので彼らの荷物はシャッターの中だったけど、次の日無事だったので、このツーリストの人たちは本当に信用できると思った。とりあえずこの日は2人と分かれ、頭がガンガンいってたけどホテルでシャワーを浴びてさっさと寝た。ほんとに長い1日だった。