フェラーリF355。348乗りならば意識せざるを得ない車種である。
このたび友人がこのF355を購入し、納車に立ち会う事になった為、試乗する機会に恵まれた。幸いにもF355の試乗は初めてではないのだが、348を購入してからの試乗は初めて。整備したての車両なので乗り味を比較する事で自分の車の調整すべき点が見えてきそうだ。
まずは引渡し場所である品川に集合。ここでF355を受け取ってオーナー宅まで、およそ600kmの長旅となった。
この車両、95年式のベルリネッタだが、イジられ方がハンパではない。まずエクステリアではチャレンジ用のカーボンウイングとマグネシウムホイール、ドリルドローターが目を引く。
インテリアもこの通り、内装のカーペット類は剥がされ、チャレンジ用のロールケージやフルバケが装備されている。
オーナーの運転でしばらく走ってから途中のサービスエリアで運転を交代させてもらった。348と同じくアイドリングで楽々発進できる。シフトは348と違って1速が左奥の普通のゲートパターンだが、まずいきなり2速から5速にシフトアップしてしまった。横幅が348より少し広い程度のシフトゲートパネルに6速分とリバースのゲートが切ってある為、隣のゲートとの幅が狭い。これは慣れるまでは注意しないと危険だ。特にシフトダウンで間違えては洒落にならない。
また、シフトのフィールは348から大きく改善された点であり、ワイヤー式からロッド式になった上にシンクロが改良された為、めちゃくちゃ気持ちよく入る。
助手席でも感じる事ができた乗り心地だが、俺の348とは雲泥の差だった。ゴツゴツ感が無い上に踏ん張る所は踏ん張る。この車両は大変珍しいパワステレスモデルだったがステアリングの遊びも適度で高速域でも疲れない。しなやかな足とはこの事だろうか。ぬおわキロ付近で巡航していても制限速度程度にしか感じなかった。これがスタビリティの高さというやつか。
ただしこの355の足回りはノーマルとはかけ離れており、別タンの調整式のガスダンパーやら何やらよくは知らないがとにかくスペシャルなものが入っているので単純な355との比較にはならない。しかし、俺の348の足回りのダメさを認識するのには十分すぎた。自分なりにはそこそこ満足していたが、やはり高速域でのステアリングの反応が過敏すぎて怖いし、待ち乗りのゴツゴツ感もこの355に比べたらある。ここまでは無理だとしても少しでもこの355に近づけたいという気持ちになった。
エンジンについては言わずもがな、トルクがあってよく回る。ただこれも吸排気とROMをチューンしてあるのでノーマル同士の比較にはならないが。エンジンそのものについては俺の348でも十分走るし不満は無い。ただやはり音についてはかなわないの一言につきる。俺の348のマフラーがドノーマルという事もあるが、F355にMS管を着けて8500回転も回された日には、どうやっても348では同じ音は出せないだろう。しかし似た音は出せると思う。まだ実物を聞いた事は無いが、MSレーシングやクライスジークの348の動画を見る限り近い音は出ている。いつか俺の348に社外マフラーが装着されるその日がより一層楽しみになってきた。
国産車では唯一カッコイイと思うフェアレディZだが、F355に並ばれてはカッコポイント100対0で完敗だ。
淡路島を渡る途中、助手席から1枚。車高が著しく下がっている為、段差の度にミッションガードから火花を散らしていた。また、チャレンジシートはパッセンジャーにとっても快適で、意外なほど疲れなかった。革シートと違って暖かいのも良い。
600キロの旅を終えてうどん屋の駐車場で主を待つF355。見た目も絵になるし中身も素晴らしい。欲しくないと言えば嘘になる。いや欲しい。欲しくてたまらない。348に比べて100万、いや200万高くても程度が良いものがあれば買っていたかもしれない。しかし現在F355の相場は348に比べて約400万円程度高い。400万円と言えば年収一千万の人が半年間働いて得られる手取額くらいだろうか。その金額が用意できるかどうかは別として、正直それだけのエクストラフィーを支払ってまでF355が欲しいとは思えなかった。と偉そうに言っているが、要するに400万円というモノサシに自分のスケールがまだ追いついてないというだけの話だ。今の自分には348でも十分すぎるご褒美だという事でもある。
F355といえど所詮車、所詮フェラーリ。F40も348も正真正銘フェラーリ。購入する為の苦労、維持する苦労、そして喜び。全てが自分に合った車こそが最高の車、最高のフェラーリと言えるだろう。もちろん俺にとっては俺の348が世界一のフェラーリだ。
足回りをリフレッシュしてアライメントを取れば。