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1960年代後半、それまで時代劇中心だった東映は、ヤクザ映画任侠映画で斜陽化した映画界で活路を見出した。
そんな東映映画は見る事はなく、青春映画の日活や東宝といった映画会社の作品ばかり見ていた。
スカパーへの3台目の契約をした際に、スカパー全局二週間無料サービスの期間、見た事のなかった東映チャンネルを見ると、高倉健主演の「昭和残侠伝 死んで貰います」を放送中。吸い込まれるように見てしまった。
1970年、昭和残侠伝シリーズの7作目。
賭博場で、いかさまを見破った健さん演じる花田秀次郎は、ヤクザに袋叩きにあい、雨の中大きな木の下だうずくまっている。そこへ芸者見習いの藤純子さん演じる幾江が通りかかる。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん大丈夫?」
藤純子さん15、6歳の役どころ。田舎娘が怪我をした健さんに気を使うシーン。何とも言えぬほのぼのとした場面だ。
この場面を見なければ、きっとチャンネルをまた、別のことろに変えていただろう。
理不尽なヤクザ渡世を描き、最後は兄貴分の池部良さんと二人で殴り込みに出掛ける。バックに流れる曲はお馴染みの唐獅子牡丹。
ヤクザ映画ながら娯楽性に富んだ楽しい作品だった。理由はやはり監督のマキノ雅弘監督の手腕であろう。
マキノ雅弘監督はプログラムピクチャーの名手と呼ばれ、数多くの映画を手がけ、早撮りの名手でもあった。だからこそ、映画の面白さを存分に知っているのだろう。どろどろしがちなヤクザ映画を、ここまで爽やかに終わらせるとは。
藤純子さんの艶やかさも光る。
東映映画も中々面白いと思った。もう一度見たいと思うのだから、さすらいの心の的を得た作品だった。
同じシリーズの別の作品を見るが、どうも見ていられない。監督が違うとこうも違うものなのかと思う。