約一年半前より、元夫の実家への帰省は元夫だけになった。
私は帰らないと決めた。
義母に会い、笑えない自分。
言わなくてよい言葉や態度をとるかもしれない。
義母までに感情をぶつけてしまうだろう私自身が怖かったのだ。
なぜなら、義母は何もしていないのだ。
元夫の母であるだけなのだ。

義母には元夫から、自分の声で、言葉で不倫の事や私達夫婦に何があったかを全て伝えると約束した。
嫁や他者からではなく、きっと義母も息子の口から話してもらいたいはずだ。
家族なのだから……。

そして私も元夫を、信じた。



その頃まで義母とは電話でよく話をしていた。
日常の出来事から、義母の恋の話しまで……娘のいない義母にとっては嫁ではあるのだろうが、女友達のように接してもらえた。
つい話し込みすぎ何時間も(携帯の充電がなくなる事もまれに)時には言い合う事もあったが所詮女同士の会話で、次には何事もなくまた話し込む。

そんなたわいのない会話の内容を元夫に、私も義母も話していたが、元夫にとっては「愚痴」😢👂💦
を聞かされているように受け止めて、義母と私の電話を良く思っていなかった。
と言っても、世の中の大半の男性ならそう見えるのだろう。
そのうえ、元夫は単純に我が身に降りかかるであろう「めんどう」な事からは逃げる前に、不機嫌になるのだ。勿論、最後は逃げる。関わらない。
どんなに大切な決断を委ねられたとしても、最終決断は人に言わせる。
己はいろんな言い訳や理由を用意して決断はしない、と言うより人に決断を委ねるような……仕向けるのが上手い。
プロの詐欺師のように、とにかく口先の弁はたつ。

そして、年越しを実家で迎えた元夫は家族に『離婚』届けを提出した事を話してくれた。

話してはくれたようだが……。
結局は新年早々、元夫のずるさなら可愛いが卑怯な言動や嘘を知ることになった。


本来なら嫁として実家に、離婚した事への謝罪など含め足を運ぶべきだとは承知していた。
私の父が健在なら、必ず父は自ら出向いただろう。
「事」がどうであれ、嫁として不甲斐ない娘だったことを詫びただろう。

しかし、私には電話という手段しか選択出来ずにいた。
そして、私は義母に電話した。
一年近く遠ざかった義母の声に、唐突にも関わらず私は謝ることしか出来なかった。

まず、帰省もせず、連絡すら途絶えてしまった失礼を詫びる。
「離婚」した旨の事実に嫁の不甲斐なさに詫びる。
女としと、妻として許せずにいる事を詫びる。
既に、義母も泣いている。
義母は、何度も謝ってくれる。
義母に、こんな想いを抱かせてしまい何よりも一番
悲しかった。辛かった。

お互い、何をどうするすべもなく涙し『御免なさい』だけだった。
電話で顔を見れずにいたが、義母も私も涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃで、言葉すらまともに発せずにいた。
いつか、このことを笑い合えたらいいなぁっと今は感じる。

そして、義母は『○○ちゃんは、ずっと○○家の嫁だから。ずっと○○ちゃんは私の娘だからね。家族だからね』と。

『いつでも帰ってきなさい、待ってるよ。会いたいよ。』と何度も何度も……。

あれから数日、義母のこの言葉が耳に残っている。
きっと、私には忘れる事はない。

私のたった一人の母親なのだから。

『有り難う』と心で呟き、義母の無邪気な笑顔に会いたくなる。




momo