元夫の義母への嫁として、最後の電話の中で私は一言呟いてしまった。
『長い日々でした~』と。
元夫が義母には全てを話したという言葉を信じていた為、なにげに発した一言だった。
義母は『どういうこと?』と私に聞き返したのだ。
咄嗟に頭の中で緊急サイレンが鳴り出す。
もしや?元夫は義母に話していないのではないか。
このまま私が何か話せば、元夫の怒りがまた私を襲う……。
義母は必死で私から何か話しを聞き出そうとしたが、なんとか誤魔化し、改めて謝罪し電話を終える。
と、少し間があり元夫の兄嫁から連絡がある。
年越しを実家で過ごした時点ではなく、元夫は自宅に帰り際の車中から、『いい忘れてたけど離婚しました』と兄に電話でそれだけ告げたそうだ。
家族が揃う時間があった時に話すと言っていたのはなんだったのか?
こんなついでのような感覚で話す事なのかなぁ~と疑問……悲しかった。
そして……数日後。
義母から電話。兄夫婦から何かを聞き出したようだ。
私は元夫の兄弟には少し相談をしていた。
長い日々の中、夫婦の愚痴くらい程度だったが元夫の事を理解している人にしか話しは出来ない程、やっかいな元夫だったからである。
義母は私達夫婦の結婚後から何があったのか理解し、更に何度も何度も涙を流し謝るのだ。
義母はとうとう自分を責め出した。
私が義母にだけは背負ってほしくなかったことなのに……悔やむ。悔やみきれず、私も泣いてしまう。
元夫が幼い頃義父は他界した。
それまで、義父は当時で言えば「おめかけさん」がおり義母の苦労や悲しみ、葛藤は計りしれないものだったと聞いた事がある。そして、未だに義父を憎んでいた。
その為、私のこれまでの時間を想像しえたのだろう。
『あの子が幸せになることは私が許しません!』まで言い切ってしまう。
有難い。が、義母にとってはやはり大切な子供なのだ。
私は義母に伝えた。『お母さんは元夫の味方でいて下さい。』
結局元夫は、『事』を自分の口で言えてなかったのだ。
ただ、『俺が悪い。俺が悪いから離婚することになった。それが俺の罰なのだ』と言っていたそうだ。
義母も女の問題であり、浮気がばれ私が怒ったくらいの事は察する事は出来ていたようだ。
しかし、事は……そんな安易なものではなかったのだと知る事になったのだ。
何がどうだったかを、真実を元夫自らの口で話してもらえずに、家族から聞いた義母は余計に辛かったようだ。
元夫は、自分の心では理解しているのだろう。家族にも、親にも言えない事をしていた事を。
元夫の女が言う『私と彼の問題ですから』と安易な
出来事ではないのだ。
元夫はせめて、我が家族にだけでもきちんと話をするべきだったと思う。
私もそれを信じていたのだが、どこまでも不誠実で卑怯だと思える。
既に中高年の年代の息子が、年老いた親にこんな想いを抱えさせたのだ。
少しでも親の心を察することが出来れば、義母が嫁に対し『申し訳ない』なんて言わせずにすんだのではないかと悔しく、情けない。
元夫が、親の心の何を感じているのか、受け止めているのかすら私にはわからない。
ただ、先日義母に電話をした元夫は、『おかんから、怒られた。』と私に言ってきた。
私 『何を怒られるの? 離婚の事?』
元夫 『俺が今までお前にした事が許せない』らしい。
私 『随分前に、何があったか全て話していたのよね。何故、今になってあなたが怒られるの?』
元夫 『話してはいたけど………。』と黙った。
最後まで嘘を貫き通すつもりだ。
元夫は恐らく私が義母に何かを話しただろうと、詮索、文句でも言いたげだった。
でも、何も言えずに会話は終わった。
そして、いつも通りテレビを見て笑ってる。
仕事の事以外で、落ち込んだ姿を見たことがない程、いつもの日常。
元夫の女は、別れた⁉後だったのか、元夫のFBの楽しげな写真を見たのか?私にメールしてきた。『彼が元気になってよかった』と。
女は自分と会えない元夫が落ち込んで元気がないと信じていたのかもしれないが、私にはいつ別れたのかすら疑問視する程、日々元気で豪快に笑い、食べて飲み歩いている。
元夫が『鬱』になることはないと保証可能なのだ。確かにに元気ないかなぁ~と案じたとて、数時間後には
ケロッとしているのだから。
ある意味私にはない生き方なので、尊敬に値する。
この元夫の姿を見たら、義母はもっと悲しむのだろう。
『私の育て方が悪かった』と嘆いている義母の涙に気づいて欲しい。
親を悲しませない事が、最低限の親孝行ではないかと切に願いたい。 が、元夫には難しいのかもしれないと改めて思った。
元夫は、我が親の涙すら気づけないのだ。
でも、私には羨ましかった。
我が子を想い、我が子の為に謝ってくれる親の存在がある事を。
momo