天地の差、中国の対日、対韓姿勢 石平 | bossclubブログ

bossclubブログ

このBlogでは日々感じたことを不定期につぶやきます。合同会社ボスクラブのHPはこちらhttp://www.bossclub.info

朝雲新聞2010.12.23 一面 春夏秋冬

 1218日、中韓両国近海の黄海で、中国漁船が韓国警備艇に体当たりした。9月に尖閣諸島沖で起きた日本の海上保安庁の巡視船との衝突事件とは同様の悪質な事件であるが、今回の場合一つ大きく違ったのは、中国の漁民から死傷者が出たことである。

 しかしたいへん奇妙なことに、自国民が死傷したこの事件に対して、この原稿を書いている20日午
前までに、中国政府はいっさいの反応を示していないのである。
 19日付の中国系香港紙「文匪報」は、朝鮮半島情勢などを巡り中韓両国は良好な関係を維持する必要があることから、双方は今回の事件を偶発的なものと位置づけ、穏便に済ませる可能性が高いとする専門家の見方を伝えた。
 理由が何であるかにせよ、この事件への中国政府の対応は、9月に日本との間で起きた類似事件への対応の仕方とはまったく異なっている。日本との間の衝突事件の場合、中国側に死傷者が出たわけでもないし、日本政府は中国人船長を除くすべての乗組員を直ちに帰還させるなど中国にたいする配慮を十分に払っているはずである。にもかかわらず、丹羽中国大使を深夜に呼びつけて猛抗議することから日本企業の社員を無実の容疑で拘束するに至るまで、中国政府はありとあらゆる手段を使って日本を恫喝し、横暴というしか言いようのない超強硬姿勢に打って出た。
 中国政府のこうした対日姿勢には、日本という国に対する配慮の微塵もなければ、日本を大事な相手として丁重に扱おうとする意識のかけらもない。北京はむしろ日本のことを舐め切っていて、日本
という国を恫喝の対象としか見ていないのだ。それは、同じ近隣国の韓国に対する中国の態度とは天と地との差がある。
 つまり、中国政府は戦略的には日本という国をを韓国よりもはるかに重要度の低い国だと見なして日本を徹底的に軽蔑していることが、二つの「衝突事件」への対応の違いによって十分に明らかにされているが、このような中国について日本はどう考えるべきなのか、まさにわれわれの問題なのである。
                                      (せき・へい=評論家)