その日のリンはとても胸騒ぎをする夢で目覚めました。


10年近く会っていない母親が引っ越したと言う夢です。

夢の中で住所を聞くと、死んだ父のお墓の場所・・・。

起きたリンはモヤモヤしてしょうがなく心の中で、

「もしかして、お母さんに何かあったの・・・?」

と思いました。


きっと誰もが皆、身内と10年以上も会っていないと、両親の安否も気になるはず。

リンも流石にその胸騒ぎには耐えられず、数年話していない実家に電話を掛けて見ることにしたのです。

いくら携帯を壊されたとしても実家の番号くらいわかりますから・・・。

しかし、実家は

「お掛けになった電話は現在使われておりません・・・」

胸騒ぎは続き、一つ上の兄に104で調べ電話をしてみました。

すると、すぐリンことを大嫌いな兄の嫁が電話に出ました。


「リンですけどご無沙汰してます・・・。お母さんは元気で暮らしていますか?」

と、リンのことを毛嫌いする兄嫁に思い切って聞き、

「リンちゃん!今、ドコで暮らしているの?お母さんは元気だけど・・・、お兄ちゃんは死んだんだよ・・・」

との、兄嫁の返答・・・。


母親の安否に安心した矢先に、あまりに過酷な兄嫁の一言でした。

まさか・・・、アニキが死んだなんて考えられるはずありません。生きていればまだ33才の兄・・・。

まさか、まさか、まさか・・・。


リンは咄嗟に兄嫁に詳しく事情を聞き、もうすぐアニキが死んで一周忌と言うことを知りました。

兄の死因は脳梗塞だったらしく、仕事中コンビニの駐車場で突然倒れ、植物状態で半年間治療を続けたが、結果延命治療を断念したと言うことでした。


享年32歳。


もうリンは話を聞いている途中から涙が溢れ出て止りません。

父親もリンが16才の時に46才で心筋梗塞で突然死しています。

が、この時は父の死に目会えたし葬儀も出席しています。

いくら遊びまわっていても当然の事ですよね。


兄の死は、ケンジに殴られることより大きなショックでした。

身内の死に目に会えないなんて・・・、沢山喧嘩はしたけれど兄弟です。

リンは好き勝手しすぎたと後悔しても、もう遅すぎです・・・。

兄が無くなってから1年もわからないなんて・・・。


兄嫁から母親の連絡先を聞き、母に連絡しました。

母は泣きながら、

「お前は元気だったんだね・・・」

と言う母の言葉にリンも涙が止りません・・・。


夢って、何かの予告をするときあるんですね。

この現実を体験したときリンは強く、強く、感じました。


そしてリンは日記で兄の死んだ日の出来事を調べて見ると、その日はケンジがまた酒乱を起こし、リンはビジネスホテルに逃げ込んだ日でした。

この日もケンジに沢山殴られそうになり、間一髪で逃げ出した日・・・。

ケンジと別れたいと思った日・・・。


いつものケンジの酒乱スイッチ・・・。

この逃げ出すくらいの状況は、兄の予告だったのでしょうか・・・?

「もう、ケンジと暮らさない方がいいよ」

って、教えたかったんでしょうか・・・。


正直、今回見た夢で、てっきり母が死んだのかと思いました。

現実は兄の死でした。

いつまでたっても何も気づかないリンに呆れて、きっとお墓の中の父と兄が相談して教えてくれたのでしょう・・・。

夫に先立たれ、息子に先立たれ、娘が行方不明な母の境遇を不憫に思い、夢で知らせたに違いありません。


この夢・・・、とても不思議だと思いませんか?


そうしてリンは、この一部始を終ケンジに話し、10年ぶりに地元に行く事にしました。