お散歩へでかける
春風を感じて…。
ある時、祖母がとぼとぼと窓辺にたたずみ
窓を開け
風にあたっていた
まだ肌寒い今の時期…
祖母は静かに目を閉じて風にふれている
何してるの？
……………。
ねえ、何してるの？
……………。
ねえ、
春近く迄きたねぇ。
はっ!!何を…
？まだ寒いのに！風邪ひくよー！！と言う
窓を閉めとぼとぼとベッドへ付き添い座らせる。
風が春来たよ～って連れてきた。
なーんで風が喋るよぉ
辺りを見渡すが外はまだ枯れ木の景色… どう見ても春の訪れはうかがえない
ばあ、ついにボケたか
と思ったら風がな変わった！角がとれた…。と言った
お前もあたってみなさい。
窓辺へ行き、ばあの真似をした。
風が冷たい…サムイ…
風少しまるくあたるじゃろ!!
冬の風は冷たい鋭い角があたるように吹いてくる
初春は寒さのなかにほのかに暖かく角がとれて柔らかくあたる。
わかるじゃろ！
正直、わからなかった！
だって風、寒いか暖かいしか意識してなかったし
またまたこんな事にも興味をしめし(幼い頃からだったか！変な趣味)
次の季節が来るのをまだかまだかと待ってた(笑)
違いを早く気付きたくて
真春、春の嵐の時も風は暖かくまーるく流れる
夏、暖かさのなかに湿っぽさが後をひく
秋、暖かさのなかに凛とした涼しさがまだ角はたたない
冬……。
昔の人は知恵もあれば風情の楽しみ方も知ってる
今はもういない
今はばあに質問したように私が子供に同じ質問を受けながら…
春風を感じに散歩へでかけている………。