現行のクルーソンのペグってmade in Koreaってパッケージに書いてあるので、全部韓国製だと思うじゃないですか?

日本製のクルーソンペグもあるんです。現行で。

https://www.goeldo.de/kluson/mechaniken/traditional-line/6405/kluson-traditional-double-line/tulip/3-3?c=104

 

Kluson刻印ペグなのに裏にJapan刻印があるんですね。

ヨーロッパ限定なんですがクルーソンのペグをゴトーが作っているんです。

(ヨーロッパ版のクルーソンはパッケージのデザインも違います。)

 

Göldo Musicって言ってデューセンバーグ(Duesenberg)のギターやベースを販売している会社があって。

80年代にロッキンガー(Rockinger)トレモロ等で有名になったドイツの会社です。

Göldo Musicがヨーロッパでのクルーソンの商標を所有していて、

WD musicがアメリカでのクルーソンの商標を所有しているそうです。

 

ですので、ヨーロッパのクルーソンをアメリカや日本で輸入販売してはいけないらしく、

アメリカのクルーソンをヨーロッパに輸出販売するのも違法で、過去に訴訟になっております。

(ギター等の製品になっている物は除く。)

 

ビンテージパーツの復刻に定評があるCrazy Partsもヨーロッパのドイツの会社なので、

Göldo Musicのクルーソンを使っていると明記していますし、Japanの刻印もありますね。

 

Crazy PartsのGöldo Music製エイジドKlusonペグは日本やアメリカにも配送してくれるので、

個人輸入はOKとかなんでしょうか?

 

このように、ギターパーツは製造メーカーと販売メーカーが違う場合が多々あります。

OEMっていう奴ですね。

ギターパーツのOEM先は裏面の刻印で大体判別できる様になっています。

 

【 Japan もしくは G GOTOH 】→ 後藤ガット有限会社 Gotoh Gut Co., Ltd. (日本の群馬県伊勢崎市の会社です。通称ゴトー。ピックアップのGotohは長野県松本市の無関係な別会社。ですが、後藤ガットもピックアップを作っていた事があります。PRS Phase2の途中から現行Phase3ペグ(Phase1とPhase2の途中まではドイツSchaller社製)、フェンダーCSペグ、Suhrのロック式と通常ペグとトレモロとブリッジ、Freedomのブリッジ、Wilkinson by Gotohのトレモロ(WilkinsonのTrevor Wilkinson氏はイギリス人で現在自社工場を持っておらず、全て外部委託品です。)、Callahamのペグ、Crazy PartsのKluson刻印ペグ等、ヨーロッパにおけるKlusonブランドの一部のペグを作っています。2012年までのギブソンCSのペグ(Collector's Choice #6まで。Gibson USA公式サイトに明記されていました。web archive等で確認できます)。古くは1960年代のKalamazoo by Gibsonのペグ。TonePros by Gotoh名義でToneProsのブリッジとテールピースを作っていた事もあります。)

 

【 G GOTOH KOREA 】→ 不明。(Gotohの韓国工場、もしくはGotohライセンスで他のメーカーが作っていたのか、詳細不明です。ペグの外見は「G GOTOH」もしくは「エピフォンマークにG GOTOH」と書いてあり、内側に「G GOTOH KOREA」という刻印があります。1990年代から2000年代にかけて、韓国製のEpiphoneやAria Pro 2のギターに搭載されていました。)

 

【 P.W もしくは PWマーク 】→ Ping Well Industrial Co., Ltd. (台湾の会社です。単にPingブランドとしても売られています。Fender USAやフェンダーメキシコのペグ(パッケージにMade in Mexicoと書いてあるペグもP.Wの刻印があり、製造は台湾Ping Well社です。)やメキシコやUSAのトレモロブリッジ、Gibsonのペグ、Martinのペグ、Taylorのペグ、Groverのペグ、Planet Waves(ダダリオ)のペグ等を作っています。「Ping Well Perona」としてクラシックギター用の高級ペグも作っています。)

 

【 D.J もしくは 大きなDの中に小さなJのマーク 】→ Der Jung Enterprise Co., Ltd. (台湾の会社です。中国本土に自社工場を持っています。Doproのペグ、Kaynesのロッキングペグ、Musiclilyのロッキングペグ、クラシックギター用ペグ等。元々、2007年1月末に閉鎖した台湾の高雄ヤマハギター工場にパーツ納品していた会社だそうです。)

ヤマハ、高雄のギター工場を閉鎖

https://www.nna.jp/news/927040

 

【 KB 】→ 不明。(箱には「KB Professional Guitar Machine Heads」と書かれており、本体裏面にKBもしくは枠の中にKBの刻印があります。本体表面にK HIGH QUALITYの刻印の場合も。内袋に「MADE IN TAIWAN」と書いてあるので台湾製なのは確実だと思いますが、台湾の会社なのかは不明。そこそこ昔からあるメーカーみたいですが、現在も存在している会社なのかは不明です。)

 

【 KD 】→ KD Rising Guitar Ltd. (中国貴州省の会社です。ヤマハのサイレントギターのペグに採用されています。以前は、Ruian Zhonglian Electroacoustic Musical Instrument Co. Ltd.っていう社名だったそうです。)

 

【 guyker 】→ Guyker Music Corporation. (中国の会社だそうです。表面がGuykerで裏面にKDと刻印されているペグもあるので、製造は中国KD Rising Guitar Ltd.の可能性があります。ブリッジは韓国Sung-il社製の物もある様です。)

 

【 GK 】→不明。(中国Yibuy社のオープンバックのウクレレ&ギター用ペグにGKと刻印されています。)

【 JK 】→ 不明。(中国Yibuy社のクラシックギター用のペグにJKと刻印されています。)

【 HF 】→ 不明。(中国Yibuy社の12弦ギター用のペグや中国Kmise社のオープンバックペグ等にHFと刻印されています。)

 

【 JH もしくは KOREA JIN-HO もしくは MADE IN BY JIN-HO 】→ Jin-Ho Instrument Co., Ltd. (韓国の会社です。主に中国の自社工場で生産しています。ロッキングタイプのKlusonのペグ、ロッキングタイプのGroverのペグ、Wilkinson by Jin-Hoのペグ、Musiclilyのペグ等を作っています。)

 

【 MARVEL 】→ Jin-Ho Instrument Co., Ltd. (上記と同じ韓国Jin-Ho社製です。Sung-il社に卸し売りもやっている様です(Sung-il社のwebサイトにMarvelブランドがある)。中国の自社工場で生産しています。エピフォン、ギルド、グラスルーツ等の中国製ギターや、インドネシア製ギターのペグに刻印があります。)

 

【 ZEENOO 】→ Jin-Ho Instrument Co., Ltd. (こちらも上記と同じ韓国Jin-Ho社製です。中国の自社工場で生産されています。Amazonで売っているMusiclilyのペグや、NORTH WEST GUITARSの亀ペグ(品番J-22)の裏に刻印されています。)

 

【 S.W Korea 】→ 不明。(韓国製なのは刻印から間違いないと思うのですが、今は見なくなったのでメーカー自体が無くなったのかもしれません。90年代から00年代のGrover miniのペグの裏に刻印があります。)

 

【 大きいHの下に小さくcのマーク 】→  Hanchang Co., Ltd.  (韓国の会社です。Klusonのペグ、PRS SEとUSA製の一部(Low MassやVintage Style等)、Suhrのロックペグ、2010年以降のFender USAのF-Keyペグ(台湾Ping Well社製のF-keyペグも確認済)、FenderのSquierのペグ、Hip-Shotのペグ、ToneProsのペグ、AllpartsのTremol-No(AllpartsのサイトでHANCHANGでソートすると確認できます。)、Ibanez GIOのペグ、Golden Gateのペグ、Schertlerのペグ、Taylorのペグ、Groverのペグを作っています。KlusonとToneProsの両方のブランドを取得している事を生かし、表にKluson Deluxe刻印、裏にTPKLICWDと刻印(TonePros Kluson LICensed WD musicの略?)された、Klusonライセンス取得のToneProsのペグも過去に作っていて、Gibson USAのレギュラーラインに2014年頃まで採用されていました。ToneProsのKlusonペグ自体も2015年に生産終了。)

TonePros Kluson MACHINE HEADシリーズ生産終了のお知らせ

 

【 S もしくは SUNG-IL もしくは刻印無し】→ Sung-il Hitech Co., Ltd. (韓国の会社です。Bigsby Lightningシリーズ、Floyd Roseのトレモロの一部(スペシャル、1000シリーズ、FRX等)、PRS SEとUSA製の一部のトレモロブリッジ(Silver Sky Bridge等)、Wilkinson by Sung-ilのブリッジ(Wilkinson M-Seriesは中国製)、Q-partsのブリッジ、ToneProsのブリッジ&テールピース等を作っています。韓国Jin-Ho社の中国工場製のブリッジもMarvelブランドとして取り扱っています。)

 

【 graphtech.com 】→ Graph Tech Guitar Labs Ltd. (カナダの会社です。Retro Ratio Machine HeadsにはHCマークが付いていたので韓国Hanchang製だと思われます。)

 

【 MIL-COM INC FRANKLIN NH 】→ MilCom Inc. (アメリカの会社です。John Mann(MannMade USA)のPRS patentedトレモロ、通称Gen1ブリッジを生産(Gen2ブリッジに切り替わったのは1993年ですがGen1ブリッジの使用は1995年まで続きます。PRSのUSAサイトに明記)。ちなみにPRSのGen2とGen3ブリッジはExcel Machine and Fabrication Inc.っていうアメリカの会社の生産だそうです。)

 

【 Advanced Plating Inc. もしくは API 】→ Advanced Plating, Inc. (アメリカの会社です。テネシー州に本社がある現役の自動車のめっきパーツ屋さんだそうですが、FenderやGibsonのブリッジ、RS GuitarworksやJames Trussartのブリッジ、Seymour Duncan等のUSAメーカーに部品を納品しているそうです。特にGibsonのナッシュビルTOMブリッジ&テールピースは2002年頃以降ドイツSchaller製からアメリカAPI製に変更になり、サイズも若干の変更があります(Graph TechのGibsonナッシュビルブリッジ用サドルにPre 2000とPost 2000があるのはこの為です)。2017年のNAMMショウに Advanced Music Products として出展して以来、楽器部門が子会社化し、一般販売しているパーツもあります。)

 

【 Made in Germany もしくは Schaller 】→ Schaller GmbH. (シャーラー ドイツの会社です。1945年ニュルンベルクにてラジオ修理工場として設立。Floyd RoseのOriginalトレモロ、1976年から2000年代までのFender F-Keyペグ(60年代のF-KeyはRace and Olmsted社製)、Gibsonのペグとブリッジ。Gibsonのナッシュビルブリッジは元々シャーラーとギブソンの共同開発でシャーラーが生産していました。ギターストラップのロックピン(セキュリティロック。現在は特許切れ。)でも有名で、西ドイツ時代はMade in W.Germanyと刻印されているパーツもあります。1998年の創業者の息子René Schallerの死、1999年の創業者Helmut Schallerの死以降、妻のGrete Schallerが事業を継続しておりましたが、2006年8月に事業再編の為、Schaller ElectronicからSchaller GmbHに社名を変更。2009年1月にはSchaller家から現オーナーのDr. Lars Bünning氏に株式の譲渡が行われ、2017年にはピックアップの生産を全面的に中止するなど規模を縮小して継続しています。)

 

 

【 Scheller 】→ Scheller Gitarrenmechaniken (ドイツの会社です。2008年にKlaus Schellerにより開発製造され2014年に現在の法人に。同じドイツのSchaller社とは綴りが違います。主にクラシックギター用のペグを製造。)

 

Rubner (ドイツの会社です。Thomas Rubner GmbH. 主にクラシックギター用のペグを作っています。)

 

ABM (ドイツの会社です。JoWo Berliner Schreibfeder GmbH傘下の会社です。ABM High Quality German Guitar Parts GmbH. 主にギター用ブリッジ等のパーツを作っています。)

 

Faber (ドイツの会社です。Faber Guitar Research Germany. TOKAI楽器のドイツ輸入販売をやっていたGottfried Schmidによって2004年に設立されました。ギター用のブリッジやペグを作っていますが、クルーソンタイプのペグはP.Wの刻印があり、台湾Ping Well社製です。)

 

【 GA 】→ Golden Age (アメリカのStewart-MacDonald製です。クルーソンタイプのペグはHCマークがあるので韓国のHanchang社製です。ブリッジは韓国のSung-il社製です。)

 

Waverly (アメリカの会社です。Waverly Musical Products Company, Inc. 1918年ニューヨークにて設立。1970年代に同じくアメリカのStewart-MacDonald Manufacturing Company, Inc.(通称StewMac。1968年創業。)に買収され、1989年にモンタナ州ボーズマンにてギターペグ工場再建(Waverly Manufacturing Company)。現在もStewMacがブランドを持っており、オハイオ州アセンズのStewMac Factoryの一角に再度移転してハンドメイドで製作されています。Stewart-MacDonald, Ohio USA. stewmac.com)

A Tour of StewMac Headquarters! (Driftwood Guitars 2021年10月17日)

 

Sloane (アメリカのStewart-MacDonald製です。アーヴィング・スローン考案、ウェイバリー製作。Waverly同様、オハイオ州アセンズのStewMac Factoryの一角でハンドメイドで生産されています。)

 

Sperzel (アメリカの会社です。Sperzel, Inc. めっき工程等の表面処理等、外注が多いのですが、外注先も全てUSAにこだわって作っています。ロック式ペグの先駆者。特にバックロック式のペグは特許を取得しており、他社は作れませんでした。現在は特許切れの為、各社バックロック式のペグも作れる様になっております。)

 

Tremlocker (アメリカのメーカーです。USA特許取得済。アメリカのAidex Precision LLC.の工場で作られています。)

 

MojoAxe (アメリカのメーカーです。MojoAxe Custom Guitar Parts. USA工場製。)

 

Wilkinson (以前はアメリカのメーカーでしたが、現在はイギリスの会社です。Kate Wilkinson Enterprises Ltd. アメリカ時代はローラーナットやブリッジをUSAで生産していましたが、現在は日本のGotohや韓国のJin-Ho等のライセンス製品のみとなっております。韓国のItalia GuitarsもTrevor(Trev) Wilkinson氏のデザインです。)

 

Rodgers (イギリスの会社です。1978年イギリスにてチューニングマシン(ペグ)の製造を開始。2010年にRodgers Tuning Machines Limitedとして法人化と同時にカナダに移住。2016年に法人を解散し、創業者のみイギリスに帰国。家族経営で、主にクラシックギター用のハンドメイドのペグを作っています。)

 

Alessi (イタリアのメーカーです。Alessi Tuning Machines. 主にクラシックギター用のペグを作っています。)

 

Vega-Trem (スペインの会社です。Vegamateos Guitar Sl. スペインのマドリードの工場で作っているそうです。)

 

Grover Musical Products, Inc. (グローバー。アメリカの会社です。1952年オハイオ州クリーブランドにて設立。1980年代中盤以降、全て韓国Hanchang社や韓国Jin-Ho社、台湾Ping Well社等のアジア製になります。)

 

Kluson Manufacturing Company (クルーソン。アメリカの会社です。1925年シカゴにて設立。1981年フェンダーのギター(初年度Fender Bullet)に付いて出荷されたのが最後にKluson社は消滅。1994年にアメリカはフロリダのWD Music Products, Inc.がアメリカでのクルーソンブランドを購入し韓国Hanchang社と韓国Jin-Ho社で生産。1999年にドイツはハノーバーのGöldo Music GmbH(法人化は2005年)がヨーロッパでのクルーソンブランドを商標登録し韓国Hanchang社や韓国Jin-Ho社、日本Gotoh社で生産。現在に至ります。)

 

 

何故、アメリカ製のギターにアジア製のペグやブリッジが付いているのが普通になっているのかと言うと、ペグやブリッジはメッキするのが普通です。

メッキする過程でのメッキ液は有害であり、メッキ工場は土壌汚染に繋がるので、アメリカやヨーロッパではかなり厳しい規制対象です。

2006年のRoHS規制以降より厳しくなりました。

要するにアメリカやヨーロッパではメッキパーツはなるべく作りたくない訳です。

それでアジア製のギターパーツが台頭して来たという経緯があります。

アメリカ製やヨーロッパ製パーツに無メッキや蒸着メッキが多いのはこの為でもあります。

 

海外では Tuning Pegs(ペグ) 呼びは少数派で、Tuning Machines または Machine Heads もしくは Tuners 呼びが多数派の様です。