一生懸命な生徒を目の当たりにしていると思わず頬が緩みます。生徒が学んでいる曲を「どのライン」で合格とするか。ピアニストの私がOKだと思うのは、実はとても設定が高くなる恐れがあります。楽しく音楽を学びたいと思っている子にとってその基準を一律に設定してしまうのは間違いでしょう。

 

 幼い頃の私の先生で、間違った音を弾いてもあまり指摘してこないな?と思った先生がいました。子供であった私は「先生適当だなぁ、気が付かなかったのかなぁ?」なんて思ったりしましたがそれはあり得ない事でした(笑) 私は生徒がレッスンで披露してくれる演奏を一回目では止めないようにしています。その上で手直しをしていきますが、本当はすべての音を止めてより良くしたいのですが、あまりに次から次へと生徒の演奏を止めさせて一音一音直していたら、生徒の気持ちはだだ下がりでお通夜のようなレッスンになってしまうでしょう(笑) 時には完全に間違った音を弾いていても、そこに至るまでにあまりに間違いが多い場合にはあえてその週には指摘せずに、他のところが消化できたタイミングで後回しにすることもあります。どうしてもその時点での生徒のキャパでは難しいと判断すれば、先に進めることもあります。

 

 過去に受け持った生徒の中には、一見するとなかなかピアノの上達がわかりずらい生徒たちももちろんいました。私もどうしたものか…と悩んだりもしたのですが、後に保護者の方から「何事も続かないあの子がピアノだけはずっと通ってくれているんです。それだけでもとてもうれしいのです。先生どうかこれからもお願いします!」と真剣に感謝されたことがありました。あぁ私は思い違いをしていたのかもしれないと気づかされるのです。町のピアノの先生の役割。ピアノが上手に弾けるように教える…「だけ」が絶対の役割では無いのだと。

 

 話があちこち飛ぶようですが(笑) 今日もたくさんの生徒さんたちのレッスンをしながら本人たちが様々に曲に取り組んでいる様子を見守っております。