東洋経済オンラインの2月4日分の記事に「東大生にピアノ経験者が圧倒的に多い理由」と題された記事がありました。

 

記事中の調査結果によると、東大生100人あたりのピアノ経験者数は47人。対して一般的な小学生における楽器経験者数の割合は4分の1程度。その一般的な楽器経験者が「3:1」の比率で女子が多いのに比べ、東大生は4:1で圧倒的にもともと男子が多い母体集団であることを考えるとほぼ東大生2人に1人がピアノ経験者であるということは突出している。

 

その理由として考えられるのが

1.子供にピアノを習わせる・ピアノを買い与えるだけの経済力を親が持ち得ているので自然と学習面での環境も揃いやすい、バックアップがしっかりできている

2.毎日辛抱強く反復練習を続ける習慣がついている

3.左右5本づつある指に別々の動きをさせることで脳の発達が促進される

 

といった内容です。どうやら本の宣伝も兼ねているみたいですのでまるまる鵜呑みにするのはためらわれますが基本的に私は賛同します。

 

東大生にピアノ経験者が多い…だけでなく、早慶や京大にも非常に多くの「かなりの腕前の」アマチュアピアニストが存在します。私自身が早稲田のピアノサークル「ショパンの会」出身ですし、ピアノ早慶戦なんてイベントもありました。またボストンへ留学中、かのハーバード大学やマサチューセッツ工科大学にも驚くほどの腕前のピアノ弾き、音楽を奏でる学生がたくさんおり、サークルや学生オケもさることながら、学校側もしっかりとした音楽施設や音楽の研究室・授業を備えており、その教授陣・教師陣も圧倒的な一流の人材を揃えていてびっくりしたのを覚えています。

 

なぜでしょう。

 

1.やはり幼い頃よりそういった教養を身に着けられるような環境・ご家庭に育った人物がそういった大学へ進学する確率は(良い悪いは別として)高いようです。また、教養という面では、単に裕福なご家庭というよりも、そういった文化的な価値を認めて教育に熱心なご家庭のお子さんほど、最終的に高学歴を得るようです。

 

2.ピアノは毎日毎日、苦痛を覚えるほどに練習に取り組まないとなかなか上達しない難しい楽器、習い事です。

 

~~~私は友人の塾講師からこのような話を聞いたことがあります。新しく塾へ来る子供にそれとなくピアノを習っているかさぐるそうです。そしてもしピアノに真剣に取り組んでいる子供が自分のところにやってきたとわかると心の中ではガッツポーズ。なぜなら、その子は塾の評判を上げてくれる大成長株として期待が持てるからです。たとえその時点では全く勉強ができなくても、毎日辛いことに取り組む習慣ができあがっているために、あっという間に成績が伸びるからです。もちろん塾側もこの生徒には自然と手厚くフォローが入るので、相乗効果で成績が伸びるわけです。

 

3.脳科学の先生たちも再三このメッセージを発していますが左右の手を別々に動かすだけでなく、それぞれの指までを独立させて動かすことを幼い頃から続けていることが、どれだけ脳の成長に良い影響があるかは計り知れません。またピアノを弾くには、この独立した指の動きは「楽譜」を目で読みながら視界の外で行われることになり、さらに進んだ生徒はそこにペダルという「足」の動きまで加わります。舞台で演奏ともなれば、初心者でも5分、上級者であれば30分以上という長い曲を「暗譜」して演奏することになります。それも多くの人の視線が集まる緊張のステージで。  …これが脳の成長に全く寄与していないとは考えずらいでしょう。

 

これらの私の思う所もあわせると、東大生にピアノ経験者が異常に多いというのは驚かない事実です。もちろん今の時代においては、高学歴を得る事=そのまま幸せが約束される、ということにはなりません。多様な生き方が求められている世の中ですので、高学歴にこだわる必要は昔ほどは無いと思いますが、それを抜きに考えてもピアノを習わせることのメリットの大きさは無視できないほどに大きいと考えます。