いや、まぁ、私は悪くないんですけどね。
自宅マンションのオートロックの前でギューとかチューとかしてるカップルがおりまして…
通れないなー、なんて思ってたら、そのカレシさんと目が合いまして。
「てめ、ナニ見てんだよ?」みたいな顔をされてもこまるワケで。
…だって通れないんだもん。
いや、まぁ、私は悪くないんですけどね。
電車に乗ってて1つだけ席が空いてたんで、そこに座ろうとしたその瞬間。
すぐ隣りに座っていたお姉さんが熟睡してたらしく、その空いてるスペースにジャストタイミングで首がカクっと落ちてきまして。
案の定、私の背中と椅子の間に顔が挟まれてしまったんです。
で、寝ぼけてたらしく、瞬間的に「きゃっ!」なんて声を出すもんだから…
一斉に周辺の人達が痴漢を見るような目つきで私の顔を見てくるワケですよ。
いや、あの… え? 私? みたいな。
しかも主犯(?)のお姉さん、何事もなかったかのようにまた寝てるし。
いや、まぁ、私は悪くないんですけどね。
エレベーターに自分を入れて6人乗ってまして。
急にオナラの臭いが漂ってきたんですよ。
エレベーター内は私以外みんな女性だったんですね。
たぶん真犯人をのぞく4名は完全に私を疑ったと思うんです。
必死に心の中で
「ワタシ、チガウ、ワタシ、チガウ、ワタシ、チガウ…」
と呪文のように唱えてたんですけど。
目的階に到着するまで、なぜか妙な罪悪感を感じてしまって。
取調べで、やってもない事を自供しちゃう人の気持ちとか理解できたり。
さて、
ハウス食品の「スペースカレー」なるモノをゲットした。
銀色のメタリックなパッケージに宇宙ステーションの実験棟「きぼう」のイラスト。
ディズ○ーランドのスターツ○ーズを想像させる商品名のロゴ。
宇宙。
それは男のロマン。
最先端の科学技術が集結された、人智における最高峰。
JAXAのロゴもあって、すでに気分は宇宙飛行士。
浮いている感覚なのは無重力だからではなく、ただの二日酔い。
とりあえず箱の後ろを見る。
「地上での作り方」という表記に軽くイラっとする。
「宇宙での作り方は!?」
とか叫んでみるものの、
「それはアンタにゃ関係ないでしょ?」
という天の声に我に返る。
さぁ、とりあえず作ってみよう。
レトルトだからアッという間。
「アッー!」
はい、完成。
普通だ。
いたって普通のカレーだ。
見た目からはあまり宇宙を感じられない。
百聞は一口にしかず。とりあえず食べてみよう。
懐かしい味がする。
昔、喫茶店で食べたカレーの味だ。
昭和というより大正浪漫を感じさせる味わいと香り。
未来的な最先端技術のカレーを想像していたのに、なぜか気分は過去にタイムスリップ。
時代は回る。
人は歴史を繰り返す。
温故知新。
新しきを知るには古きものを知らなくてはいけない。
なんて事を考えながら食べていたから、正直美味しいかどうかと問われると自信がない。
とりあえず1つだけ言えるのは、これを店頭で見かけてもきっと買わないだろうという事だ。
さて、職場という名の"宇宙”に向かわなくては…
【 第24話 「マンションの玄関はラブホじゃない」 完 】