2011年7月8日0時48分 某マンション1004号室
「お疲れ様です」
「被害者は?」
「こちらです」
直江は若い警官に導かれながら現場に巡らされたロープをくぐり、中に入った。
「他殺…か」
直江は手袋をはめながら死体を観察した。
「被害者は長尾景子28歳。職業は作家で、主に子供向けの小説や絵本を書いていたようです」
「交友関係は?」
「現在調査中ではありますが、昨夜22時前後に男性が1人この部屋を訪ねて来ていることが隣の住人によりわかっています」
「その男性とは?」
「その男性が…警部もよく知る人物であります」
「何…?」
第1話
戦いの始まり
2011年7月7日1時5分 上杉政勝宅
「ふぅ…」
風呂から上がった俺はテーブルに置いてあるマルボロに火をつけた。今日は俺が担当した過去の法廷記録を整理することに追われた。1日の終わりに吸う煙草は美味い。俺が小さな幸せを感じる一時である。俺はマルボロに火をつけたジッポを見た。このジッポは5年前に初めて法廷に立った時に兄からもらったものである。兄は弁護士をしている。
俺の名前は上杉政勝。検事をしている。検事をしてもう6年になる。時が過ぎるのは早いものだ。俺の周りではもう世帯を持った同期も結構いる。俺には関係のないことだが…。
「明日は久々の休みだ。一杯つけるか」
俺はウイスキーのボトルに手を伸ばしたその時だった。
「トゥルルルル…」
「電話?こんな時間に誰だ?」
この電話が、ある男との戦いの始まりだと言うことは、想像すらしていなかった。
「はい、もしもし」
「夜分に申し訳ございません。私春日山署の直江でございますが…」
「直江か…どうした?」
こうは聞きつつも、俺は明日の久々の休みがなくなったのを悟った。
「…検事…実は、上田町にて殺人です」
「殺しか…」
「はい…容疑者は先ほど逮捕いたしました」
「…そうか…ならば何も今でなくてもいいのではないか?明日にでも連絡してもらえれば…」
「それが…そうはいかないのです」
「どういう事だ?」
「実は…」
直江は酷く動揺しているようであった。若いが有能である直江にしては珍しい事であった。
「どうした?黙っていてはわからんだろう」
「実は…先程、真田幸生刑事を殺人容疑で逮捕しました」
「なんだと!?」
私は予想だにしていなかった直江の言葉に度肝を抜かれてしまった。
つづく
「お疲れ様です」
「被害者は?」
「こちらです」
直江は若い警官に導かれながら現場に巡らされたロープをくぐり、中に入った。
「他殺…か」
直江は手袋をはめながら死体を観察した。
「被害者は長尾景子28歳。職業は作家で、主に子供向けの小説や絵本を書いていたようです」
「交友関係は?」
「現在調査中ではありますが、昨夜22時前後に男性が1人この部屋を訪ねて来ていることが隣の住人によりわかっています」
「その男性とは?」
「その男性が…警部もよく知る人物であります」
「何…?」
第1話
戦いの始まり
2011年7月7日1時5分 上杉政勝宅
「ふぅ…」
風呂から上がった俺はテーブルに置いてあるマルボロに火をつけた。今日は俺が担当した過去の法廷記録を整理することに追われた。1日の終わりに吸う煙草は美味い。俺が小さな幸せを感じる一時である。俺はマルボロに火をつけたジッポを見た。このジッポは5年前に初めて法廷に立った時に兄からもらったものである。兄は弁護士をしている。
俺の名前は上杉政勝。検事をしている。検事をしてもう6年になる。時が過ぎるのは早いものだ。俺の周りではもう世帯を持った同期も結構いる。俺には関係のないことだが…。
「明日は久々の休みだ。一杯つけるか」
俺はウイスキーのボトルに手を伸ばしたその時だった。
「トゥルルルル…」
「電話?こんな時間に誰だ?」
この電話が、ある男との戦いの始まりだと言うことは、想像すらしていなかった。
「はい、もしもし」
「夜分に申し訳ございません。私春日山署の直江でございますが…」
「直江か…どうした?」
こうは聞きつつも、俺は明日の久々の休みがなくなったのを悟った。
「…検事…実は、上田町にて殺人です」
「殺しか…」
「はい…容疑者は先ほど逮捕いたしました」
「…そうか…ならば何も今でなくてもいいのではないか?明日にでも連絡してもらえれば…」
「それが…そうはいかないのです」
「どういう事だ?」
「実は…」
直江は酷く動揺しているようであった。若いが有能である直江にしては珍しい事であった。
「どうした?黙っていてはわからんだろう」
「実は…先程、真田幸生刑事を殺人容疑で逮捕しました」
「なんだと!?」
私は予想だにしていなかった直江の言葉に度肝を抜かれてしまった。
つづく
