「大山公園」からバスで鶴岡駅へ戻り、何気に改札口を見ると、青森方面ホームにブルートレインが停まっていた。久しぶりに生で見る車両に視線が釘づけになるが、車両に人気はなく、電源車も稼動していない様子。
 
 
「廃車回送か?」と思っていると、「ピッ」と短い機関車の汽笛が鳴って、列車は静かに発車していった。(この列車はあとで、大阪~上野まで運転された「ニコニコ超会議号」の回送と知る)
 
 
コンビニ「NEWDAYS」へ足を運び、酒コーナーを物色すると、大山の地酒を発見。「加藤嘉八郎酒造・ささの舞」とつまみ・おにぎりを購入して改札を入った。
 
 
16時08分発の村上行で、鶴岡を後にする。
 
 
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先に発車した特急「いなほ12号」には観光客がかなり乗り込んでいたようだが、こちらは休日で下校生がいないせいか、車内は空いていた。
 
 
公園で過ごした羽前大山、昨日歩いた三瀬などの駅を過ぎると、車窓は海沿いへ出る。この時間帯は逆光になるため、海岸線ははっきり見えず、美しい車窓という感じではない。しかし、私はどんな状況であれ、のんびり外を眺めるのが好きなので、全然退屈しなかった。
 
 
あつみ温泉に着くと、「きらきらうえつ」に抜かれるため、小休止となる。私はホームに降りて、「きらきらうえつ」を見送ることにした。
 
 
入線してきた列車は、女性運転士が訓練乗務中で、ホームから車内のラウンジを覗くと、私と同じようなオッサンが、「きき酒セット」みたいなグラスに手を伸ばしている最中であった。
 
 
「エエ感じやないか」
 
 
見ているこちらも、ニヤけてしまう。
 
 
「きらきらうえつ」が行ってしまった後、再び発車した列車は、途中の鼠ヶ関で残っていた客が降りて、とうとう私の貸切となってしまった。
 
 
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そして私も、「勝木」で下車する。
 
 
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ここは、羽越本線の旅の締めくくりにいつも降りる駅で、周辺は町の喧騒があまりないものの、コンビニや入浴施設があり、途中下車には便利な駅。そのたたずまいが気に入って、ネットでたまに地元産の米を購入しているくらいだ。しかし、今日は滞在時間にあまり余裕がないため、海水浴場へ直行する。
 
 
季節はずれの夕方の砂浜は、地元の人がたまに通るくらいで人の気配がない。
 
 
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この静けさと海に沈む夕日がたまらないのだ。鶴岡駅で買った酒をここで開ける。
 
 
ちょっとカッコつけた感じで、もの思いにふけり、妄想を膨らませる。ここでキャンプもいいなと思うが、そこまで私は器用な人間でなない。視線の先には、ウミネコがじっと動かないでたたずんでいた。
 
 
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迫り来る日没を前に、帰りたくない気分と、明日から頑張ろうという気分が交差する。
 
 
短い滞在時間であったが、満たされた気分になった私は、帰り際になぜか海に向かって頭を下げ、何度も振り返りながら駅に戻ったのだった。