小田原市の酒匂川から歩き始めた東海道。手にする資料は、山と渓谷社刊「ちゃんと歩ける東海道五十三次」です。
 
 


 
 
疲れを感じないまま、箱根湯本までやってきたが、小田原を過ぎる頃までは晴れていた空が曇ってきた。湯本は関西でいえば、有馬温泉というところか。規模は違えど、都市部からの距離などを考えるとそんな気がする。
 
 
国道1号から離れ、温泉街の県道に入った。すぐに坂道が待ち受ける。街の中なので、まだ山越えという感じではない。
 
 
白山神社にたどり着く。資料によると、温泉の守護神とあるので参拝する。
 
 
再び歩き始めると、共同浴場「弥坂湯」があった。
 
 
湯本の駅前辺りに日帰り湯の施設の案内があったが、やはり昔ながらの共同浴場に惹かれる。料金は安いし、湯の温度も観光客のことなど考えていないところがいい。
 
 
かなり冷え込んできたし、一風呂あびたいところだが、湯冷めが恐いので通過する。時刻は14時を過ぎた頃で、まだ日は高く、ここで紀行を止める訳にはいかないからだ。
 
 
私の歩く速度は、他の人と比べると普通だと思うが、いつもの観光旅行と比べると速めだと思う。ホントは散歩がてら、のんびり歩きたいところだが、そんなことだと、先の長い東海道を歩破することはできない。
 
 
そんな気持ちで歩いているのと、ダラダラ続く登り坂が、だんだん集中力をそいでゆく。資料にある「一里塚」「石畳道」に気付かずに通過してしまった。
 
 
一里塚はともかく、石畳道は歩いてみたかったので、戻ろうか思案しつつ歩いていると、石畳道の終点を発見した。これはもう歩くしかない。
 
 
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「お~」
 
 
今回の紀行で初めて目にする「リアル街道」
 
 
興味のない人からみれば、何の変哲もない石畳道なんだろうが、歴史好きとすれば、この道を、江戸時代の大名や庶民が通ったのだと思うだけで、想像が広がる。これがロマンだ。
 
 
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この時ばかりは、疲れを忘れ、石畳の感触を嚙みしめてじっくり往復した。
 
 
再び県道に戻ると、ホテル「南風荘」が見えてくる。
 
 
「でっかいなぁ」
 
 
あまりの規模に、つい口に出る。それにしても、いったいどこまで登りが続くのだろう。県道には歩道がなく、時折大型車も通るので非常に危ない。
 
 
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私のような歩きの人間も他には見当たらず、やっていることが見当違いにも思えてくる。
 
 
「初花の滝碑」という場所では、山腹に滝が見えるということなので、探してみたが、見つけられず。
 
 
「どこやねん、滝は!」
 
 
辺りに人はいないし、言いたい放題である。
 
 
一旦坂道を登り終え、一種の安らぎを感じていたが、それがほんのひと時だったと感じる場所に遭遇する。
 
 
「え、マジ~」
 
 
「箱根山大天狗神社」の大きな鳥居もびっくりだが、その横に続く「急勾配ヘアピンカーブ」
 
 
もう私は、笑うしかなかったのだった。