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熊本県球磨郡多良木町にある簡易宿泊施設「ブルートレインたらぎ」へ毎年通っているのですが、最寄り駅のくま川鉄道・多良木駅へ向かう際に、くま川鉄道の車両「田園シンフォニー」に乗ります。


 

「田園シンフォニー」というのは、沿線を楽しんでもらおうとゆっくりした速度で走ったり、途中駅で物産販売があったり、また車内では軽食や音楽が楽しめるという観光列車の名称なのですが、この観光列車自体は11便しか運行されません。ですので、観光列車として運行しない時間帯は、「田園シンフォニー」に使用している車両は、普通列車になって走っています。


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失礼を承知で言わせて頂くと、最初「田園シンフォニー」と聞いて、私は「何やねん!この名前は」と思いました。しかし、車内に入りますと、木をふんだんに使った内装に、しばらく呆然となりました。


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だた、一つ感想を言わせて頂くと、座席の座り心地がちょっとしっくりしない感じがします。あまり姿勢を乱して、ダラーっとすると逆にしんどくなります。このことを今回「ブルートレインたらぎ」で同宿になった中年男性コンビに話すと、「それは都会人の感想だ」と言われました。


 

確かに私の住む関西圏は、特別料金不要でクロスシートの新快速や京阪特急などが当たり前のように走っており、それらの乗り心地に慣れてしまっている感は否めません。人それぞれの感覚を思い知らされたのでした。


 

「田園シンフォニー」という名の通り、くま川鉄道の車窓の大部分は田園風景で、私は最初「代わり映えがなく単調だな」と思っていたのですが、晴れた日などに、流れていく田んぼを眺めていると、おだやかな気分になるのも事実で、悪くないなと最近は思うようになりました。ただ、くま川鉄道に乗ると、往きも帰りも途中からウトウトしてしまうんですね。




 

「ブルートレインたらぎ」に泊った翌日は、くま川鉄道の終点、湯前町へ足を運びました。
 
 
多良木駅から3駅目の湯前駅に着いたのは9時過ぎで、駅前の美術館へ向おうとしたのですが、開館が930分ということを知り、それなら開館前まで、国の登録有形文化財に指定されている湯前駅舎で過ごすことにしました。


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乗って来た列車が折り返して発車していくと、辺りは静寂に包まれました。日差しは強いですが、心地よい風が吹く抜ける中、ベンチに座っていると、地元の高齢の男性が現れ、声をかけられました。私を旅行者と知った上で、話かけてこられたのでしょう。湯前のことを話して下さりました。
 
 
山に囲まれた小さな町ということ、材木の町であること、高齢者が多いことなどをお聞きしましたが、一番びっくりしたのは、「多良木高校が廃校になる」という話でした。
 


 多良木高校は地元では多高と呼ばれているそうで、駅前の交流施設「えびす温泉センター」に多高ニュースが掲示されていたり、駅には在校生が「たらぎ文化財カルタ」という独自の作品を掲示しているのを見ていたので、他所から来た私でさえ、地元に密着している学校という、好印象をもっていたのです。ですので、そんな学校が廃校になるなんてと、ショックを感じられずにはいられませんでした。

 
 
「あの学校は県立だから、一度方針が定まると、それを覆すのは容易ではない」
 
 
前述の地元の方の言葉には説得力があり、今後厳しい情勢が続くようです。いつも過ごしている日常に変化を求めて、私は旅に出るのですが、今回の旅は報道などで知る少子高齢化という厳しい現実に直面することになったのでした