和歌山県有田郡有田川町にある有田川鉄道公園へ出かけてきた。この公園は、元有田鉄道の金屋口駅構内にあって、保存鉄道車両の展示運転を行っている。公園内には、資料や鉄道模型を展示している鉄道交流館が併設されていて、芝生広場等も整備されている。

 

今回、公園を訪れた最大の理由は、展示運転にレトロな車両のキハ58003が使用されるからだ。元国鉄キハ58の流れをくむ車両で、国鉄車とは細部の違いはあるものの、車内はほとんど差がない。

 

展示運転の開始まで、公園内を散策していると、前照灯を光らせたキハ58がやって来た。車体は再塗装されてピカピカである。有田鉄道現役時のキハ58は、錆びだらけでくたびれていた印象しかないので、よくぞここまでよみがえったなと感心する。残念ながらエンジンの故障で自走はできないらしい。展示運転の際は、DL17型機関車が牽引することになっている。

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キハ58は、展示運転前の試運転で構内を何往復していた。そして、10時の展示運転開始の一番列車に乗り込む。

 

車内に冷房はない。扇風機が全開の中、ボックス席に座る。そして、窓を最大限開けた。程なく出発すると、車内チャイム(アルプスの牧場)が流れてきてビックリする。まさに急行列車そのものである。

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車両は芝生広場へ動いたあと、スイッチバックして出発地のホームを過ぎ、元金屋口駅へ向かう。現役当時のまま残されているホームへ滑り込み、ここで写真タイムとなる。乗車していた観光客が思い思いに撮影する。

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およそ5分の停車のあと、スタート地点の交流館前ホームへ入線して、ここで終点。一回の乗車料は¥200―である。

 

列車から降りると、涼む目的も踏まえて交流館へ入った。こちらも入場料¥200

 

交流館の中は、鉄道模型を中心に、有田鉄道の写真やJRの特急の座席、鉄道関連書物などがあった。しかし、目を引いたのは有田鉄道の沿線を再現したジオラマだ。有田鉄道は、もともと5㎞少々という短い営業距離だったため、再現しやすかったのかもしれないが、良くできている作品だ。在りし日の有田鉄道がよみがえってくるようだった。

 

交流館を出ると、さっき乗ってきた元金屋口駅を見に行く。

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展示運転の車両がやって来ない駅前は、静けさに包まれている。

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駅前には営業を終えた中華料理店と、有田鉄道の本社建物が健在。

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そして、わずかながらの駅前通りが、有田鉄道があった当時を偲ばせる。

ちなみに
19649月号の時刻表を見ると、実に有田鉄道はざっと数えて18往復も列車が運行されていた。

 

金屋口から町の中をぶらりと歩いて、鉄道交流館前へ戻る。そして、最後にもう1往復展示運転の車両に乗り込んで、今回の訪問はお開きとなった。

 

今回は夏場でもあり、長時間屋外で過ごすのははばかられたので、数時間の滞在で終了となった。

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落ち着いた天候になったら、
JR藤並駅から延びる有田鉄道の廃線跡をゆっくり歩きたい。そして、途中どこかで酒や食料を買い込んで、鉄道公園で一杯やりながら過ごしたいと思った。