羽越本線上浜駅から、歩いて到達した象潟。正確にいえば、「にかほ市象潟町」である。関西在住の何もわかっていないオッサンにとって、象潟といえばユースホステルという印象くらいしかない。
 
なので、とりあえず「にかほ市象潟郷土資料館」へ足を向けた。「ざっと歴史を見れたらいい」と、安易な気持ちで訪問した資料館であったが、1時間ほど滞在するハメになった。
 
なぜなら、象潟が、鳥海山の噴火によって形成されたという事項に感心し、解説図に見入ってしまったからだ。
百以上の小島が存在していた潟の周りに、町が形成されていた様子を再現されたジオラマは、歴史好きな私にとっては飽きのこない展示物であった。
 
しかしその潟はやがて、地震によって隆起してしまい、消滅しまう。
 
長い年月だが、なんて移り変わりの激しい歴史を歩んできたのだろうと、私は象潟という地に大いに感心を持ってしまった。
 
潟は隆起によって消滅してしまうも、潟に浮かんでいた小島は保存運動ののち、現存していることを知ると、もう見に行きたくなり、町を歩くことに決めた。
 
「遠いところから、よくお越し下さいました」
 
帰り際に、受付のおばさんに声をかけられる。資料館入場時に記帳をしたので、私の住所をみて感心されたようだ。
 
資料館でもらった地図には、数えるのが面倒くさいほど小島があり、とうてい全部は回れないので、手頃な場所を見て回る。何の変哲もない盛り上がっている土地だが、松の木が生えているのが昔、小島だった名残だ。
 
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ならば、私が歩いている場所は昔は水面だった訳で、そんなことを想像しながら歩くのは、鉄道廃線跡探訪をしている気分のようにも思えて楽しかった。
 
島の跡地めぐりを終えると14時前になっており、腹が空いてきた。
 
残念ながら、駅前の食堂は閉まっていて、コンビニも見当たらないので、とりあえず、海水浴場の方へ足を向けてみる。途中、一軒だけ食事ができそうな店は開いていたが、何となく入りそびれて、海水浴場まで来てしまった。シーズンなら賑わう砂浜も人気はなく、たまに地元の人が通るくらいだ。
 
とにかく何か喰おうと、途中に見つけていた酒屋に入り、酒・ビールとつまみ、パンを買って砂浜へ戻った。
 
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風が吹く中、肌寒くなった砂浜で、ビールとパンを喰らう私。ばからしいと思われるかもしれないが、旅先ではよくあるパターンで、私は気にしない。
 
食事中、尿意をもよおしたので、便所に入った。戻ってみると、食べかけのパンやつまみをカラスが突いているではないか。
 
「このヤロー!!」
 
しばらく、砂浜でカラスを追いかけまわしたのは言うまでもない。食事の続きを済ませると、象潟での滞在も終わりとなった。
 
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駅に戻ると、15時17分発の「いなほ5号」で秋田へ。そして空路、帰阪の途についた。
 
羽越本線の旅もかなり北上してきたが、まだ羽後本荘からの「由利高原鉄道」など、訪問したいところはたくさんあるので、湯ノ田温泉共々、再訪する時を楽しみにしたいと思う。