先程通った、もと松ヶ崎小学校の校区だったと思われる松ヶ崎地区に入った。住宅も多く、国道341号が街の中心を貫いている。

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国道を西へ向かうと松本清張・砂の器の舞台の一つ、羽後亀田駅に行き着くがここからは結構離れている。町のはずれには衣川(ころもがわ)が流れており、かかっている橋は重厚な造りであった。

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12時過ぎに「道の駅・岩城」へ到達し、トイレ休憩とする。

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温泉が併設されている道の駅で、興味はあったが行程途中で入浴するのはあまり気が進まず、ジュースを飲むだけにとどめる。お昼時で観光客は結構いたが、いまいち活気が伝わってこなかったは気のせいだろうか。

 

次に到達したのが岩城内道川地区である。保育園があり、その前が空き地になっていた。気に留めずに通過しようとしたら、碑のような建造物が並んでいる。ここは道川小学校跡地なのだった。

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さっそく検索してみると、フェイスブックに閉校時の式典などの画像がアップされており、道端に立ちながらしばらく見入ってしまった。またもや、せつない気持ちがこみ上げてくるのであった。

 

道川駅を過ぎ、少し内陸部へ入って岩城勝手地区へ向かう途中、ホテル跡の塀が姿を現す。

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「ホテル・ギンザ」か…。

街道歩きをしていると、何でこんな所にホテルがという物件をよく見かけるが、ここもご多分に漏れず、需要があったのかと不思議な気分になる。ただ、勝手という地名は伊能忠敬の古地図にも記されているので、町自体は歴史が深い。そういった流れで昔はこの界隈も通行量が多かったかもしれない。

 

町を抜けるとJR羽越本線の踏切へ。ちょうど貨物列車がやって来た。ここまで歩いてきて本当に貨物列車をよく見かけた。羽越本線が物流の一端を担っているのを実感する。

 

ここからしばらくは国道7号を歩く。横は日本海なのだが、風よけのフェンスが並んでいるため、景色はあまり見えない。柵の合間にあった空間を見つけ、しばらく海を眺めた。ずっと歩いてきた由利本荘市が終わり、秋田市へ入った。


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国道はやがてバイパスになって内陸部へ向かう。バイパスは町の中心へ向かっているので、そちらへ進路を向けるとどんどん高度が上がって、町へ出る道が見当たらない。手遅れにならないうちに、塀を乗り越え、堤を滑るように下った。下った所は下浜地区である。この辺りから昔の地図が見られるサイト「今昔マップ」のエリアに入ってきたので、古道を忠実にたどるため、集落の小道を歩く。横にバイパスが通っているが、古めかしい景色が目に入り、しばらくたたずんだ。


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町を抜け、JRの線路を渡ると国道7号の旧道に入る。この道はそのまま下浜駅へ通ずるが、車の流れがバイパスへ流れてしまったため、駅前通りとは思えない静かさである。通りのあまりにもの変貌に驚きながら進むと下浜駅へ到着した。時刻は15時前で、次の秋田方面の列車までおよそ1時間。ここが潮時だなと、駅で休憩しようと思ったら、海水浴場の案内看板があったので足を踏み入れる。

 

季節外れの海水浴場は人気もなく、目の前を日本海が波音を立てて広がっている。風も強い。何とも寂しい光景だが、こういう場所で感傷に浸るのは嫌いではない。

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今日の行動を思い出しながら砂浜を散歩する。早朝に出発し、順調に進んだ行程だったが、秋田県は広い。この先は男鹿半島が控えている。次はいつ来られるかわからないので、目の前の景色を目に焼き付けた。

視線の先には若い女性の3人連れが、歓声を上げながら歩いていた。