久しぶりに2日間かけて近江鉄道にじっくり乗ってきた。今回出かける前の時期には路線の存続問題が取りざたされてニュースになっていたが、とりあえず廃止をまぬがれたのは良かった。


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今回の行程は貴生川と彦根を往復したのが主で、万葉あかね線と呼ばれる八日市と近江八幡には寄らなかった。ただ高宮と多賀大社前の支線は1往復している。

 

まず印象的だったのは、水口から日野にかけての自然豊かな区間であった。人家がほとんどない草原を走り、途中にトンネルを低速で通過していくので、私はロングシートで体を動かすのにせわしなかった。

 

八日市を前後とした区間は、自転車を持ち込む在留人の若者、学生などで多くはないが乗降があり変化があった。多賀支線にある半導体事業会社SCREEN最寄りのスクリーン駅で降りそうな人はすぐ外見でわかるほどで、車内でノートパソコン広げている姿は企業戦士というのにぴったりな姿であった。


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今回の近江鉄道乗車で降りた駅は、初日に多賀大社前・彦根。2日目は五箇荘・八日市の各駅で、多賀大社前では「多賀SLパーク跡訪問」「多賀大社参拝」。五箇荘は「中山道歩き」と「近江商人博物館観覧」。八日市では「近江鉄道ミュージアム訪問」といった所をまわった。彦根は「彦根ビューホテル宿泊」のために降りたもので、この界隈とSLパーク跡については後述することにする。


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多賀大社は前に近江鉄道に通っていた頃に初詣の地としていたので、久しぶりの訪問となった。改めて本殿を眺めると奥ゆかしく優雅であった。境内の店舗でざるそばを食べ、帰りの駅までの道は各家々の風鈴が涼やかに鳴り響いていた。

 

五箇荘の中山道は静かで最初は街道歩きを楽しんでいたが、とにかく暑い。途中から街道を離れて、近江商人博物館へ逃げ込んだ。てんびん棒を担ぐ近江商人に思いを寄せ、併設されている画家・中路融人の作品で榛(はん)の木が立ち並ぶ往年の田園風景に見入った。


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五箇荘駅で次の電車を待つ間にビールを飲み、ホームに立つと暑いながらも風が吹き、秋の気配を感じた。八日市の近江鉄道ニュージアムは思っていたより小さく、少し拍子抜け感があったが、コンパクトに展示がまとまっており、ダラダラとしない設備がかえって良いのかもしれない。八日市の商店街を散策して、最後は貴生川までのノスタルジーな時間を過ごしたのだった。


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今回の乗車で感じたのは、乗客のマナーが良かったことが挙げられる。ワンマン運転の乗降ルールをきちんと守っていて、降りる人は皆、ちゃんと運転席横のドアまで歩いていっていた。1人だけ寝過ごしそうな若い女性が発車寸前に後部ドアが降りていったが、運転士は発車をやめて、女性に切符の提示を求める毅然とした態度で対応していたのも気持ち良かった。

 

今回の近江鉄道訪問は実りのある時間であった。また乗りに行こうと思うが、取り立てて、JR琵琶湖線を利用する際、草津から彦根・米原間を片道だけでも近江鉄道にするのが面白いのかなと今は思っている。