会社から永年勤続表彰で頂いた旅行券がまだまだ残っているため、次の使い道は東海道街道巡りにすることにした。しかし、前回の東海道巡りで通りがかった「大井川鐡道」に乗りたかったので、2日間の行程の初日は大井川鐡道へ向かった。

 

東海道新幹線を掛川で降り、在来線に乗り継いで金谷着。大井川鐡道の小さな駅舎へ向かう。数名が列車待ちをしている中、窓口で「川根温泉笹間渡」までの切符を購入する。支払いはGoToトラベルの地域共通クーポンが使えたので得した気分になる。しかし待合室の壁には川根温泉入浴料が実質無料になる往復乗車券の案内があり、あっちにすれば良かったと後悔するがもう遅い。そんな中、JRの東京方面からの列車が到着。すると、かなりの人数が大井川鐡道の連絡通路にやって来た。おかげで11:03発の普通列車は座席が埋まった状態で発車した。

 

大井川鐡道に乗るには2度目である。前回は2015年のゴールデンウイークに仲間と旅行に行く際の集合場所へ向かう際に利用した。この時に乗ったのが7200系という車両だったが、もと南海電車の21000系に乗りたかったのでガッカリした記憶がある。そして今回乗っているのはめでたく21000系である。

 

後続のSL列車に乗り換える客が新金谷で一斉に降り、車内は空いた。ようやく念願の着席となり、ふかふかした座席の感触を味わう。

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車内を見渡すとさすがにくたびれ感が目立つが、前方は最新の停車駅案内モニターが設置され、サービスを保っている。

 

市街地だった車窓もやがて大井川が寄り添ってくると、旅情色豊かになってくる。しかし、前にも思ったことだが、川の水量が少ないのが気になる。川幅が広いため余計に目立つ。江戸時代の「越すに越されぬ大井川」には程遠い光景である。ダムやリニアなどの問題を抱えていることを実感する。

 

途中駅でトーマス列車との行き違いがあった。あいにくの小雨模様だったが、見ている限りどの車両も乗客が一杯で、こんなにトーマスの人気があるのかと感心する。更に目を引いたのが、バック運転で最後尾につながっていたトーマス顔の機関車だ。写真などで見ていると子供じみた車両と思っていたのだが、実物をみると何ともカッコイイではないか。一瞬のすれ違いだったが、魅力が伝わってきた。

 

川根温泉笹間渡駅に11:40頃着。

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傘をさして歩いて温泉へ向かう。次の目的は露天風呂で
SLを眺めることである。10分程の歩きで到着すると、道の駅が併設されている施設の駐車場は天気が悪いのに結構埋まっていた。

 

入浴券を購入し、受付へ向かうと外でドカンと音が響き驚く。受付のおばさんが「花火を打ち上げているんですよ」と訳を教えてくれた。浴室からさっそく露天風呂へ出ると、目の前は大井川鐡道の鉄橋であった。ちゃんとSLの通る時刻を表示してくれているので、それまでは温泉を味わう。露天の一角にある浴槽が高温で最初は長く浸かれなかったが、小雨に濡れているし、慣れてくるとこの熱さが気持ち良いものとなった。

 

そしてSLの通過時刻。汽笛が付近に響き渡り、煙をはきながら目の前を列車が通過していくのは、幻想的な光景であった。すばらしいの一言につきる。柵が低目なので裸が丸見えになるのではと心配になったが、周りの数人と手まで振ってしまった。

 

風呂から上がると、広間で昼食とした。生ビールと定食を味わい、食後は館内の歴史解説イベントを見る。そうこうしているうちに帰りの金谷行の発車時刻が近づいてきたので、駅へ戻った。


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今回、乗りたかった21000系車両を体験し、温泉でSLを眺める目的を達成したので、大井川鐡道で過ごした時間は満足であった。次は全線走破か客車列車を乗るかを目的にまた再訪したいと思う。