前回の「急行きたぐにで行く、大糸線日帰り旅行」から3年近く過ぎた2009年春。前回の旅行で共にしたN氏から「姫川観光ホテルが廃屋になっている」ということを聞かされた。どうやら、他の仲間と旅行で大糸際に乗った際に目撃したという。
私はショックを受けたのと同時に、久しぶりの大糸線の旅に行きたい欲が出てきた。N氏に打診したところ快諾してくれたので、宿の手配をN氏に任せ、あと往復はリーズナブルに青春18きっぷを使うというプランが出来上がり、8月に行ってきた。
今回泊まったのは姫川温泉の「朝日荘」で、大糸線を望む展望露天風呂が売りのかねてから泊まってみたい場所だった。行ってみると建物は古かったが、往年の観光ホテルのたたずまいが残っており、これは姫川観光ホテルと似通っている感じであった。
夕食は地酒「謙信」をたしなみ、食事も一杯やるのに充分の質で美味しかったと記憶している。名物の露天風呂も楽しんだが、内風呂も湯量が豊富で、源泉が枯渇していた災害復旧間もなかった姫川観光ホテルのことを想った。
その姫川観光ホテル跡には翌朝見に行った。建物は現存していたが、荒廃が進んでおり、ロビーの場所などは特定できなかった。また泊まった部屋の場所も忘れてしまっていたので、不思議と寂しい気分にはならなかった。とにかく現状を見て、一区切りがついたという感じであった。
宿を出発してからは、大糸線の小滝駅で下車して、列車撮影と姫川の河原で川遊びをした。
後は、ひたすら普通列車の乗り継ぎで帰路についたが、今では実現不可能になった北陸路の18きっぷ紀行を楽しめたのは良い経験だった。
そして、この旅行が大糸線におけるキハ52型の最後の乗車となったのであった。