急行「きたぐに」に乗るために無理やり行動する紀行、今回の目的地は越後出雲崎だ。実は初めてではない。
 
前回の訪問は約4年前。この時も「きたぐに」が目的で、ついでのような感じで訪問した出雲崎であるが、思いのほか、楽しむことができた。
 
だた時間がなくて行けなかった場所があり、名残惜しく帰ったので、いつかまたと思っていた。
 
その後、出雲崎で新たに興味を持った施設ができ、そろそろ再訪する時期が来たかと思い、出発することにしたのだ。
 
「きたぐに」の大阪駅発車時刻は23時27分。
 
「きたぐに」に乗るとき、いつもは自宅で晩酌してから、22時頃に家を出るのであるが、この場合、酔っ払っているので、大阪駅へ行くまでに、電車で寝てしまうことがあり、一度、寝過ごしかけたこともあった。
なので、今回は晩酌?を大阪駅でやろうと考えた。改良工事で新しくなった大阪駅11番ホームもじっくり過ごしたこともないので、そういう目的もある。
 
アルコールが入っていないので、極めて順調に大阪駅に着いたのは22時前であったと思う。まず、きっぷを買うために窓口へ。
 
「今日のきたぐにの寝台を」と言うと、窓口氏は「下段は満席ですよ」
 
誰が、下段と言ったんだ。中段、中段!
 
何回か「きたぐに」に乗るようになって、私は寝台は中段を利用する回数が多くなった。
 
三段のB寝台は、幅が広い下段が利用しやすいが、頭上の高さがないので、さほど快適さはない。それなら下段より料金が安い中段でも変わらないと私は思っている。
もちろん、中段を利用するなら、8号車のパンタ下の箇所(1・2番と11~14番)が頭上が広くておトクだが、ひねくれている私は、狭苦しい寝台を体験するのが、寝台列車の醍醐味と思っているので、パンタ下は気が向いた時の利用にとどめている。
 
「あ、中段ですか、それなら」
 
日頃、「きたぐに」の中段をわざわざリクエストする人がいないのか、私は珍しいと思われたようだ。とりあえず、きっぷを手に入れたので、コンビニでビールや酒、スポーツ新聞を買い込んで、さっそく11番ホームに上がった。
 
自由席ののりばは長い列ができており、この光景を見るのは久しぶりだ。
 
以前は「きたぐに」の自由席に乗ろうものなら、週末や長期休暇の時期は、早い時間から列が伸びていたと思うが、最近は、そのようなことはなく、普段の週末なら、並ばなくても、大阪からなら自由席は充分座ることができる。ただ、今日は三連休の初日なので、移動する人がかなりいる模様。
 
自由席のりばの付近は待合室があり、空調が利いているようだが、席は埋まっていた。仕方なく、前方へ移動して、ベンチに腰を下ろした。
 
さすが、昼間はサンダーバードが出発するホームのベンチなので、少しクッション地があり、ゆったりしている。なかなかの座り心地だ。晩酌には充分の居住性で、さっそくビールを呑んだ。
これで、ホームにブルートレインなんぞが入ってきたら最高であるが、そのような列車はすっかり影を潜めてしまい、寂しいところである。
 
ビールをちびちびしながら、新聞に目を通す。しばらくすると、難点に気がついてきた。照明である。
 
11番ホームは優等列車が出発するとあって、他のホームと比べて、蛍光灯がやや白熱灯みたいで高級感を出しているのであるが、この灯りの下で新聞を読むと、少し目が疲れるのだ。これは、私だけかもしれないが、普通の蛍光灯に慣れている弊害かもしれない。
 
それだけが気がついた点で、それ以外はゆったりと過ごせたので、全体的には新しい11番ホームは良かったと思う。
 
23時を過ぎて、「きたぐに」が入線してきた。発車の20分近く前に入線するので、発車までに余裕があり、私を含めたマニアたちは撮影に忙しい。中には女性がおり、最近の鉄道趣味も変わったと思う。
 
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撮影を終え、列車に乗り込むと発車時間になり、列車は動き出した。私はすぐに浴衣に着替えて、洗面を済ませ、寝台に潜り込んだ。
 
せっかくの寝台車、じっくり寝るためにきっぷを買ったのだから、寝るに徹することした。(つづく)