2024年6月27日

講談協会定席広小路亭講談会@お江戸上野広小路亭


講談協会の本場所としてすっかり定着。水曜日の午後ながらほぼ8割方席が埋まってかなりの熱気、それに触発されて熱演が並びました。


前講1:三方ヶ原軍記 山兎

前講2:和田平助鉄砲斬り ようかん

前講3:扇の的 貞太

前座さんはこういうまとまった人数の前で読む機会はそれほど多くないので、本場所の高座は大事にしたい。三人三様の高座だったが、貞太さんの途中無本なのに時々下を向く癖が気になった。前座のうちに直しておきたい。


一、名医と名優(男の花道) いちか

先日明治座で高座を務めたとき、その大きさと数々の名優やスターが踏んだ舞台というプレッシャーに圧倒された…というマクラから「今日はお芝居にちなんだお話を…」ということで、三代目中村歌右衛門の眼の急病を治した半井源太郎と歌右衛門の友情と、江戸の見物衆の心意気を描く「男の花道」。安定感抜群で今日も上々吉。

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一、大久保彦左衛門〜盥の登城 菫花

今朝、変電所火災で中央・総武線が止まって新宿駅で足止めに。山手線は動いていたので大きく回り道して御徒町にたどり着いた。万が一を考えていちかさんに電話しておいたが、なんとか穴を空けずに楽屋入りできた…というわけで私は乗り物にちなんだお話です。ということで駕籠での登城を禁じられた旗本衆の訴えに応え、盥に乗って登城して将軍を諌めた…という「大久保彦左衛門 盥の登城」。

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一、良弁杉の由来 一邑

歌舞伎では「ろうべんすぎ」だが、講釈では「ろうべん」が「漏便」に通じていささか汚いので「りょうべんすぎ」としている。とこの話を得意にしていた服部伸先生に教わった。と解題して一邑先生も得意の「りょうべんすぎの由来」。

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お仲入り


一、笹野名槍伝〜海賊退治 貞橘

テレビをつけっぱなしで寝落ちして、目が覚めたら覆面レスラーが政見放送していて驚いた…というマクラから、これからの季節は怪談と海や船の話、今日は主任の貞寿さんが怪談なので、私は海のお話「海賊退治」を。ということで本編へ。途中現代的な入れ事が入り、前講のいっぱいいっぱいの「海賊退治」とは一味も二味も違う、さすがの楽しい一席。上々吉。

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一、円山応挙(応挙の幽霊) 貞寿
来月、東京国立博物館の応挙館で応挙の絵の前で「円山応挙と幽霊画」を読むことになりました。私たちがよく知る「足のない幽霊」を初めて画に著したのが応挙といわれている。今日は応挙が幽霊画を描くようになったきっかけのお話…というマクラから若き日の応挙の霊体験と幽霊に貰った守り袋にまつわる奇瑞のお話。こういう惨劇のない怪談もいいものです。なお、貞寿先生版では長崎で応挙が出会う遊女の名前は「むらさき」になっています。また、落語の同名の噺とはまったく違うお話です。

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