2024年6月14日

落語芸術協会真打昇進、襲名披露興行@池袋演芸場



5月から始まった披露興行もいよいよ佳境、芸協ならではの楽しい興行が続いています。今回は主任の伯知先生プロデュース「うたう!大披露興行」と題したスペシャル版です。





一、転失気 幸路(開口一番)

一、暴君ネロ皇帝(作:二代目神田山陽) 桜子

桜子さんの大師匠二代目山陽が作った新作講談、中に歌が入るスペシャルバージョン。時間いっぱいに使って歌いまくる。

一、活動写真 坂本頼光

1902年(明治34年)米エジソン映画製作の「ジャックと豆の木」

一、つる 圓満

一、へっつい幽霊 南なん

意外な上々吉。南なん師のちょっと陰気な語り口が却ってニンにハマって面白かった。

一、奇術 瞳ナナ

一、新聞記事 雷蔵

一、粗忽長屋 柳橋


お仲入り


一、口上

(上手より)圓満(司会)、雷蔵、雨花、金太郎、伯知、南なん、紅、柳橋

一、寄合酒 金太郎

今回は新真打の出囃子にも注目していた。金太郎師は先代から受け継いだ「足柄山の金太郎」

一、民謡アパート 雨花

風子時代は「北風小僧の寒太郎」だったが、雲龍亭雨花を襲名するので「出囃子も変えます」と言っていた。「雨(三善英史)」とか「雨の御堂筋(欧陽菲菲)」とか歌謡曲にするのかな?とか思っていたが、鳴物沢山の荘重な曲。雨花師に訊いたら長唄の「春日龍神」とのこと。長唄の「春日龍神」は能の「春日龍神」をもとに河竹黙阿弥が作った松羽目物の舞踊劇で、初演以来上演が絶えていたのを五代目中村富十郎が自らの舞踊の会「矢車会」で百年振りに復活して話題になった長唄でも秘曲になった曲。

「今日は伯知さんのリクエストで歌の入る噺を、ということで…」というので「宗論」かな?と思ったら、全編歌の「民謡アパート」へ。元シンガーソングライターの雨花師の本領発揮、気持ちよさそうに歌いまくる。

一、笹野権三〜海賊退治 紅

「黒田武士」で「黒田節」や「鑓さび」とか歌うのかな?と思ったら、時間がないので…と師二代目山陽から歌入りで習ったという「笹野権三 海賊退治」の歌が入る部分を抜き読みで。

一、太神楽曲芸 ボンボンブラザース

一、上を向いて歩こう〜坂本九物語 伯知

民謡調のお囃子で登場。映画の「水戸黄門漫遊記(月形龍之介版)」のヒットを受けて、水戸の観光協会が新しい盆踊りとして作ったその名も「黄門囃子」。「潮来笠」でデビューした橋幸夫が唄ったこの唄、伯知先生が子供の頃までは水戸市内の盆踊りで必ず流れたそうだが、最近はあまり聞かれなくなった。

という出囃子の説明から、常磐線の友部駅の発車メロディが坂本九の「明日があるさ」と「上を向いて歩こう」になっているのが通るたびに不思議に思って調べると、坂本九が幼少時に友部駅のある笠間市に疎開していたということで、笠間市内の三駅(常磐線岩間駅・友部駅、水戸線笠間駅)で坂本九の歌が使われている(岩間駅と笠間駅は「レッツ・キス(ジェンカ)」と「幸せなら手をたたこう」)。というマクラから坂本九の生立ち〜「上を向いて歩こう」との出会い〜アメリカの日系人向けラジオ局で流されたのきっかけに全米ヒットチャートを駆け上がり、ついにビルボードの一位を獲得して坂本九の全米ツアーが大成功する…という物語。読み終わりにスペシャルゲストの夏丸師が登場して「上を向いて歩こう」を歌い、2番から雨花師と番頭連も加わって大合唱に、最後は客席も歌って賑々しくお開き。


※伯知先生のXよりお借りしました。

御祝儀代わりに伯知先生グッズのトートバッグを購入。猫さん大好きの伯知先生らしいかわいい猫さんのイラスト入り。