2024年5月1日
新宿末廣亭五月上席「落語芸術協会真打昇進・襲名披露興行」・大初日





前座時代から追いかけていた春雨や風子さん。苦節15年ついに真打昇進、名前も改メ雲龍亭雨花(うんりゅうてい・あめか)となりました。

 2010年、長崎の区民ひろばで出会って以来、足かけ15年、ようやくこの日を迎えました。その時開口一番代わりに小噺とあいさつをハキハキと喋っていた坊やは成人に、そして母は真打に…

 忘れもしない2011年7月24日、長崎の区民ひろばの風子さんの会を聴いて、次の会は親父を連れて来ようと思った。そして翌日に親父、急逝。親父の分までこの人の大成を見届けようと誓いをたてた。







芸術協会の披露興行は新真打が揃って全日程出演します。日替わりでトリをとり、他の新真打は口上の後に上がり、その後のヒザ前にトリの新真打の師匠が上がります。
末廣亭の披露興行は定席三館では唯一昼夜入替えになります。

混乱を避けるため昼の部開場前の午前11時から入場整理券が配布され、整理券の番号順に入場します。あっしも雨の中11時に整理券をゲットして、新宿界隈で時間を潰し、夜の部を待ちます。




16:45 夜の部開演



一、子ほめ わ太(開口一番、わ太は浪曲師だが、太福師が出ない日は曲師がいないので落語を演じている)

 一、ラブレター 今いち

 一、なぞかけ漫談 ねづっち

一、就職面接 昇々

一、真田小僧 遊馬

一、漫才 ナイツ

一、芋俵 遊吉

後で口上の司会でも登場。この枠の演者(三者交互)が口上の司会になると思われる。ちなみに二日目(伯知主任)は伯山、三日目(金太郎主任)は小南師が出演。

一、黒田武士(黒田節の由来) 紅

一、歌謡漫才 東京ボーイズ

一、大安売 南なん

一、猿後家 昇太


お仲入り

披露口上名物の番頭連による新真打グッズの物販。それぞれの名入りの法被を着た番頭さんが場内を回る。あっしも御祝儀代わりに黄色い法被を着た遊七さんから雨花師の扇子を購入。さあ、これで夏を乗り切ろう。



一、真打昇進、襲名披露口上

(下手より)遊吉・雷蔵・雨花・金太郎・伯知・南なん・紅・昇太
開幕時の片シャギリのトンビ(笛)がキレイに決まって気持ちいい。笛、鳴物の名手で今披露興行の総番頭の鷹治さんか?
遊吉師司会、新真打の紹介。その後雷蔵→南なん→紅→昇太の順で口上。昇太師の音頭で三本締め。 

一、人間動物園 金太郎

今から数百年後、一度滅びかけた人間が再び隆盛を取り戻し、旧人類を絶滅の危機に追い込んだ連中を集めて作られた「人間動物園」の噺。

一、和田平助鉄砲斬り 伯知

水戸出身の伯知先生が新作講談と並んでライフワークとしている水戸黄門記の中から、居合の名人和田平助が自分を狙う鉄砲を撃ち手もろとも一刀両断する豪快なお話を。



一、シン・寿限無 雷蔵

一、太神楽曲芸 ボンボンブラザース

相変わらずの至芸。新真打がこのお二人にヒザを務めてもらうのがステイタスになっているのがよくわかる。程よく笑わせ、程よく締める。客席に降りた勇二郎師が客席を向いたまま腕のバランスだけで舞台に戻ったのに驚く。「芸人はお客に尻を向けてはいけない」という芸人の矜持か。思えば太神楽曲芸師は獅子舞を演るので、アクロバティックな動きができる。

一、転宅 雨花
「待ってました!」「おめでとう!」の大合唱の中、着座してもしばらく拍手止まず。新真打は感無量なのか目頭をおさえてしばし沈黙。ようやく落ち着いて話し始める。大初日のトリに何を演るのか興味津々。さあ、「芝浜」か「子別れ」か…

いつものように「ものまね」から入ったあと「お客様の懐を取り込む、ということで泥棒のお噺を…」と「転宅」へ。人情噺の大ネタよりも、あちこちで演り込んだ噺を持ってきた。あっしも何度も聴いた「転宅」だが、泥棒先生を手玉に取るお妾さんを「ふじ子」にして泥棒先生に「ふ〜じこちゃ〜ん」と言わせるなど新機軸もあり、賑々しく大初日を締めた。